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風の鳴る頃  作者: フィング
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2 風の導きで

不思議が連なる良く分からないストーリー(*'▽')

 日が真上に登り、夏の暑さが際立ってきた。

 宇宙人でもこの暑さは応えるようで、日陰のある道を選びながらシーナは家へと帰った。


 戸を開ければ、ごく一般的な1LDKの一室が広がっていた。ただ一箇所、浮いた球体の存在を除いて。


『お帰りなさいませ、シーナ様。仕事熱心であることは感心しますが、何があるかわからない中で一人歩きするのはいささか不用心ではありませんか?』


「たかが人間に遅れを取ることはない。それにパロンも余程のことがない限り戦闘許可は降りないでしょ」


『しかし、いかなる時も我々サポーターが側にいることを義務付け……』


「それは、私を監視するためでしょう?人相悪い奴らよりも私の暴走の方が懸念されてる。まあ、上が勝手にビビってるだけだけど」


『たとえそうだとしても、如何なる状況も想定した……』


「黙って。それ以上ごちゃごちゃ言うなら、また中身イジって改造するわよ」


『……承知しました』


 その後は何も言われず、パロンは充電器へと戻っていった。シーナはこの静まり返った部屋でただ一人憂鬱な感情に浸っていた。


 そこでふと思い出す。学校へ向かう生徒達の中で一人、何故か強い印象を抱かせた少年のことを思い出す。

 特別な何かを感じ取ったわけではないが、数ある人間の中でこうも意識を持ってかれたことに違和感を持った。


「……腹が減ったな。帰りにコンビニに寄ってくればよかったな」


 少しばかり、あの少年にまた会えるのではないかと期待して玄関の戸を開けた。

 やはり外は、無性に熱く思えた。


 =☆☆=☆☆=☆☆=


「これで今日は保つだろう。明後日からまた研究所に赴かなきゃいけないし」


 袋にはカップ麺、飲料水、弁当といった飲食類が詰め込まれていた。

 別にありえない光景ではないと思われるが、高そうな衣服と貧相な食事といったギャップによって、すれ違う者に違和感を抱かせていた。


「帰ったら、明日の予定の構築と、定期連絡用の資料を今日中に完成させないと……はぁ」


 背後に、自身をつけ歩く者の存在を検知した。

 後をつける若い男性が計二名。一定の距離を保ちながら明らかにこっちを凝視している。


 パロンの監視を外した手前下手にミスする訳にはいかないため慎重に。まずは人けがなさそうな裏道に足を運ぶ。同じく追跡者も裏路地に入ったところで道を封鎖した。

 外からは路地にいる二人の姿は見えず声も届かない状況。そこでシーナは立ち止まって振り返る。


「お、どうしたんだいお嬢さん。まず、日本語はわかるかな?」


「わかるけど、何?ナンパ?」


「まあ、そんなもんよ。どうだい?ちょっと俺らと遊んでいかないか。そんな粗末な飯よりも美味しいもの食わせてやるからさぁ」


「そんなこと言って、ついてくれる人いるの?子供でもついて行かないわよ」


 こんなところで長話するわけにもいかず、シーナは対人プロトコルを起動しようとしたその時だっだ。


「ああ!なんだとこのあ…ま?」


「おい!どうしたんだ兄貴…へ?」


 不審者二人はその場に倒れこみ、意識を失う。この異様な光景にシーナも困惑していた。


「ほんとに何、どういうこと?さっきまであいつら健康体だったのに」


「…まあうるさかったし、話の邪魔になりそうだったからね」


「…っ!?」


 突然背後から子供の声が聞こえた。しかし振り返っても誰もいない、そう思ったのだが。


「ちゃんといるよお姉さん。やっぱり宇宙人でも僕の特異体質に翻弄されるのかな?」


「お前は…朝に見た少年。いったい何故?本来なら学校にいるはずの時間ではないのか?」


 あの時見かけた少年。不思議な錯覚と印象を植え付けた不思議な人間。

 ありえない状況がたて続けに起こるこの現状に、理解が追いつかけない。


「僕って、体が弱いんだよね。大声出せないし元気に走り回れないし。それもあって今日は学校を早退することにしたんだ。着替えもして、コンビニで弁当でも買って食べようと思ったらたまたま君を見つけた」


「そうか。だが少年、何故私の正体にきずけた?確かに珍しい容姿かもしれないが、それでもなお一般的な人間の姿だろう」


「風の知らせ。僕の耳に何かがささやかれる。今日初めて出会う前から、この近くに住む地球外生命の存在を知っていた」


「おかしいな、理解できない。こんな私より、日本語が下手なんじゃないかな?そんなもので私の正体がばれたのか、はたまたかませだったのか。ともかく、君を見過ごすことはできない。あまり抵抗するな、ただ私の記憶を抹消させてもらう」


「ところで、お姉さんの名前は?」


「本当に日本語通じてないのか、少年よ」


「へぇ、アレフ・シーナって言うんだ。可愛い名前だね」


「…っ!??」


「僕の名前は咲山風璃(さきやまふうり)っていいうんだ。できれば僕と友達になってくれるかな」


「…ほんと訳が分からない」


 ペースがつかめないまま、二人はここで対峙することになるのであった。

次回はまた未定。ただ、あまり投稿期間を開けないよう努力します。

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