表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/17

第2話:ゲームしたいので、学校はやめます法案 〜議長、Switch片手に登庁〜

2話目です。

今回のわがままは「ゲームしたい・勉強したくない・もっと遊びたい」。


それ、制度にするな。

「えーっと……今日の議題は……あれ?」


議長席が、空っぽだった。


いや、正確には“空っぽに見えるだけ”だった。


「下だよバーカ! 机の下! 今レベル上げ中だから!」


ランドセルを背負った6歳の議長が、

Switchの画面に顔をくっつけながら怒鳴る。


見れば、彼は机の下に寝転び、

“学校やだもんロールプレイング”という謎のゲームに没頭していた。


どうやら、これも登庁扱いらしい。


会議は、始まっていた。


 


「今日のわがまま、出しまーす!」


議長がポケットから出したのは、クシャクシャの折り紙だった。


そこに、クレヨンで大きく殴り書きされていたのは──


 


【がっこういきたくない。べんきょうしたくない。ゲームしたい。】


 


周囲には、なぜか“がんばったねシール”とキラキラの星が貼ってある。


議長:「これ、制度にしてください!」


議員たち(全員6〜8歳):「賛成〜〜!!」


主人公(俺・38歳):「ちょっと待て!!」


 


「義務教育制度は、国の基盤です!

すべての国民に平等な学びの機会を──」


「でも、楽しくないじゃん?」


「……それは、まあ、そうですけど」


「だったら、やめれば?」


「えっ」


「やなこと、なくなるよ?」


「それは……いや、でもそれだと……!」


「ねーねー、“楽しくないもの”ってさ、

全部“学校”って名前にすればいいんじゃない?」


 


沈黙。


 


議員たち:「天才か!!」


議員たち:「決まり!!」


議員たち:「俺、今日から“食器洗い”は学校って呼ぶ〜!」


 


「じゃあ今日は解散でーす!

ゲームしたい人は、このあと“自主的に”集まってください!」


「宿題は?」


「ないよ。だって、それ学校だもん。」


 


全員が拍手して退場。

議長はSwitchを布団に見立てたクッションに突っ込んで寝始める。


俺は、黙って議事録のファイルを開いた。


 


わがまま第316号:「たのしくないもの」の廃止。可決。


その下に、今日も折り紙の切れ端が貼られていた。


 


──今日も制度が、わがままでできていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ