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君を自転車で轢いた後 ※完結済み  作者: じなん
第十三章 木石幸平のお話し
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第七十八話 情報部


 情報部のチャットにメッセージを打って園尾翠についての情報を集めることにする。



「堂家先輩、ちょっといいでしょうか?」


『どしたー? なんか面白い噂でもめっけたの?』



 堂家先輩は情報部の先輩でこう言った恋愛絡みの話が大好きだ。おそらく多少の情報は得られるだろう。



「実は園尾翠という生徒から告白されました。

けれど彼女について僕は知らないので、何か情報をお願いします」


『園尾翠? マジで? 木石くんやるじゃん!

園尾さんと言ったら一年でも有名な子だよ。

男子どころか女子とも全く馴れ合わない孤高の花。

誰をも近づけないイバラの女王様だよ』



 どうやら僕の認識と同じようだ。

園尾翠は学校でも孤立した存在として有名らしい。



『学年を超えてあの子と付き合いたいって人は多くいたんだけど悉くが敗走! そのほとんどが待ち合わせ場所にすら来ないという酷い有様でね』


「それはまた……なんとも取りつく島もないですね」



 うーむだとすると僕の何が彼女を惹きつける原因になったのかよくわからない。

少しでも傾向があればそこから類推出来そうなものなのだが。


 とりあえず僕の今日の出来事を先輩に報告して、彼女の意見を仰いでみることにする。

女性である堂家先輩なら何かわかるかもしれない。



『面白いねw でもさーっぱりわかんないわw

木石くん変わってるし、そこらへんを一目見て気に入ったんじゃない? あと結構イケてるじゃん君』


「はあ……そうですか」



 うん。期待したこちらも悪かったかもしれない。

堂家先輩は部でも野次馬根性丸出しな人だ。

学園での恋愛相談を一通り受けてはそれらに首を突っ込んでいく、マッチングのようなことをしている。


 ちなみに僕はアルバイトの斡旋等を担当している。

なにぶん私立校でアルバイト禁止なので、

そこいらへんの需要はあり大変好評である。



 お礼をいってチャットを閉じてしばし瞑想に耽る。


 園尾さんが何を考えているかは、それこそこれから彼女と向き合っていく中で見つけていくしかないだろう。

彼女は僕と親しくなりたいと思っている以上、自然と距離も近くなるし、それぞれの思惑も透けてくるというものだ。


 僕としては早々に彼女が僕に見切りをつけてくれても一向に構わないわけだし。



 ……よく考えると一人の異性にこれほどまで頭を悩ませるのは人生でこれが初めてかもしれない。


 女性との付き合いは初めてではないが彼女らは僕の顔がいいとか話が面白いからと言って僕に告白した後に、そのまま勝手に僕の元から離れていった。


 しかしそれは単純に僕の方も彼女らに興味を持てなかったというのもある。


 話す内容は何処どこのカフェのメニューが美味しかっただ、勉強が難しい、誰々が嫌いとか、デートでどの服を選ぶだとかでどうにも面白くない。


 適当に相槌を打っているだけで離れていく彼女らには、引き止めるほどの愛着は持てなかった。



(案外……僕自身も、園尾さんのことを気に入ってるのかもなぁ)。



 わくわくした気分になりつつも親に声をかけられたので、久方ぶりに美味しい夕ご飯を楽しんだ。


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