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風の鳴る頃  作者: フィング
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3 風鈴使いの術者

 三話目の投稿。長期休みに入ったのでこの間に投稿とストックをためていきたい。

 調査の一端で、占い師を調べたことがある。だが、結果的を見て私は落胆することになる。占いを生業とする者の全てはインチキ、または頭の良い詐欺師であった。

 中には占い師という職をエンターテイナーと言う者もいた。そういった考えもあながち間違えではないのだろう。


 だが、彼は本物だ。


 私の正体、名前といったものを当てて見せた。また、それ以外にもナンパ男を気絶させたのも彼の仕業だと推測できる。かといってその確証は持てない。ただの狡猾な人間なら、このまま記憶処理をして終わりだ。もし、期待通りの変異個体(イレギュラー)なら保護対象となる。


 その実力見極めさせてもらう。


「起動、ファング」


 シーナはその場にブロック状の機械を二つほど放り投げた。それは、元の質量を無視しながら変形し動物のような姿となった。


「それは…ロボ犬?」


「君達が見ればそういう解釈もできるだろう。だが、そこいらの犬と同等と思わないことよ」


「そう、じゃあ期待する」


「なめないで…行け、ファング!」


 スピードはバイク並みと言えよう。その割には小回りも効き、不規則な動きと共に突進してきた。

 目にも止まらぬスピード、それこそ常人には避けれぬ攻撃。だが彼は驚くどころか冷静に笑みを浮かべながら唱えた。


無極(むきょく)断絶(だんぜつ)』…前方注意です」


 ファングらは、突如見えない壁によって弾かれた。すぐに体制を立て直すものの、あの勢いで衝突したからか少々頭部が凹んでいた。


「なんだ、壁?だが、障害物が検知できない…いったい何が」


「どうやら、僕の実力を見せつけることが、シーナさんの期待に応えることに繋がるようですね」


「ま、まあそうだ」


「ではこれ、見えますか?」


 風璃(ふうり)の指先が差す方向には、ガラス細工でできた風鈴(ふうりん)があった。だが、それは空中を浮いており明らかに異質な光景であった。


「私が知る限り、それは風鈴よね?見るのは初めてだが浮く代物だとは思わなかったな」


「僕もそう思います。多分浮く風鈴なんて今の世を探してもこの場にあるコレだけでしょう」


「だが、それはあくまで観賞用だろ。それとも、それが貴様の力とでも言うのか?」


「正解。細かい説明は省くけど、これによって僕は戦える」


「なるほど、手の内は明かさないか。物を浮かばせる能力、さっきの壁もその応用か?」


「あ、そうじゃ…見せた方が速いか。無極(むきょく)幻空(げんくう)』」


 気が付けば脇に小さな手が当てられていた。近づかれる瞬間、風璃の姿がまるでコマ送りしたかの如く目に映り、まったく距離感がつかめなかった。


破局(はきょく)水鈴(すいりん)』」


 今度は触れられてる脇から、打撃に似た衝撃が波紋の様に広がった。たまらず二三歩後ずさりし、膝を落とした。


「い、今のはなんだ。私が、反応できないほどのスピード?いや、そもそも防御プログラムが反応していない。機械が彼を認知できてない?」


「まあ、こんな感じで面白い技とか動きができるんだ。ちなみに、あのファングっていう犬はもう使わないのかな?さっきから動くどころか…あれ目が赤く」


「…何?」


 突如として風璃の体に重く負荷がかかり周囲の空間が歪む。その突如として起こった現象に抵抗するものの、吐血し倒れこんでしまった。


「な、この技はアストロン。まさか!?」


「ご無事でしょうか、シーナ様」


「パロン…どうしてここに」


 宙に浮かぶ無機物が空から舞い降りてきた。そのままシーナの元へ寄り、語り出す。


「シーナ様の身の危険を検知し、やって来た次第です。直ちに襲撃者の抹殺を…」


「まて、そいつは殺してはならない。記憶処理もだ」


「それは無理な命令です。シーナ様に仇なす存在は優先して抹殺するようプログラムがほどこされています」


「そんなプログラムは組み込まれていなかったはず…まさか、アイツの仕業か!?あのくそ兄貴」


「ファング、一時的にシーナの身を拘束し安全な場所へ」


「まて、そんなことは許されん。今すぐ攻撃をやめろ。そいつは保護対象だ」


 必死に抗議するも、シーナの言葉は今のパロンに届くことはなかった。そのまま攻撃を続け、風璃は死に絶えてしまうと思ったその時。かすかに彼の口が動いた


()(きょく)静鈴(せいりん)』」


 今この瞬間。世界が静まり返った。風は止み、音も止み、機械の類も、降りかかる重力も、興奮した感情さえもが静粛へといざなわれた。まるで時が止まったのではないかと錯覚したが、思考する脳が止まっていない辺りそうではないのだろう。


「ふぅ…ビックリした。ゲホッ!血が…かなり負荷がかかっていたんだね」


「風…璃?」


「僕は無事だよ、ただ今回はこれでお開きにしようか。ただ今は、眠って…ね」


 彼のささやく優しい言葉で、シーナは目を閉じた。


 そんな暇ない。そう思って目を覚ますも、視界に映るは古びた公園。人通りはなく、輝く夕日と、影となって見えるカラスの姿がとても印象的であった。


「今のは…夢だったのか?おかしな、不思議な夢だ」


 だがすぐに、これは夢ではないと思い知らされた。手にはコンビニで買った食料と、一枚の紙切れ。それを開けばとある住所と共に一言添えられていた。


『透き通る風鈴の音と共にあなたを待つよ。咲山(さきやま)風鈴(ふうり)


 ほんと今日は、驚かされてばかりだ。

まあ、頑張って投稿してく。

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