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俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜  作者: 陽七 葵
第六章 二人目の転生者

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必殺技を考えよう

 本日は必殺技なるものを編み出す為、皆で荒野に来ている。


「やっぱ勇者って言ったら必殺技だよな」


「そうですわね。セリフを言うだけで強い感じがしますわ!」


 アーサーとノエルが上機嫌に言えば、ショーンもノエルの腕の中で頷いた。


「子供が大人相手にするんだもんね。少しは強そうに見えないとね」


「ショーン、あんまりディスるのは可哀想だぞ。弱そうに見えるだけで、たまに強いんだから」


 アーサー、フォローしているつもりだろうが、全くフォローになっていない。たまにって何だ。たまにって。


 それより、アーサーはずっと冒険に付いてくる気だろうか。あまり突っ込んでは聞かないが、夜な夜なノエルとアーサー、ショーンの二人と一匹で話し合いをしている。そして、今朝突然言われたのだ。


『必殺技を作ろう!』


 と。遊んでいるようにしか見えない。


「キース様は、『カウンター!』って言うだけで決まりますが、お兄様やエドワード様の剣術の名前は何が宜しいですかね? こちらには剣術の具体的な名前がありませんものね」


 ノエルが悩んでいると、エドワードが言った。


「前にノエルが言ってた『直心影流剣術』とか何とかって、ああいうの格好良いよね!」


 エドワードは必殺技の名前を考えることに対してノリノリだ。アーサーも暫し考えながらノエルに聞いた。


「うーん……そのまま使っても良いけど、せっかくだから自己流作りたいよな。ノエルの前世の名前何?」


「わたくしは、『柴崎しばさき 凪沙なぎさ』ですわ。アーサー様は?」


「おれは、『吉田よしだ 雪哉ゆきや』だ。そのまま使っても良いけど、フルネーム叫ばれたら恥ずかしいよな」


「では、二人の名前を合わせるのは如何でしょう? 『柴崎流必殺奥義雪哉』『吉田流必殺奥義凪沙』という感じに」


「お、良いじゃん。じゃあ、エドワードが『柴崎流必殺奥義雪哉』な。で、オリヴァーが『吉田流必殺奥義凪沙』ってことで」


 アーサーとノエルによって、必殺技名があれよあれよと決まっていく。


 奇抜な名前なので意味などは分からないが、至極良い加減に付けられた必殺技名なのは分かった。技名と実際の技の関係性も全くもってなさそうだ。


「ジェラルド様は魔法ですからね。何が宜しいですかね」


「え、無詠唱で出せるようになったのに、敢えて何か叫ぶ必要あるの?」


「これもファンサの一種ですわ」


「だな。やっぱ氷だからそれっぽいのが良いよな……氷、氷、氷……」


 アーサーが悩んでいる。良いのが思いつかないようだ。そして、当の本人であるジェラルドは心底どうでも良いような顔をしている。


「氷、氷、かき氷が食べたくなってきましたわね」


「あー、分かる! この世界、氷が貴重すぎてかき氷なんてないもんな。イチゴにメロン。あー、でもやっぱ抹茶に餡子も捨て難い」


「そうですわ! シロップで名前を付けるのは如何でしょう? 『イチゴメロン』『抹茶餡子』『抹茶練乳』うーん……響きが微妙ですわね」


「いっそ『かき氷始めました!』なんてどうだ?」


「良いですわね! 格好良いですわ!」


 ジェラルドが二人に聞こえないように俺に言った。


「なぁ、俺だけ格好悪くねーか? 逆に弱そうだし」


「はは……どれも似たり寄ったりじゃない? 違うのが良いなら早く言わないと決定しちゃうよ」


 そう言った矢先に、ノエルの手がパチンと小さく鳴った。


「では、決定ということで」


「ほら決まっちゃった」


 こうして皆の必殺技名が決定した。何故だかスキルを叫ぶだけのキースを羨ましく感じる。


「名前が決まったのは良いけど、肝心の技はどうしたら良いんだろう」


 俺は考えながら剣の素振りをしてみた。それを見ながらリアムが応えた。


「技を新たに考えるのって難しいよね。それが強いかも分かんないし」


「だよね。必殺奥義とか言いながら、いざ使ってみたら一番弱い技だったら格好悪いかも」


「弱いと油断させて実は強い。なんて心理戦でいくのもアリだけど……」


 そこで、ショーンも話に加わった。


「ボク、いつも戦闘を近くで見てるけど、敵を倒す瞬間って『ああ、この一撃で倒れる』ってのが何となく分かるんだ」


「確かに。戦っててもそれは感じる」


「だからさ、技を固定しなくても、そんな一撃を使う前に技名叫べば良いんじゃない?」


「それは名案ですわね!」


「だな」


 それを果たして必殺技と呼べるのか分からないが、ノエルやアーサーだけでなく皆がそれに賛同した。面倒臭いのだろう——。


 必殺技名を叫ぶタイミングが決まったところで、エドワードと剣の撃ち合い稽古でもしようとしたらキースが聞いてきた。


「ずっと気になってたんだけど、オリヴァーの聖剣って光魔法以外の魔力込めたらどうなるんだ?」


「さぁ」


 聖剣だから光だろう。と、勝手に決めつけていたが、確かに他の魔力を込めたらどうなるのだろうか。


 俺は試しに闇の魔力を聖剣に込めた。すると、聖剣が漆黒に変わった。


「おおー」


「なんか格好良いな」


「オリヴァー、ちょっと貸して」


 エドワードに聖剣を貸すと、次は水の魔力を込めた。


「これ、何でもいけるんだね」


 聖剣が水色に変わった。ただ、闇の魔力を込めた直後だからか、片面漆黒で片面が水色だ。効果はそれぞれ違うのか、実戦で試してみる価値はありそうだ。

 

「これはもしや、合体必殺技が使えるのでは?」


「ノエル? 合体必殺技って?」


「皆様の魔力を聖剣に込めるのです。それはきっと絶大な力を発揮するはずですわ!」


 アーサーもうんうんと頷いた。


「戦隊モノではあるあるだよな。合体必殺技ともなればアレだな。名前はさっきみたいな流儀より、魔法少女的な奴が良いかな? アルティメット何ちゃらみたいな」


「そうですわね。皆様の魔力を並べて『アルティメット・ライトニング・ダークネス・フリーズ・ウォーター』でどうでしょう」


 どうでしょう。と至極真面目に言われても、長すぎてセリフを言う間に敵に攻撃されそうだ。


 先程まで面倒臭がっていたジェラルドが聖剣を手に取った。


「試しに魔力込めて一振りしてみよーぜ」


 ジェラルドが魔力を込めると剣の三分の一が白くなった。そして、最後に光の魔力を込めて……。


「えっと、アルティメット……なんだっけ?」


「『アルティメット・ライトニング・ダークネス・フリーズ・ウォーター』ですわ」


「アルティメット・ライトニング・ダークネス・フリーズ・ウォーター!」


 長い名前を一応言って、剣を何もない所で一振りしてみた。


「うわッ!」


「マジか!」


「すげぇ!」


 口々に感嘆の声が上がる。


 剣を一振りしただけなのに、剣から虹色……とまではいかないが、四色が混じりあった閃光のようなものが出てきた。しかも、少し離れたところにある山が一つ吹っ飛んだ。


 あの山には誰も足を踏み入れていませんように……と切に思った。

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