終息と友と
「試験は終わりだ。筆記用具を置き、名前があることを確認したものは各自回収するため右前方にテスト用紙をおけ。」
いつのまにか時間がたったのだろうか。試験官がそう伝えた。
それなりに解けたのではないか…と息を吐く中、自然と周りの空気も緩んでいった。
テスト用紙を回収した試験官が口を開く。
「これで今日の過程は終了となる、各自速やかに寮へ帰るように。」
彼はまた淡々とその言葉を発した。
それを聞いた生徒達は笑みを浮かべて、あるいは悲壮な顔つきをし席を立った。
私も帰ろうと席を立った時、先ほどの彼女…櫻井と言ったか…から声をかけられた。
「あの…よかったら一緒に帰らない?」
私は素直に驚いた。今まで話しかけてくるものはいなかったし誘われることもなかった。
断る理由はないな…と思い口を開く。
「別にいいが…」
答えながらも私は彼女が不登校であろうことを考える。だとすれば寮は一体どこに…
これ以上考えても失礼なだけであろうな…と考えるのをやめた。
すると彼女はまたも何かを察したのかこう告げた。
「あのね…一応寮に部屋はあって…ちょっとみんなからは遠いんだけど…」
「そうか。」
会話をしながらも私は今日2回目となる驚きを心の中で呟いた。
なぜ彼女は私の考えていることを察してくるのだろうか…
ただ黙っているのも良くないだろうと考え言葉を絞り出す。
「今日は帰ったら荷物をまとめないといけないな…休み明けからは中学の寮になるのだし…」
「そうだよね〜3日しかないのにさ…」
側から見てもしょぼんと効果音がつきそうな雰囲気を醸し出しながら彼女は言葉を続ける。
「多分クラス違うけどさ…あの…仲良くしてくれると嬉しいな…」
別に断る理由がなかった。だから…
「あぁ…よろしく。同じクラスだといいな。」
私はそう続けることができた。