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勇者と愉快な仲間たち  作者: 通りすがりのジョニー
1話
3/9

2

変な話の続きです。


ーーフォトル中央区の中央の中央噴水広場ーー


どの方向からも人の話し声がきこえる。きこえない方向があるとすれば、この休憩スペースという名前の(ここで物を売る人達がみんなで決めたらしい)商売禁止の噴水広場の周りのみだった。溢れかえる人達の波にボコボコにやられ、フラフラと奇跡的にやって来れたのがここだった。ここには初めて来ただろう旅人さんや、子供連れの家族だったりがゆっくりと休憩していた。とか思いながら見ている俺も噴水近くのベンチでぐったりと死体のように休んでいた。

「もう嫌だ···嫌だ中央区···誰だこんなとこつくったの···」

俺は休憩開始からずっとこう言い続けていた。

中央区。今日も朝から多くの人が居る。その多さは店長さんの喫茶店がある東区とは違い、毎日、いやほとんどずっと人が溢れかえっていた。なぜかはすぐに分かった。色々なお店がズラリと並び、どの店も他店とは違ういい商品が揃っていて、その多さには思わず全て見て歩いてしまうほどだからだ。毎日行っても少しも飽きる事がない。そのため街の人は毎日来るし、旅人も興味を誘われてやって来るため、夜行こうと朝早く行こうと沢山の人がいるのだった。まぁそこまでならいつかは中央区の事を全てわかる人がいそうだが、

「おい、ここの店昨日は道具屋だっただろうが!!なんで衣服屋になってやがる!?」

「残念だったなあんちゃん。その店なら俺の店と場所替えしちまったよ。ほらほら見ていきな。」

とやり取りしている人を見てしまった。これが原因だ。正直、中央区の地図が作られない要因でもあるのだと思っていた。

店が全て同じ種類、例えば武器なら武器、盾なら盾を売っている店が集まってるわけではなく散らばって中央区で商品を売っている···上、店の建物を作ったり壊して変えてしまうし、先程のように場所も変えやがるためにもっとワケが分からなくなる。毎日行っても違う店。しかし、もっと酷いのがあり、それが、

「あれ、ここさっき来た中央噴水広場じゃん!?また戻った···!!」

「クソ···これで何度目だったか?ちくしょうこの店何処だよっ!」

「なんでだよっ!!ここは迷路か!!!」

これだった。中央区はまるで迷宮のように入り組んでいる。お陰で1日に2、3人居なくなっても気づく人なんていないのでは、と思うほど迷いやすく、あれみたいな同じ人を何度も見かけたり、よく行き止まりにあたったりする。なので一日中いる人(主に旅人)もいるし、最終的に所々にある移動しない宿屋で泊まる人(主に旅人)がいるらしいのだった。俺はここにお使いを頼まれ何度も来るのだが、(店長さんが調べた絶対位置も見た目も変えない店を教えてもらうのだが)いつ来ても迷子になる。朝からやってきても他の人みたいに結局夜まで探す羽目になったりする。だから正直ここにはあまり長い時間居たくない。早めにすませ早めに帰りたいのだが···できないでいた。肩を落として去っていくさっきの人を見たあと、ボヤく。

「···ホント、どこにあるんだ『商品の寝床』って店の場所···」

実は、朝の時に店長さんから逃げるように中央区までやってきたので、肝心の場所を教えてもらっていなかったのだった。それでも頑張ってみたが、探そうにも奥へ進むだけですぐ迷い、波にやられるため行くに行けなくなったのだった。というかまた出発したらもう休憩スペースに戻れない気がする。しかしここは中央区の中央にある中央噴水広場。完全に中心の場所なのでここからなら真っ直ぐ行けばいいので東区の方向が分かる。だから場所を聞きに戻れるには戻れるが···今戻ると店長さんになにをされるかわかったものじゃない。そのため行くしか選択肢はないが。

「またいつかの時みたいに店名を見ていくか···」

こうなった時にまだありがたいのが、店の名前はみんな競うように大きく書いている事だ。それに名前も被りたくないのかみんなすごい名前のお店だ。『高級人の高級品のための高級店』『一撃必殺』など······

なぜかいきなり店長さんの言葉が頭の中で繰り返された。そこでふと気づいてしまう。

「そういえば···店なんて言わずに場所って言ってたような···」

もうひとつあった迷子の原因、そして長い時間居たくない理由。中央区で物を売る人の中には少しでも間があればそこで無理やり店をする人もいて、すごい時には時々道を遮るように台を置き、物を売る人もいる。そのせいで一日内にも道が変化するからでもあった。でも代わりにそういう店では掘り出し物?という珍しい物も多いらしい。多分これのせいでもっと人が来たり、多くの人が迷ったりしてる。

···あの店長さんは場所と言ってたはずなので、

「·································うわぁ······」

考えただけでもう嫌だ。もう店長さんの所じゃなくて違う所に帰りたい。これでもしも、一生懸命探し続けた後、実は西区でしたーなんてのだったらその店の店長とあの店長さんを絶対ぶん殴ってやる。···いや店長さんは殴ったらあとが怖い。よし、2発分目的の店の店長は殴ることにしよう。そう決心した。



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