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星屑の学園 –天才たちの交響曲–  作者: 氷月 御白
プレリュード 「一人の天才」より
5/11

号砲と共に

彼女との自己紹介がおわったときチャイムがなり試験官が入ってきた。

ただの試験官、それ以上でもそれ以下でもない。印象を言えと言われれば一言、不健康そうという感想を持つしかないと私は一人考えた。


その試験官は淡々と口を開きこう言った。

「これからクラス分け試験を始める。注意事項は…毎年に学力テストと同じだ。流石に覚えているだろう。では問題用紙を配る。後ろに回していけ。」

それはロボットのように、決められたセリフを言っているだけのように聞こえる。


一人で思考を凝らしているとテスト用紙が回ってきた。

例年の過去問通り分厚い、時間を測っておこう。そう考えながら周りの音の異様さに気がついた。


今にも切れそうなほど緊張と不安の音が広がっている。正直にいうと私はこの空間が嫌いだなと感じる。

誰も言葉を発さず静まり返っている教室の中で、例の試験官が口を開いた。そして…


「では、初め。」

その言葉で全員がペンを持つ。ページを捲る音が教室中に広がる。

試験は5教科、同じ問題用紙に5教科分が詰め込まれているのだ。

試験は淡々と進んでいく。


突然それは起こった。


試験管の男が手元の機械を操作し、口を開く。そして主に試験とつくものでは絶対にやってはいけないものをしたという意味を含む言葉を発した。

「おい…そこのお前何をしている?」


問われた男子生徒は狼狽えながらもただ答える。

「俺…ですか?」

残念ながら側から見れば動揺しているのがわかる。私はただ終わったなと思うしかなかった。


そして最後の…彼にとっては悪魔のような通告がされた。

「確認したいことがある。外に出て待っている試験官についていけ。」


本人は気づかれていないと思ったのだろう。真っ青な顔をし立たずにいる。

残念ながらこのような生徒は毎年いると小耳に挟んだことがある。


たかが6年生の試験普段の学力試験ならば問題を変え再試験となる。

が…これはクラス分け試験。今までとは全く違う。

つまりカンニングでもしようものなら…


終わりだ。


強制的に退出させられたのだろう。廊下の奥から彼の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。

「やめてくれぇ!お願いします!Bクラスは!一番下なんて!」


そんな声を聞きながら私はもう一度試験に集中していった。

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