組み分け試験当日
ピピピッ!
一人の部屋に甲高い音が響く。
「また隣の目覚ましか…?うるさいと何度言えば…」
そう文句を言うのは白髪に碧眼の少女。名を龍宮寺蒼葉という。
隣に無理やり起こされること17回、もうこの部屋を去るのかと思うと感慨深い。
「こうしてはいられないな…朝食を…その後は…」
人が多いところは好きではない…が朝食は食堂でしか食べられない。
ドアを開けると意外にも外は静かだった。
「試験当日だしな…流石に静かなのだろう。」
淡い期待を持って食堂への道を進みドアを開ける。
ガチャリ…
「やはりか…」
前日の態度を見ていれば静かでないことくらい心の片隅で理解していたが…
「耳に響く…だから食堂は嫌いなんだ…」
しかし周りの顔を見て私はあることに気づいた。皆一様に顔が青ざめているのだ。
ふと私が立っている場所の前の机に座る女子達の声が聞こえた。
「マジ…やばい…全然できないんだけど…」
「終わった…あんなにむずいとか…聞いてない…」
おおかた昨日やっと過去問に手を出したのであろうと理解した。
それと共にこの食堂に響く声がほとんど絶望でまみれているということに私はやっと気づくことができた。
「まぁ私には関係ないが…」
今は食事をとらなければならない。
いつも通りご飯と味噌汁、卵焼きにたくあんその他諸々を持ち空いている席に向かった。
ただ無心で食べ終わる。いつも通りのルーティンだ。
「7時半か…そろそろ登校しないとな…」
席を立ち絶望の声を後に部屋へ向かう。
部屋着を着替え制服に身を包む。いつも通り部屋を出て教室に入る。
何も感じないほどいつも通り繰り返していること。しかし今から私たちの生活を変えるイレギュラーが起きる。
さて…試験が始まるようだ。