表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜  作者: 陽七 葵
第三章 新メンバー登場

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/159

挑戦者求む

 山の中腹の川で野盗が二人、小さな小瓶に水を汲んでいる。俺達は、それを少し離れた草陰から覗いている。


「どうする? 捕まえる?」


「泳がせて一網打尽って手もあるよね」


 野盗を見つけたのは良いが、次の行動に迷っている。


「リアムがいてくれたらなぁ」


「リアム殿下がいたら最善の方法を選択してくれるもんね」


「え、殿下!?」


「うん。リアムは王子様だよ」


 初めてだ。今までノエルとエドワードはリアムのことを殿下呼びしているにも関わらず、誰にもリアムのことを突っ込まれたことがなかった。


「確かに、ただならぬ品格があったような。まさかオレは王子様にあんな狭くてボロい家に泊まらせたのか!?」


 リアムの正体を知ったギルは顔がみるみる青くなっていく。面白い。


「誰だ? 誰かいるのか?」


 ギルの声が驚きのあまり大きくなっていたので、野盗に気付かれたようだ。


「ギルとノエルは隠れてて」


 俺とエドワードが何食わぬ顔で草陰から出た。


「なんだ? 冒険者か?」


「魔石も集まったので帰ろうと思ったんですけど、道に迷っちゃって……」


 俺が嘘を吐きながら魔石の入った袋を見せると、野盗がニヤリと笑って言った。


「道を教えてやっても良いぜ」


「本当ですか!? これで帰れるなエドワード」


「そうだね」


「ただし、その魔石を全て寄越せ」


 野盗が短剣を出してきた。


 俺は魔石の入った袋を野盗に差し出した。


「はい。どうぞ」


「え、くれるのか?」


「だって道教えてくれるんですよね?」


「あ、ああ」


「ちなみに、もう一袋ありますよ」


 想定外だったようで、野盗は呆気にとられている。


 これは実はリアムの作戦の一つ。


『野盗に魔石を寄越せと脅されたら素直に全部渡すこと』


『え、なんで?』


『渡せば分かるよ。無駄な戦闘はせず、成り行きに任せてみて』


 と、いうことなので、俺とエドワードはせっかく集めた魔石を二袋全て野盗に差し出した。


 ちなみに、先程まで次の行動に悩んでいたのには理由がある。俺達は、野盗に《《見つかった》》場合の行動は聞いたが、野盗を《《見つけた》》場合の行動を聞いていなかったから。臨機応変とは中々難しいのだ。


 野盗は袋の中身を見て驚きを隠せないでいる。コウモリ型の魔物で数は稼いだので、下級魔物やスケルトンのも合わせると魔石は四十個近くあるのだ。


「結構あるな。こんなに集めるのに何日かかったんだ?」


「えっと……三時間くらいですかね」


「三時間!?」


 野盗は互いに顔を見合わせた。


「お前ら明日も来るのか?」


「はい。その予定ですけど何か?」


「いや、頑張れよ!」


 俺達は野盗に道案内され、山を下りた。もちろんノエルとギルも一緒に。


◇◇◇◇


 数時間後、ギルの家にて。


 リアムが戸惑いを隠せないでいる。何十枚も重ねた毛布の上に座らされているから。


「えっと、これは?」


「王子様なんですよね!? 昨日は硬い床に寝かせて申し訳ありませんでした!」


 ギルとその家族は跪いて、こうべを垂れている。


「オリヴァー、言ったの?」


「え、ダメだった?」


「いや、良いけど……」


 溜め息を吐きながらリアムは続けて言った。


「まぁ良いや。それより野盗に会ったんでしょ? 言った通りやってくれた?」


「うん。魔石も全部渡したら攻撃もしてこなかったよ」


「だろうね」


「分かってたの?」


 リアムは居心地が悪かったのか、毛布の山から下りて椅子に座り直した。


「あの山には野盗の噂が出回って誰も寄り付かなくなったでしょ? だから、野盗の収入源は偽の聖水で得たものだけなんだ。そこへ良いカモが現れた」


「俺たち?」


「そう。僕も数時間で四十近く魔石を集めるとは思ってなかったけど……とにかく魔物を狩ってくれる人がいないと、野盗はあの山で生活ができない」


 ジェラルドも呆れた顔で言った。


「自分で魔物狩れば良いのにな」


「それだと野盗のプライドが傷付くとでも思ってるんじゃない? 野盗は人の物を奪ってこそ野盗と言えるから」


「確かにな。自分で狩ったら、ただの善良な民だもんな」


「だから、明日山に入ったら交渉されるか脅されるはずだよ」


「何で今日じゃないの?」


「君達に逃げられたら困るからだよ。今日は二人だけだったんでしょ? 明日は野盗の頭も含めて全員に囲まれるはずだよ」


「なるほど、そこを一網打尽というわけですわね!」


 ノエルは嬉しそうに言うが、ギルの父は困惑した顔で言った。


「ですが、野盗の数は十数名いるはずです。ワシらじゃ到底敵いません」


「大丈夫だよ。こっちには誰がいると思ってるの?」


 リアムが悪戯に笑った。


「そう、聖人様もとい勇者だよ」


「それに、こちらのお方は大魔法使い様で、そちらは最強剣士様ですわ」


「ついで感満載だな」


「オリヴァー聞いた? ノエルが僕のこと最強剣士だって」


 エドワードだけ、とても嬉しそうだ。


「ちなみに、今日ギルドに行ったんだけど『山に棲みつく野盗をどうにかしてほしい』というランクBの依頼があったんだ」


 ギルドの依頼はワンランク上の依頼までしか受けられない。せっかく捕まえたとしても、今回も()()()()野盗を捕まえたことにしなければならないのか。残念に思っていると、リアムが続けて言った。


「何人も挑戦したけど失敗続きだからって、ランク関係なしに『挑戦者求む』って書いてあったよ」


「てことは……」


「今回は歴としたギルドの依頼。報酬もあるし、ランクも上がるかもね」


 そんなこんなで、きっと明日野盗と決戦のはず。明日に備えて作戦会議が開始された——。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ