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勇者と愉快な仲間たち  作者: 通りすがりのジョニー
間章
6/9

?

えぐい描写注意?


間章はえげつないんで見ない方がいいかもしれないです。

何処かの√の1部分を出しているだけですから、みなくても多分話は分かると思います。




まぁそこまで期待されてはいないでしょうがね。


ーーー覚えていないーーー


「スグハー?おーい、スグハー!」

俺はやっとの思いで見つけた目的の人物を取り逃がすまいと呼び止める。あいつはいつものように口に手を当てながら考え事をしているようで、ゆらゆら歩いていた。何度か名前を呼ぶと気がついたようで、こちらに顔を向ける。そして一瞬険しい顔になると言った。

「···ん?どうしたナギサ?出発なら5日後だぞ?」

また言われた。これで今日6回目だ。

「いやいやいや!?俺が話しかける度に出発までの日にちを教えないでくれよ!?覚えてるからな!?」

「え、違うのか?あぁ悪いな、まーたこいつ出発までの日数聞きに来たのかよ···って思ったからさ?」

スグハは呆れるような顔をしながら、こちらを笑う。

「ごめん悪かった、悪かったから!!昨日は数刻おきに聞いて本当に悪かったから!!」

「いいや、気にするな。覚えられないなら聞くな殺すぞ、とか思ってたけど···いや冗談だ冗談?最近教えた土下座を披露しなくていいからな。」

スグハは本気なのか冗談を言ってるのかが分からない喋り方をする。これだけいつも一緒にいる俺にも分からないから、他の奴らも分からないだろう。そんなスグハに毎日のようにからかわれながらも、俺はこの日々を気に入っていた。

「お、我等が国王陛下がまた瞬撃の勇者を小馬鹿にしてるな?ファイトだ瞬撃さんー」

「頑張れよ勇者〜国王様が気が済むまで思う存分からかわれてくれ〜」

「もうあの二人セットで見るのが普通になってるよなー仲のいいこった。」

周りの兵士から冷やかしの言葉が投げかけられる。正直周りも俺の事からかってるよな···ちくしょう。

「···からかうのはこの俺のみの特権だ、全員持ち場に戻れ。張り倒すぞ?」

スグハは先程まで俺に向けてきた表情とはうってかわって、無表情な顔を兵士達に向けながら言う。

その言葉に兵士達は敬礼すると喋りながら去っていく。

「あれまぁ国王陛下が脅迫してきたぜーみんな逃げろー」

「国王様なんで勇者には表情豊かなのに他には殆ど表情が変わんねぇんだろうなーまぁあれで俺達にもすげぇ優しいけどさー」

「そりゃおめぇあれだよ陛下は全ての生き物に優しい神みたいな方で最近はあの勇者にぞっこっ···!?ひぃすみません陛下すぐ持ち場に戻ります!?」

スグハの殺気をすぐに察知して走っていく3人。周りに誰も居なくなるとスグハはため息をついた。

「一体誰だ···こんなアホに恋してるとか根も葉もない噂を広めたのは。僕は同性愛者でもないし···第一こんな獣人好きの奇人を愛せるわけがないってのに···」

「···おいスグハカズト。奇人って言うな···俺今すごい傷ついたぞ···」

というか恋とかそこらは自覚症状ありかよ···

俺の言葉に首をかしげながらスグハは両手を広げる。

「いやいや?こんな時代に獣人が好みのタイプ〜☆···なぞとほざく輩はお前だけだと思うぜ?それも、平和を求める筈の平人の勇者様がね?どっかのジャペリパークにでもいってはぁはぁしてくるんだな。」

「···また傷ついたんだが。どうしてくれるんだこのやろっ!!」

「おうおう〜暴力はいけないぜーしかも仮にも国王陛下の俺にそんな無礼を···これは死刑ものなんじゃない?」

掴みかかる俺をのらりくらりと躱しながらいけしゃあしゃあと言う。いつも喋り方を変えながら話すスグハ。これが国王なんて正直何度も戦場を一緒にいないと信じるわけがない。

「あれれー?お兄さんどうしちゃったのー?そんな引きつった顔して?表情筋千切れた?」

······時々訳の分からない言葉を言う。でも馬鹿にしてるのは分かる。

「···くたばれスグハぁあ!!!」

「きゃああーあの瞬撃の勇者、サザナミナギサがご乱心よー誰ぞー誰ぞおらんかのー」

「そのなんだっけ!?そう!棒読みだ!!棒読みって喋り方やめろスグハぁあああ!!!」

···こうやって過ごす日々。これがずっと、ずっと続けばいいのにな···といつも考える。


でも、もう今日の平和はおしまいだった。


「きゃぁぁああああああ!!!!!」

「!?」

突然の叫び声にスグハは驚いた。だが、この出来事を知っている俺は驚かなかっ···いや、驚く暇は無かった

「···ああ。」

これで何度目か。

「ぐわあああぁああ!!??」

「いやっ···やめて···やめてぇえええ!!!」

グシャリ。ビシャ。バキンッ。ボキッ。グチャッ。何度も聴こえる、聴きたくない音。

「殺さないでっ死にたくない!!死にた···」

「ひぎゃああああああああ!!!!」

数を数えるのも嫌になる回数、覚えている。

「国王陛下っ!!町で謎の殺戮がっ!?」

「おいリチラル!?どうなっている説明しろ!?」

「分かりません!!国王陛下我が身を優先に御·········守······り······」

なにかが滑り落ちる音。

「···リチラル?リチラル!おいっ!?」

朝か昼か夜か。日にちも、殺害方法も。町と叫び声の主以外は確定されていない悪夢。

「···リチラル···!!!···ちぃっ!!······おいナギサ!早くここから離れるぞ!···ナギサ?」

かといって···叫び声の主を守ってもその時だけ、違う誰かが殺されて始まる地獄。

「お母さん!!!お母さぁぁぁん!!!」

「陛下ぁああ!!!聴こえるならさっさと逃げろ!!!!俺が抑えてる合間にはや」

「おいナギサ!?しっかりしろ!!ここで立ち止まってりゃやべぇぞ!!ナギサ!!!」

100人。たったかもしれない。でも···絶対に救えない100人。

俺は最初の悲鳴からずっと屈んでいた。救えない人達に謝るように、見ないようにするように。

「国王っ!!!今までありがとうございました!!!一生この恩は忘れませ」

「誰か助けてっ!!!誰かっ!!神様ぁああああ!!!!」

聴こえない。

「やめろぉっ!!!それ以上やったら千切れ···千切れる!!!千切れ······」

聴こえない。

「国王陛下だけは生きてください!!!!今までありが」

聴こえないきこえないキコエナイ聴こえないキコエナイ聴こえないきこえないキコエナイ聴こえないきこえないキコエナイキコエナイ聴こえない聴こえない!!!

「うああぁぁあ!!!あああああ!!!ぁああああ!!!!!」

聴こえてくる全ての声を自分の声で遮断する。何度も叫ぶ。この回避不可能な殺戮を呪うように。

俺以外の町の人々が無作為に選ばれ、惨殺されて命を落とす日。先程の3人も···目の前のこいつも···例外じゃない。俺に出来るのは···出来るのは·········ここで死んでもらってはこの先、1番大変なことになるスグハが死なない事を願うだけだ。そう、スグハと俺の運を願うだけだ。

······しばらくした後·········なにも聴こえなくなった。

ゆっくりと立ち上がる。立ち上がった途端、はっきりとする血の匂い。せり上がるものを堪える。見たくないという自分を押し込めて···あいつを捜す。視界に広がる真っ赤な模様を、真っ赤な物体を1つずつ確認しながら捜す。

··················あいつは簡単に見つかった。いつも見せてくれるペンダントが変形して転がっていたからだ。


分かっていた。こんな事が起きることも分かっているはずだった。

正義感の強い青年は、1番英雄らしい国王は、人を助けに行くのは。


そして、人が集まった所には、高確率で殺戮が起こることも。


あいつは···スグハは多数の子供を庇うように覆いかぶさり、多数の子供と共に潰されていた。

中にある沢山の臓器は飛び散るように辺りに拡散し···周囲を紅く染め上げ


「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」


俺はその場で絶叫した。

〜登場人物紹介〜

スグハ-カズト 男 平人

国王陛下。ナギサをからかうのが趣味。自分が黒目黒髪なのをすごく気にしている。

1番強く、とても優しい王様

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