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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【宴という祭】

作者: 神崎慧

救いの無い物語。ただ、それだけです。


 どうしてこんなことになったんだろう。

 誰が発信源かなんてことはわからないけど、結構いろんなところで使われているこのセリフを実感するとは思ってなかった。

 目の前で起こっているのは、どう考えても現実離れしている。

 少なくともここ、日本という国においては。

 確かに、知識としては知っていた。

 だけど今時、こんなモノが現実として存在しているとは思わなかった。

 どうして、こんなことに。

 本当に、何を間違えたのか分からない。

 そもそも私は、何かを間違えたのか?

 何か、やってはいけないことを、やってしまったのか?

 あるいは、見てはいけないものを、見てしまったのだろうか。

 悲鳴。

 響きつづける、泣き叫ぶ声……いや、もはや音といった方が正しいかもしれない。

 それは、あまりにも掠れてしまい、声として認識は出来ないものになっていた。

 人がこんな声を出せたのか、とそんなことを考える。

 明らかに、現実逃避だけれど……。

 それでも、そうでもしなければ、私自身を保てそ……。

「う……っぅえぇぇ」

 吐き気を抑え切れず、胃の中のモノをぶちまける。

 喉が焼けるような痛みを発し、それによって咳き込んでしまう。

 その音に気付いたヤツがこちらに視線を向けるけど、すぐに興味を失ったように、その行為を再開する。

 いつの間にか、音が止んでいた。

 無音という意味ではなく。

 息遣いや、行為から発生する音が続くだけで、悲鳴などの音は、聞こえなくなっていた。

 ぶれる視界を向けると、もうやられるがままに身を委ねているらしい。

 諦めた、ということだ。

 疲れ果て、しかし助けなどを期待できず、為す術を失った……そんな感じだった。

 確かに、その通りかもしれない。

 抵抗して、どうにか出来るとは思えない。

 ここに助けが来るなんて、考えられない。

 何かが出来るなんて、想像も出来ないのだから。

 だからこその、諦め。

 必死に逃れようとした、成れの果てだった。

 次は、私がああなってしまうのは、あまりにも容易に想像できる。

 出来てしまう。

 怖い、と素直に思った。

 だけど、自分だけが助かるなんてことは、思うことも出来ない。

 この状況では、その考えこそが非現実的だった。

 皮肉だ。

 あぁ、彼女の番が終わったらしい。

 縛られたまま気絶している彼女を放置して、彼等は私の方に歩いてくる。

 私を『使う』ために。

 にやにやと気持ち悪い笑みを口に浮かべながら、ゆっくりと私に対してその手を伸ばした……。






 今回の物語は、ただただ後味の悪い、救いの無い物語になってしまっています。

 気分を害してしまったのなら、すみませんでした。

 何が行われていたかをしっかりは描写していませんが、何となくでも伝われば、と思います。


 確かに、物語として救いを入れて書くことは可能だったと思います。

 しかし、今回はその救いを与えず、そのまま終了させました。

 というのも、こういった場に於いて、そういったモノを期待できることは、奇跡のような確率しかないのでは、と思うのです。

 そして、その後に相手が逮捕されたからといって、どうにかなることでもありません。

 結局、何かの形で自分に折り合いを付けるのが、こういったものの結末なのではないか、とそう思います。


 そんな考えの果てが、この物語の結末を生み出しました。

 後日談として『救う』ことは出来るかもしれませんが、書くかどうかは不明です。

 まぁ、私自身、『救い』の無い物語を好きではないので、何らかの形……例えば別の物語の中などで書くかもしれませんが、これはこれで、ひとまずは終わりとさせていただきます。

 こんなところまで読んでいただき、ありがとうございました。

 何か思うところがあれば、気軽に言ってくだされば幸いです。

 それでは今回はこの辺で。




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