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勇者として召喚された魔王さま  作者: 隙あらば自分語りおじさん
3/5

2話 仲間






 分かったことが三つある。

 一つはここが別世界、つまりは異世界だということ。2つ目は魔王であるはずの私が勇者として召喚され、魔王退治に駆り出されるということ、そして何よりこの世界のステータスレベルはさほど高くないこと。

 三つ目に関しては、人族しかわかっていないし、個人差が全違う可能性だってある。しかし、勇者のレベルがある程度わかった以上大きな収穫といえる。

まぁ、勇者は割と強そうだったから警戒しないと。敵になりうるほどではないけど、覚醒とかされたらそれはそれで厄介だ。

問題は最弱の勇者として出たためこの後の扱いがどうなるかだけど。


「んー、そこが肝だよな...」


思考の沼にはまりそうになりそうなとき部屋の戸がたたかれる。

―――コンコン


「あ、はい、何でしょう。」


人族に礼儀なんているか?なんて思いも出そうになるが返事はきちんと返す。


「サルファスさまが、王の間よりお待ちです。」


サルファ?王の間ってことは人族の王のいるところだろう?ってことは王様のことだろうけど。昨日のご老人かな?


「はい、今行きます。」


 少し大きめの戸を開けて通路へと出る。

 自分が案内された部屋はさほど簡素なものではなかった。

 人が30人ほどは入りそうで、いたるところで金が使われている。ベットは、5人ほど一度に寝れそうな大きさで、沈み込むような柔らかさがあった。ほかにも、本棚丸い小さな机、飾り気はないが形に優雅さを覚える椅子。職人とも思える形をした家具ばかりだ。人族はこういったものを好むんだな。元の自分の部屋よりは小さいが、ゆったりとするには十分な部屋であった。


「?...いかがなさいましたか?」


今出たばかりの部屋をじっと観察していたのが不思議がられたようで、


「い、いや、きれいな部屋だなと...」


少しぎこちなく言葉が出る。


「そうですか!それはうれしいです!そういわれると私たちもこの仕事に誇りが持てます。」


キレイに保たれている部屋と受け取ったみたいで、まあそれはそれでよかったのかも。


「では、そろそろ行こうか。待っているのであろう?サルファス殿は。」

「あ!はい。ではご案内させていただきます。」


数分歩き、侍女が立ち止まる。


「この先にお待ちになっておられます。」


そういって侍女はぺこりと頭を下げ、扉の横側へと立つ、そして、


「勇者様、最後の方が参られました。」


 軽く言葉を発した。すると目の前の扉が、ギギギと音を立て開く。

 目の前に映る景色は、昨日見た景色とさほど変わらない。昨日いた場所もここなのだろう。広く高いその部屋の真ん中には、真っ赤なカーペットがまっすぐ道を作っておりその先に昨日のご老人がいる。やはり、と確信させられた。

 先ほどの侍女の言葉通り、最後の勇者のようだ。ほかの三人はすでについておりこちらに目を向けている。というか、視線がいたい。

 そそくさと、小走りになりながら三人のいるところへと向かう。


「よう。昨日は寝れたか?」


 昨日の真の勇者様が声をかけてきた。


「あぁ、ぼちぼちね。」


 そもそも、この身体じゃあ休息はいらないし、目をつぶっても魔力完治は常に発動しているから、寝ていると表現していいものか悩むが、そんなことは口が裂けても言えない。


「今日は何をするんだ?。」

「ほら昨日俺らの仲間?を紹介するとかなんとかいってたじゃん?それだと思うけど。」

「あ、あぁ言ってた気もする。」

「おいおい、しっかりしろよ。まだ寝ぼけてるんじゃないのか?」

「そんなことはないと思うが、どうだろうな。」


 人族と会話なんてしてことがあったろうか。懐かしい気もする。

 やたら交友的だし、無下にするのもあとあと面倒だから一応受け答えはしておこう。


「ん?そういや自己紹介がまだだったな。俺はリョウガ、そんな変な世界に巻き込まれた同士元の世界に帰れるまで頑張ろう。」 

「あぁ、そうだな。よろしく頼む。」

「そういや昨日、あいつらと似たような恰好していたけどこの世界の住人ではないんだよな。」

「あぁ、この世界の人間ではない。でも、多少似たような世界だ。おそらくは君たちよりね。」


 今は、ここの住人の格好をしているが、昨日の服装は明らかにたどってきた文明が違う。

 おそらくは目立つからと着替えさせられたのだろう。あの服がどういうものなのか気にはなるため、機会があればよく見てみたい。


「俺たちは『日本』っていう国からここに連れてこられたんだけど...まぁわかんないよね。」

「んー、聞いたことがない国だな。まあ私も自分の世界以外の国は知らないから当たり前なのだが。」


 二ホンかどこかで耳に挟んだことがある気もする。召喚に応じる人族に多い国とかなんとか。んー、少し曖昧過ぎるな。この件に関してはもういいだろう。私が帰るべきところではないのだから。


「こちらも準備ができたので、話を始めさせてもらう。」

「昨夜は慌ただしかったものだから、名乗るのを忘れてしまった。私はこの国を治める王、サルファス三世である。昨夜もお伝えした通り、この国、いや世界は人族が住まうには厳しい状況に追い込まれている。そこで、君たちを召喚させてもらったのだが、今日は君たちにそれぞれの仲間を付けさせてもらう。彼らを盾とするも矛とするも君たち次第だが、何より彼らと共にここより旅立っていただきたい。そして仲間であることを忘れないでいただきたい。」


 つまりは、使い捨ての駒にしてもよいができればよりよく役立ててほしいということか。

 王が言葉を終えると、横の扉からぞろぞろと人が入ってくる。あの中から仲間を選べってことか。私は一人で旅立ちたいのだが、最弱を一人ほっとくわけもないだろうし、これは、受け身で仲間選びしたほうがよさそうだ。


「ここにいるのは手練れの冒険者ばかりじゃ。安心して選ばれたまえ。では、選びたまえ!」


 そういうと同時にざっと先ほど入ってきた人たちがこちらを向く。

 あぁ、自分たちで選ぶんじゃないのね。なんか紙持ってるし、たぶんステータスとか書いてあるんだろうな。これはむしろ好都合なのでは?だれ一人選ばなかったら一人旅できるし!

 各自見ていた紙と違う紙が光りだす、そして自分たちの前に青色の文字が空中に浮かび上がる。


リョウガ――24


ミライ――18


タクマ――14


ハムレット――1


 うん。これたぶん、投票数だろうな。予想はするまでもなくわかってたけど改め数字で表されると感じるものがあるな。

 あ、ほら。横にいるリョウガなんて苦笑いしてこっち見てるよ。

その向こうのあの子誰だっけ?タクマだっけ?スゲー笑ってるんだけど。いや、てか、わらいすぎだろ!

 ミライとかいう子もすごい心配そうに見てるけど、まぁ、仕方ないよね。昨日のステータスあれだもんね。


「それでは勇者諸君、次は君たちが選ぶ番だ。」

「ちょっと待ってください。これはあんまりではありませんか?どう考えても昨日のステータス的にハムレットさんが選ばれにくいのは明確でしょう。それを考慮した選択の仕方をするべきだ!」

「君の言うこともわかるが、彼らだって生きている人間だ。盾にされてもいいとはいえ、死にたいわけじゃない。彼らにも自分たちが信頼できる相手を選ぶ権利があるだろう?それとも君は、ハムレット君のためにここの人間みんなを無理やり危険にさらすのかい?自ら選んだ仲間と危険に挑むのと無理強いされたものとでは全く違う。そうはおもはないかね?」

「そ、それは...そうだが...」

「それに、この後君たちはギルドに行って登録してもらうわけだが、仲間の平均のレベルまで一気に昇格する手はずとなっている。いきなり、ハムレット君をドラゴンと戦わせるほうが酷であろう?」

「そ、それなら、だいじょうぶか...」

「うむ、納得してもらったところで選んでもらおうか。」


 リョウガも渋々といった具合ではあるが納得しているみたいだ。私にとっては、別に仲間などいらないと思ってていたぐらいだからどうでもよかったのだが、リョウガからしたら一大事だったのだろう。

 あれが真の勇者ってわけだ。仲間思い、弱者を助け、人族を魔の手から救う。まさに理想像ってわけか。

 数分後、全員選び終わったみたいで、選ばれた冒険者と話し合っている。リョウガはもともと女性冒険者からの投票が多かったらしく男女差2体4の6人パーティーだ。リョウガは顔立ちかとてもすっきりしていて、(人族で言うところのイケメンという奴だろう)人当たりもいいから当然の人気だっただろうけど。ミライの方は、その逆で男性がかなりの割合を占めていた。それでも、2対2の4人パーティーにしている。タクマは半々ぐらいだったが、2対3の女性多めにしているのが見受けられる。

 そして俺はというと。


「...」

「あのー、...」

「......なんだ...」

「あなただよね。私に入れた1人って。」

「............あぁ。」


...あぁ。ってなんやねん!...変な言葉遣いが出てしまった。それにしても、誰でもいいやとは思ったが、ここまで意思疎通できないとは...

 見た目的にはかなり若い。恰好は、かなり露出が高く、マフラーに胸元だけを隠した半そで?半そでより短いが...へそは出ており。ズボンもかなり短い。黒髪に、ショートカット、胸部はかなり盛り上がっている。目は常に鋭く、腰には全体が銀色のナイフが何本も刺さっている。手練れのように見えなくもないが、その防具、防御力あるのか、かなり怪しい。体はかなり引き締まっているため(一部を除いて)、鍛錬はされているものだと思う。


「あのー、間違えて選んでしまったなら、変えてもらうようお願いしますが。」


ここまで人族に仕立てに出たことは今までなかった。でも、なんかこうしなければならないような気がした。



「いや違う...!.........私が自ら選んだ...選択に......間違いはない。」

「そ、そう?ならいいけど...」



 どうゆうつもりで選んだかは気になるが今はやめておこう。


「先ほどはあのように言ったが、おぬしのレベルに応じた仲間を見繕うくらいならできよう。あと3人ほどいれば安全であろう。」


 少しの心配と大半の同情から来たであろうその言葉は、王にとっても焦りが見えるものである。

 ほかの勇者さまとの関係を崩したくないんだろうな。


「いや、大丈夫だ。きずかい感謝するが、今はこの人数で事足りる。それに旅の中で仲間を探すのもまた一興だろう?」

「そうか。それもそうであるな。では、私からはもう何も言うまい。」

「いいのか、ハムレット?仲間がいれば少しの情報源にもなるし、安全性が増す。あと一人や二人増やしても問題ないと思うが。」

「リョウガ、別に私は魔王退治に興味がさほどない、このステータスではそもそも勝てないだろうから、私は帰る手段を探すほうに専念したいんだよ。」

「なるほど。そうだよな、うん。そのほうがいい!手段見つかったらおれにもおしえてくれな?」

「あぁ、もちろんだ。」


 帰る方法を最優先にしていることには嘘はないが魔王退治に少し興味がある。別に嘘をついてだまそうとは考えていないがこっちのほうが早く話がまとまりそうだったからな。魔王退治は出会えれば戦ってみたいなくらいだったから、あながち嘘ではないだろう。


「では、そろそろ旅立ってもらうとしよう。」



王様こと、サルファスが杖をコンコンっと鳴らす。

すると足元に魔法陣が浮かび上がる。見たこともない魔法陣だが、転移魔法にどこか似ている。


「これは転移魔法だ、君たちにはこれから各村で冒険者登録をしてもらう。わからないことがあれば仲間に聞いてくれ、そのためのパーティーでもある。それでは、勇者諸君、良い旅を。魔王退治任せたぞ。それと、最後になるがくれぐれも‐―――――――――」

 

 意識が薄れていく中、サルファスの声が聞こえる。

 最後、何か言っている気がするがまあいいか‐―――――――――――













――――――――――――――――――――――――――――――――――――――











 意識がはっきりしてきた。目の前の光がなくなり、緑が目を覆う。どうやら到着したようだ。

先ほどサルファスは街に着いたら~...なんて言ってたが、街に転移してくれるわけじゃないのか。一座標を間違えたって線もあるが、とりあえず街を探そう。

 あたりを見渡すと一面草、草、草、遠目で見たら森も見えるが周りは見る限り野原が続いている。

近くには大きめのバックと人が倒れており...人?あぁ!そういえばもう一人仲間として来てたのがいたな。


「ん...やっぱり転移魔法はなれないな...」


どうやらお目覚めのようで、独り言のように悪態をついている。


「その様子だと転移魔法が苦手なのか?」

「え?!あ...いえ!...は、はい...」


すごく焦ったように肯定する。独り言を聞かれたのが恥ずかしかったのかな?


「いつも、頭が激しく揺らされるような感覚になるんです。」

「魔法覚えたての頃みたいな症状だな。」

「知っているんですか?この症状のこと。」


 知っているも何もそもそも魔法覚えたばかりのころや、初めて回復または補助魔法受けたときになるやつだ。人間はどうなのか分からないが、最初体はすべての魔法を同一と考えている。だから、攻撃魔法に対して体がレジストするように、回復魔法や補助魔法にもレジストしようとするときがある。そうゆうときに頭が痛くなるんだけど...簡単に言うと体が魔法になれてないだけだから何度か受ければ勝手に識別するようになる。毒耐性や麻痺体制を付けたいときにすることと同じだからな。


「症状も何も、体がそれに慣れてないだけだから時期なくなる。そんなことよりもこの近くの町はどこなのだ?」


 見る限り街なんてないぞ。っと少しあきれたように言ってみる。


「ここはリヨーシ高原。あそこの森が魔鋼樹の森、鉄鋼がよく取れる森。」

「詳しいんだな。この辺に故郷でもあるのか?」

「ない。よく旅をするから詳しいだけ。町に行くならあっちに一番近い町がある。」

「お前、敬語になったり淡々としゃべったりと忙しいな。」

「そ、それは、きみが・・・・」


 ぶつぶつと何か言っててよく聞こえないが、とりあえず町の行き方は分かったからさっさと向かいたい。

っと、その前に。


「そういえば、なんで私を選んだのだ?魔王を倒したいとか、英雄になって注目を浴びたいなもっと他にいただろ?」

「え?...あぁ、別にちやほやされたいわけじゃない。私には勇者の一行に加わる必要があった。そのために一番競争率が低そうな君を選んだ。あ、あとは、顔が少しこ、好みだったから...」


勇者についている必要か...勇者しか入れないところでもあるのか?それとも、勇者っていう称号には何かあるのか?どちらにせよ、警戒していたことではなかったから安心だな。正体を知っているとか、強さを見破っていたとか、だったら連れて行って監視する必要があったけど。そうじゃないなら町まで案内してもらった後別れるか。人間の目に映った瞬間から発動する魔法は解けてないはずだし、そこまで警戒はしていなかったけど万が一あがるからな。


「事情は分かった。そろそろここを移動しよう。」


 先ずは町だな。

 さっきからずっとぶつぶつ言ってるけどこの子大丈夫か?

 少し心配になってきた。


何とか2話目完成。ふぅ(´▽`*)

何か違和感や、誤字、脱字あればどんどん行ってくださいm(__)m

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