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アーサーの部屋

 宿の部屋ではキースとリアム、そしてショーンが地図を広げて何か書き込んでいる最中だった。


「早かったな……って、人増えてるし」


「人たらしにも程があるよ」


「もしかして、また仲間にしようとかじゃないよね? あんまり多くなりすぎるのは、かえって良くないよ」


「違うよ。なんか追われてたみたいで……」


 アーサーを見れば、バツが悪そうに謝罪してきた。


「悪かったな」

 

「助けて頂いてありがとうございます」


 お父さんからも礼儀正しくお礼をされた。


「二人はどこの宿に泊まってるの? 送って行くよ」


「ギルドの裏手にある一階が酒場で二階が宿になってる所だ。宜しく頼む」


「それって……」


「ここだな」


「うん、ここだね」


 口々にそう言えば、アーサーが扉を開けた。


「本当だ。おれ、向かいの部屋」


「では、わたくしの隣にいらしたのですね。壁を隔てて隣で寝ていたと思うと何だか照れますわね」


 恥じらうところが何処にあるのか分からないが、ノエルが頬をピンクに染めた。すると、それを見たエドワードがムッとした。


「ノエル、今日から部屋を変えよう。嫁入り前の娘がこんな下品な男どもと寝ちゃダメだよ」


「下品ってなんだよ!」


 下品はともかく、アーサーが怒るのも無理はない。


「エドワード、それは理不尽じゃないかな」


「オリヴァーは良いの? 可愛い妹が何処の馬の骨とも分からない男と一緒に寝ても」


「それは嫌だけど、アーサー達は別の部屋だし」


「関係ないよ。壁なんてこんなに薄いんだから」


 一度こうなってしまったエドワードは誰も止められない。ノエルを大切に思ってくれているのは嬉しいが少々面倒くさい。


「もう、俺がノエルと壁の間で寝るよ。それなら文句ないだろ」


「まぁ、それなら……」


 エドワードも渋々了承し、俺がノエルと寝ることでその場が落ち着いた。


◇◇◇◇


 時は経過し、夜更けに俺は目を覚ました。


「ちょっと、トイレ」


 寝ぼけ眼を擦りながら、俺はトイレに行くために部屋を出た。


 用を済ませた俺は、元の部屋に戻るべく廊下を歩いた。いつものように部屋に入ろうとすれば違和感を覚えた。


「あ、そうだった。今日はノエルの部屋だった」


 後ろを振り返り、向かいの部屋のドアノブに手をかけた。


「あれ?」


 扉に鍵がかかっている。俺が部屋から出た数分の間にノエルが鍵をかけてしまったようだ。扉をノックしようと手を上げたが、ノックするのをやめた。


「寝てたら、起こしても悪いし……」


 俺は転移で部屋の中に入った。そして、また違和感を覚えた。


 ベッド、こっち側だったっけ?


 しかし、毎日ローテーションで部屋を変わる為、その日によってベッドの位置も違う。恐らく、そのせいで頭が混乱しているだけだろう。


 ベッドには髪の長い女の子が眠っている。宿の店主も、この宿に女性はノエルだけだと言っていたので間違いない。俺はベッドに潜り込んだ。


 隣にいるノエルを見てふと思った。


 最近、男としか触れ合っていない。男同士で冒険しているのだから当たり前ではあるが、過剰に触られる気がする。


 この機会にノエルに癒しをもらおう。俺とノエルは実の兄妹だし、頭を撫でるくらい問題ない。そう思って頭をそっと撫でた。


「んん……」


 ノエルが寝返りを打ったので起こしてしまったかと思ったが、ノエルは寝息を立てている。もう一度ポンポンと頭を撫でてから、俺はノエルの横に並んで目を閉じた。


 暫くすると腕にギュッとノエルが絡みついてきた。ウトウトしていたところに規則的な寝息を近くで感じ、再び俺は眠りについた。


◇◇◇◇


 太陽の光が部屋に入り込み、鳥の囀りが聞こえる。


 腕には、まだギュッとノエルが絡みついている。ずっとこうして眠っていたのかと思うと嬉しいような……うん、嬉しいしか思いつかない。


 上機嫌に目を開けて横を見れば、薄手のシャツの間から谷間が見えた。


「ん?」


 谷間? ノエルはこんなに胸が大きかっただろうか。それに、こんな薄手のシャツ一枚で寝ていなかったような……。


 俺はそのまま、視線を上に向けた。


「わ、誰ッ!? って、みーちゃん! ごめん! 浮気じゃないから!? 多分、俺が悪い! 俺が悪いから攻撃しないで!」


 今まで妹のノエルだと思い込んでいたので、みーちゃんは出て来なかったのだろう。しかし、ノエルでないと分かった瞬間みーちゃんが出てきた。


 必死に謝罪をしたら、みーちゃんは俺と隣にいる誰かを警戒するように部屋の真ん中で眺め始めた。


 そして、その誰かが俺が騒いだことで目を覚ました。ムクっと起き上がり、俺を虚ろな瞳で見つめてきた。


 明るい所で見ると、ノエルのピンクの髪とは違い、栗色の髪をしていた。そして、クリッとした瞳に見覚えがあるような……ないような。


「えっと……」


「オリヴァー……?」


「ごめんなさい。間違えました!」


 俺は急いでベッドからおりた。そのままの勢いで部屋から出ようと思ったのに、狭い部屋にデカいみーちゃんが佇んでいる。


「みーちゃんどいて! あー、そっちじゃない! みーちゃん、戻って!」


 みーちゃんとまごまごしていると、少女もベッドからおりてきた。


「オリヴァー? 今見たこと……」


「見てません! 何も見てません、谷間なんて見てません!」


「は? 谷間って……」


 少女は胸を手で隠しながら顔を真っ赤にさせた。


「さ、最低!」


「ごめんなさい!」


 みーちゃんは刻印に戻り、俺は急いで部屋を出た——。


「何だったんだ……?」


 扉の前で俺は部屋を確認した。


「ノエルの部屋、隣じゃん……」


 てことは、俺がいた部屋って……。


「アーサーの部屋?」

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