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勇者と愉快な仲間たち  作者: 通りすがりのジョニー
1話
5/9

4

勇者って主人公か悪役かあんまりどっちかしかないよね、



ちなみにワケワカメな所はある程度無視してれば後から分かる筈です···?

どうしても分からなければ···頑張ってください。作者が頑張るので。





ーーーフォトル付近『果ての森』ーーー


その森は外から見ればとても綺麗だった。青緑色に輝く木々。誰かが図式を使って植えたように互いの木が互いの姿を隠さないぐらいの間をあけて生えていて全ての木が素晴らしく綺麗に見えた。時々、風に流されるままにザワザワと揺れる枝は音で涼しさを感じさせて、景色で壮大さを出していた。それらはただ一つとして切られた様子はなく、昔からのまま他の誰にも邪魔されることなくゆっくりと育った森はそこだけ別世界からやってきたかのような神聖さがあった。ここは天国との境目か···と錯覚する程とても綺麗だった。

·································そう、森の外から見れば。

中に入った途端、豹変した。

まず、所々で何かしらのいざこざがあった事がありありと分かるような跡が沢山あった。

木が焦げてたり、折れていたり。地面が抉れていたり、何かを引きずった跡があったり···怖い。

次に、綺麗な木々は内側に入った途端に恐ろしいものに変わっていた。

青緑色に輝く森は外から見れば綺麗。内から見る周囲が全て青緑色に輝く森は恐怖を呼んだ。

あの方向だけの青緑色〜であれば美しい。だがそうではなく全方向からの青緑色は、森の薄暗さとお互いの不安感を強調しあっている···怖い。

更に、···この並び方って等間隔と言うんだったか?その等間隔に空いて生える木々の森はどの場所にいても景色が同じで、挙句草は人の身長ぐらいのが生えているから視界が悪いから、周りの何かの跡や自分の来た方向を覚えておかないと一瞬で迷子になりそう···怖い。

正直──────────むちゃくちゃ怖い。

いきなり木の影から、草の中から誰かが襲いかかってきそう···等、色々悪い事を考えてしまうには十分だった。

そしてそんな森で俺がやるのは運んでくるはずの人と共に消えてしまった荷物を探すこと。

荷物は確実に、ついでに人も救ってきてくれれば、と言われたが人の命がついででいいのかと思う。

でもそれもそのはず···この森は『果ての森』と呼ばれていて、名前の通りにこの世界の果て···つまり端っこにある森で、行方不明者が5日に8人は居なくなるらしい。生きて帰って来た人も片腕を失ったりして五体満足で帰ってこられないらしい。その人達が言うには異形の者が居て襲いかかられたらしい。もしもの為にも人の命より自分の命を本気で守るつもりで来ないと死ぬらしい。ずっとフォトルで暮らして初めて聞いたが、近くの森はそんな恐ろしい森だったらしい。

そんな話を初めて聞いて初めてやってきた俺が不安では無いことなどまっっっっったくなくて···

身体を震わせながら森に来たのだった。

「はぁ···なんでこんな目に遭わなくちゃいけないんだ···」

そう言いながら、周りを警戒しながら、荷物がないか探しながら、俺は怯えながら進んでいた。一歩一歩進んでいくにも勇気が必要で、踏みしめる度に心が折れそうになる。

「店長さん···荷物きちんと取りに行けなかったからってこんなのは無しだろ···」

俺がこんな場所に来る原因となった人物を思い浮かべながらそう呟いた。

そいつもより恐ろしく感じた店長さんの笑顔に怯えながら帰ってきたあの時を頭に浮かべる。

受け取れずに戻って、経緯を話せと言われ、全部話した後に言われた後、

『はぁ······何故、こんな簡単なお使いすら出来ないのですかね···はい?だから場所も合言葉も教えてくれなかったからだって?ナギサ様、いっぺん死にます?死んでみます?え?嫌だって?そんな事決められませんよ?···でもまぁ···場所も分からないのにたどり着けた事、不明な合言葉代わりに何処から聞いてきたのか分かりませんが、私の名前を出すという行動は認めます。私の名前を出したせいで受け取れなかったのでしょうけど············お陰でどう思われてるか分かったがな············ん、いやこちらの話です。はい、許してあげますよ。代わりにナギサ様への罰はこの捜索書です。うん?人の救助かって?いいえ、配達人はどうでもいいので、死体だろうと生体でも。その方が持っているはずの刀をもらってきてください。私はナギサ様が、受け取れなかった荷物をもらい、ボケ共を半殺···いいえ楽しいお茶会に誘いますので。ええ、たのしーいお茶会です。ではいってきます···あぁちなみに、刀は大切な大事な私物ですから、必ずお願いしますね?いいですか?出来なかったら···分かりますね?』

と脅···もとい、お願いされたためにやって来ていたのだった。

「ったく、あの人なんなんだよ···名前出すだけであんな事になるって···一体なにをして生きてきたんだか···」

とにかく。刀を持って帰らないと殺られるのはわかっている事だ。数日かかってでも見つけないと俺に未来は無い。多分あの二人と同じ末路を···いや楽しいお茶会に呼ばれることだろう。それだけは嫌だ。最初の町で死ぬのは嫌だ。まだあいつと会ってすらないのに···············

「···そういや、あいつとはいつ会うんだっけ。」

確か、あの店に泊まらせてもらってから50日ぐらいに···今は47日目なはずだからあと3日後···あれ、でもこの日におつかいとか、ていうか今やってる事なんて今まで無かったはず···あれ?

思い返してみれば、この日はこんな事なんてしなかった。いつもなら、そう、いつもの道筋なら。ただゆっくりと、店の手伝いをするだけ。笑いながら色々教えてくれる猫さんと、それを静かに眺めながら注文された軽食を作る店長さんと一緒に。

そういえば、俺が脅され、いやいやお願いされていた時、猫さんは居なかったな。

ただ一つ、《今日は帰ってこられません。ごめんなさい》と綺麗な字でいつかと同じ書き置きを残して。

あれはいつだったか。あれは···確か···


ドォン!!!


突然聴こえた爆発音にバッと飛び上がる。記憶とにらめっこしていた自分を今目の前に集中させる。

(なんだっ!?なんの音だ!?)

周囲を怖がってた時より警戒する。何処から出来ていたかは分からないが、長い草を無理やり踏み潰し、何度も人が通って出来た道の上を気づけば歩いていた。深い所まで来てしまったのか、手を加えられたように等間隔にあった木は、ごく普通の森のようにばらばらな育ち方をしていて、先程よりも恐怖を煽る。

『想像の恐怖より現実の恐怖だ、怖がるな。想像上の化け物より現実上の人の方が1番恐ろしい』

···あいつの話を思い出す。呼吸を整えて辺りを見渡す。恐怖心を押し殺して様子を伺う。

『大きな音が自然な音なら異形を警戒しろ。自然な音でなけりゃ、魔法や道具。獣人か平人を警戒しろ』

さっき聞こえたのは爆発音。どう聴いても自然じゃない。ならまだ怖くない。

さっきより落ち着いた呼吸で音のことを立ち止まり考える。

配達人がなにかに襲われて道具かなにかを使ったのか。しかしあの音以外に音はしない。ならば逆で、配達人を襲った奴らが道具を使ったのかもしれない。それか違う誰かが困っているのか。

もしも配達人だったら、困っている人が居たなら、確認しに行かないと。

道を外れて音の方向へ近づく。草をかき分けて進んでいくといきなり草が途切れる。見れば不自然に草が刈り取られていた。その辺りの木も無くなっていて、真っ直ぐ何もなくなっている。まるで道のようになっていた。

(なにか呼ばれているようですごく嫌だな···)

そう考えたが音の確認するためだ。背に腹はかえられぬ。···だっけか?

ともかく、その道のような道へ、俺は1歩踏みだ




























「···················································あ···············ぁれ······?」

気がつけば、俺は横に倒れていた。

起き上がろうと力を込めるが···全く力が入らず、藻掻くのみだった。

(一体···何が起きた?)

そう口に出して言葉を発しようとするも

「·········いっ···げぼっ··················がはっ···」

と唾液と共に咳が出るだけ。口の中の液体を全て吐き終えても、次から次へと溢れだしてくる。

「···············ひゅ······ひゅ······」

息をする度に身体が苦しい。

片目からの視界が入ってこない。片方の視界も朦朧とし、見えづらい。

音が何も分からない。ただずっと鳴る五月蝿い音を聴き続けるだけ。

何故か···身体が熱く···冷たい。寒い。

それでも、確認しようと目を動かす。一生懸命この事態の原因が分かるような物を探す視界の奥に何処かで見覚えのあるなにかを見つける。

それは、俺がいつも履いている靴で、その靴をつけている──────────片足が転がっていた。

「··················っ!!」

つい先程まである筈の、いや、なくてはいけない筈の片足は離れた途端に他人になったかのような無関係さで静かに転がっていた。その断面をまるで見せつけるかのようにこちらに向いて、剥き出しの肉と骨を見せつけるかのように落ちていた。それを見た途端に、じんわりと思い出したかのように広がる痛み。

「っあ·········ぐぅっ·········!?ごぼっ······げほっ!!」

痛みと恐怖に叫びだそうとするも溢れる唾液に遮られる。何度か嘔吐いた。

·········痛みによって朦朧とした視界は晴れて、それにより、唾液だと思っていた液体が真っ赤だった事、右半身がが真っ黒に焦げていたのがはっきりと見えた。

少しずつ地面を染め上げながら、広がりながら流れる血液。痛みも感じぬ程に焼きただれてぐちゃぐちゃになっている身体は、周りの温度により焼け焦げていく。

そこまで分かった時、なにかがふっと緩んだ。いつもより早い死亡だ。思わず笑いが出る。

(···そ···か。俺······た死···)

思考······々暗···に落ちていく。

あぁ···またあ······怒···れる······ろな···

············スグ··········································













「···んー······んーんーんー···············?」

「ごめんちょっといいか?今回死ぬの早すぎじゃねぇか?」

「まだ最初の町だろうがよ···マジで早死にすぎやしねぇか?」

「お前、なに?死亡迄の最速所要時間の更新目指してんの?死亡タイムアタック、STAでもしてんの?」

「はぁ···てかカッコよく送った俺の気持ちも考えろボケが、今までで1番カッコつけてたぞ?なのに颯爽と死んでんじゃねぇよ、この雑魚、死ね。あ、死んだからここに戻ったのか···」

「フォトル何回目だよ···これで4276回ぐらいだぞ?俺が覚えてる回数でこれだぞ?これ以上は死んでるからなお前?」

「···あ?いつもと出来事が違う?俺に聞かれても俺もわかんねぇよバカ、聞くぐらいならさっさと行ってこいアホ、マヌケ、スットコドッコイ!」

「······少なくとも朝の猫には絡まなくていいだろ、あれ。店長が来てなかったら犯され···あぁうるせえ!恥ずかしいじゃねぇギャーギャー喚くな黙れっつの···というかあいつあんな感じだったんだな···正直ヤバいなマジで···お前耳だの尻尾だのであいつと仲良くしてたら多分ろくな事ねぇと思うぞ?」

「あともう1つ。荷物さっさと受け取って帰ったらなんかあるんじゃねぇの?合言葉キチンときいてりゃなんとかなるだろ···まぁ、お前は死んでる間じゃねぇと俺も俺との会話も覚えてねぇんだろうけどな。」

「じゃあな、せいぜい頑張れよ。···襲われんなよ?前から言ってるが感覚はてめぇと共有だからな?気っっ色悪い事されんじゃねぇぞ?」

〜登場人物〜


・サザナミ-ナギサ 男

これの主人公。死んだけど一応主人公。

・店長(シイラギ-アスズ) 男 平人

喫茶店『エブリデイ』の店長。いつも笑顔を絶やさない。女性から強い支持を誇っている。

怒ると笑顔のまま無言で近寄ってくる為めちゃくちゃ怖い。名前は誰にも教えていないが、諸事情によりナギサには1度明かした。

・猫さん(???) 女 獣人(猫)

喫茶店『エブリデイ』の従業員。とても愛想がよく男女問わず人気があり、この店への客足は殆ど彼女のお陰なような気がする。···が今回でなにか怪しい事が発覚する。


今はこれだけ

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