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君を自転車で轢いた後 ※完結済み  作者: じなん
第十四章 燃える炎のように
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第七十九話 放課後デート


 いきなり週末にデートが決まってしまったが、まあそこまで慌てることでもない。

それに僕としても同じキャンプという趣味に興味を持ってもらえるのは悪い気分ではないし。



「そうだねぇ……初期投資はおおよそ5万円と言ったところかな。大丈夫そうかい?」


「問題ないわね。……テントとかを二人用にすればもっと安くなったりしないかしら?折半したりして」


「いや……流石に別々のテントにしたほうが良い……。

んー……防犯の面を考えるとその方が良いのかな?」


「決まりね。テント代は折半してほしいわ」



 それからはキャンプでどんなことをしたいのかを二人で話し合って決めることにした。

案外、彼女はアウトドアにも興味がある……というより、僕に合わせてくれるようで話自体はスムーズだ。


 そうこうしているうちに昼休みの予鈴が鳴ってしまう。



「思ったよりも君とは趣味が合いそうで良かったよ。また放課後に」


「ええ……あなたとの時間、楽しいわ。

もっと計画を詰めていきましょう」



 別れを言って、そのまま退屈な授業の時間を迎える。相変わらずノートを取るだけの作業なので眠いことこのうえない。

だけれども授業態度で変に減点されるのもなんとなく嫌なので適当に終えた。


 そうして放課後になるとどうやら彼女の方からこちらに迎えに来てくれたようだ。



「悪いねぇ。じゃあさっさと帰ろうか」


「そうね……折角だから、何処かで買い食いでもしていきましょう」


「ん……良いね。もっとお互いの食べ物の好みも知っておきたい」



 そう言ってバスに乗って駅前に向かうことにした。彼女の好みは甘いものということだから何処かでスイーツを食べるのが良いかもしれない。



「何か食べたいものでもあるかい?」


「あたしとしては木石くんの食べたいものが気になるわ」


「んー? 僕かい? ……そうだねぇここはアイスでも食べようかなぁ。最近暑いし」


「良いわね。あたしも冷たいものは好きよ」



 ……園尾さんは本当に僕のことを立ててくれるというか、自分の色を出さない人のようだ。

もはやわざとらしいほどに僕を優先してくれるので行動しやすいものの遠慮してしまう。



 コンビニに入って冷風を浴びながら、アイスコーナーに行く。そこには色とりどりに甘味があったけれど、僕としてはボトル状の吸って食べるタイプが好みだ。



「なんでも良いよ。ここは僕が奢るから」


「あら、太っ腹。……そうね」



すると、彼女は偶然なのか僕が好きなアイスを選んだようだ。2本セットの吸って楽しむタイプのアイス。それのチョコ味を持ってそのままレジに向かった。



「僕もそのアイス好きなんだ。気が合うねぇ」


「……そう。あたしも好きなの」



 コンビニから出て熱気が篭る外の空気の中でアイスを封を切り口に運ぶ。もう一つのアイスは彼女に渡して二人で無言になってアイスを食べる。

チョコのフレーバーが口の中でひんやりと広がってとても美味しい。



「……美味しそうに食べるのね。選んでよかったわ」


「ん〜……僕はどちらかと言うと子供舌だからねぇ。

それに甘いものは脳に栄養を送ってくれるから好きなんだ」


「……脳に栄養、ね」


 

 アイスをちゅるちゅると二人で食べる。

なんとなく、初めて彼女と落ち着いた時間を過ごせた気がした。


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