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風の鳴る頃  作者: フィング
1/9

1 苦労人な宇宙人

 えーこちら、なんか思いついた作品です。

 他の作品同様、ぼちぼち投稿する予定です。


 まあ、評価が良ければ本気出すかも?

 『君は、今まですれ違った人物を覚えているか』


 何も超人的な記憶力を求めているのではない。でも、疑問に思ったことはないか。


 『見ず知らずの人間が、どんな人物なのか』


 無論、見た人全員の素性を知ることなどできやしない。平凡な僕からしたら、誰もが平凡な人間としか思えない。事実そうなのであろう。


 『見る人全て、背景に溶け込むモブにしか思えない』


 かと言って、自身が主人公だなんて思うこともない。みんなと同じモブ。

 いくら崇められようとも、いくら蔑まれようとも、何も特別になれるわけではない。


 それでも、期待してしまう。


 『いつか主人公みたいに、輝ける日が来るのだと』


 =☆☆=☆☆=☆☆=


 地球のはるか上空。大気圏を過ぎ、場所は宇宙。そこに人知れず巨大な宇宙船が浮遊していた。


 眼下に映るは青き美しき惑星。()()は目を凝らしながらそれを見ていた。


 紫の瞳に金髪の女性。背も高く、アイドルの顔と比にもならないほど美しい容姿であった。

 しかし、彼女はいわゆる地球外生命体『宇宙人』である。


「あれが、惑星アース。ここに私達と同じ知的生命体がいるのよね?」


 彼女の問に答えたのは、宙を浮遊する球体。どこか機械的で、無機質なものであった。


『ソノ通リデス。監視対象デアルコノ星カラ、謎ノエネルギー反応ガ確認サレマシタ。モシ、我々ト同ジ外部生命ニヨルモノデアレバ排除シ、在来生物ニヨルモノデアレバ、保護スルヨウニ……トノ、ゴ命令デス』


「任務の復習ありがとう。で、調査する地域はどこ?事前知識を一切知らされてないんだけど」


『今回向カウ地域ハ日本。ナオ事前知識ハ、文明ニナレルコトヲ目的トシテ、現地デ使用サレテイル器具ヲ使イ調ベテモライマス』


「うわ、メンドイな」


『ソレデハマイリマショウ、()()()様。サポートハ引キ続キ()()()ガ引受マス』


「よろしくパロン」


 こうしてシーナとパロンは小型宇宙船に乗り換え、地球へと降り立つのであった。


 =☆☆=☆☆=☆☆=


 個体名アレフ・シーナ。

 地球に降り立ちはや三年。調査に来たものの、これまで一切まともな情報を得られていなかった。


 現在、最も進んだ技術を有する医療施設の研究員となっていた。

 謎のエネルギー反応はこの施設に関わる者の仕業と仮定し、潜入しているのだがあまり成果は出ていない。


「パロン……はエネルギー補充中か。今日は休みもらってるし、職場から呼び出しがない限り暇だと言うことね」


 否、調査に休みなどありはしない。

 とはいえ、正直飽き飽きとして来てるのも事実。調査という名の散歩もたまにはいいのかもしれない。


 借りてるアパートを出て、普段出歩かない方面に足を運ぶ。

 どうやらこの先には学校があるらしく、制服姿の中学生らがちらほら確認できる。


「案外、この子供の中にヒントを持つ者がいたりするのだろうか」


 向こうの学生らも、珍しい髪色と目を持つシーナに興味を抱いている様子であった。


「ねえねえ、あの人の髪って地毛かな?だとしたら私、金髪の人初めて見るよ」


「それなら、あの紫の目。カッコよくねーか」


「それよりも、あの立ち姿。女性の魅力もさることながら、男性じみた凛々しい感じも良い」


 やはり彼ら地球人にとって、この身姿は素晴らしく見えるのであろう。そう思われるのも慣れたものだ。

 こうして、学生一人一人に目を凝らす中、不思議な子を見つけた。


「なあなあ風璃(フウリ)、あの人スッゲー美人じゃん。ここら辺に住んでるのかな」


「……僕は見たことある。確か家が近いから」


 風璃と言う名の少年。近くに住んでいるといった事実も驚きだが、そんな彼の姿を一瞬見つけることができなかった。


 彼がまるでガラスのように透明である錯覚を覚えた。そんなことあるわけないはずなのに。だが今ははっきりと見える。

 見た目は普通の黒髪黒目の一般人。ただ、彼の見せる笑みはどこか優しく透き通ってるイメージだ。彼のその雰囲気があの錯覚を産んだのだろうか。


「不思議な人間もいたものだ」


 誰の耳に入るはずのないこの一言。だが……


「風の知らせ。聞こえてるよ、お姉さん」


 これが、道路を挟んだ初めての出合い。

 本来なら、すれ違うだけの関係だが、お互いに深い印象を抱くのだった。

次回、まだ未定

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