プレリュード「試験前夜」
「ずいぶんと呑気なのだな…」
東京の一角、珍しく自然に溢れた土地に建つ学園で彼女はそう呟いた。
その言葉は静かに空間へと消えていく。
現在時刻午後9時、彼女の姿は自習室にあった。
彼女の目には、疲れ果て力尽きている同級生が映っている。…はずなのだがそこのいるのは談笑をしふざけ合う同級生の姿だった。
これは最初のクラス分け試験、真剣にやるものがほとんどのはずが、大半の者が今までの試験と同じである、とたかを括り真面目に勉強をしていないのである。
そんな中でも彼女は勉強を続けようとする。もちろん彼女に話しかけるような者はいない。
なぜなら彼女は…ボッチだから。もとより言動が尊大な彼女はほとんど友達がいなかった。
そのせいか表情筋はぴくりとも動かない。だが頭は特別キレが良かった。
故に怖がられ…不気味がられ…そんな彼女に話しかける奇人は彼女のクラスにはいなかった。
が、彼女はそんなことを気にしてはいない。だって友達というものを知らないから。
これはそんな彼女とその仲間たちの理想郷の物語である。
初めまして!の方もお久しぶりです!の方もこんにちは。
氷月御白といいます。この度はこの作品を開いてくださりありがとうございます。
少しずつの更新とはなりますが、ゆっくり彼女たちの物語を読み進めていただけると恐縮です。
では、また次の話でお会いしましょう。