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勇者として召喚された魔王さま  作者: 隙あらば自分語りおじさん
2/5

1話 召喚

  



 光の中に少しの懐かしさを感じる。

 昔これと同じ感覚を体験した感じがする。昔というのも魔王をしていたころの記憶にはこんなものはなかった。

 では、どこで?

 思い出そうにも頭に靄がかかる。気持ち悪い感覚だ。この感覚は前にも――――――


「...しゃさま...うしゃさま...」

「勇者様!」


 突然の声に少し肩が上がる。


「ん?」

「...お気づきですか?」


 目の前にいる女性(おそらくは人族)は安どした表情で私を見ている。


「お気づきのようですな。あなたで最後のようですし、安心しました。気分はいかほどかな?」


 女性の後ろにいたご老人が椅子に座りながら、やさしそうに話しかけてくる。あたりを見渡すと何人かいるようだ。どれも見たところ人族のようで服も簡素なものは少ない。特に椅子に座っているご老人は、明らかにほかの人族より身なりがいい。

 人族の長、王様というにふさわしい風貌をしている。しかし、私が知っている人族の王とは全く違う。

 王を変えたのか?それとも別の国か?でもこのような顔の王はどの国にも見たことがない。

 疑問が次から次へと出てくる。

 悶々としていると、自分の隣にいた人族が声を荒げた。


「そろそろ、説明してくれ!ここはどこなんだ!俺は塾の帰りだったんだぞ!親も心配している。何かの撮影ならさっさと返してほしい!」


 撮影?塾?

 聞きなれない単語ばかり出てくる。

身なりもおかしいしわの少ない黒と白の服儀式で使われそうだな。

 大方ほかの4人くらいも似たり寄ったりの格好をしている。

なんかの組織か?


「そうよ!私たちはなんでここに連れ去られたの?!頭が痛くなって...それで...気が付いたらここに...もしかして誘拐かなんかなの?!」

「まぁ、落ち着いてくだされ。きちんと説明しますとも。...そもそもここはあなた方がいた世界とは違います。」

「世界が違う?」

「はい、私たちが異世界より...いえ、あなた方の言う世界から私たち異世界へと召喚させていただきました。」


 なんとなく状況は理解してきた。つまりこれは勇者召喚の儀式かなんかだろう。問題は、魔王である私がなぜ召喚されたかだが。


「召喚!僕たちは、勇者かなんかってこと!ほんとに!異世界転生とかスゲーww」


 先ほどまでずっと、下を向いていた少年が喜びの声を上げる。


「じゃ、じゃあチート能力とかあるわけ?どんなんだろう...!」

「はい、異世界より召喚された勇者様はどの方も特殊な力、強いステータスなどを持っております。お一人だけ理解が早いようで助かります。」


 ご老人は淡々と説明しているが、顔には少し焦りが見える。何を焦っているのかが気になるところだが、それよりも先に。


「少しいいか?質問があるのだが。こやつら...いや私たちが召喚されたのは勇者として何かをしてほしくて召喚したのであろう?目的はなんだ?」

「はい、我々の世界には人の住まう国が三つあります。もともと五つだったのですが魔王軍により壊滅しました。そこで、魔王討伐をしていただきたいのです。」

「とはいっても、そう簡単に倒せるをわけでもありません。そこで皆さんにはパーティーを組んでいただき、各自力を付けるために旅に出ていただきたいのですが。」

「王様、それよりも先に...」

「あぁ、そうそう先にステータスの確認からだったな。すまん、この年になると忘れっぽくてな。」


 あははと笑う王様を尻目に隣の男が隣の男がきつい口調でしゃべる出す。


「おい、それには拒否権はないのか。私はこんな茶番には付き合っていられない。もしもここが別世界だというのであれば今すぐにでも返してもらいたい。」


 そんな言葉に王様の表情は、真剣になる。


「すまないが、君たちに拒否権はない。そもそも返す手段がない。従わず出ていくのもいいが野垂れ死んでしまうのは君たちだよ。」

「ふざけるな!返し方も知らないで呼んだのか!無責任にもほどがある!こんな...こんなぁ...!」 


 

 彼はよほど元の世界に未練があるようで、怒りと悲しみの混ざった悔しそうな表情を浮かべながら下唇を噛んでいる。

 その唇からは赤い体液がすっと流れ落ちる。


「すまない、本当にすまないが、我々にも後がないのだ。魔王たちの進行はどんどん増すばかりだ、これ以上苦しむ市民をほおっては置けないんだ。どうか我々を救ってくれ...!」


 王は頭を下げながらすまないと言い続けた。


「そんなの、そんなの卑怯だ...。」


 悲しそうな表情を浮かべながら彼は少し考えた。


「分かった。返す方法が見つかるまでは協力しよう。返す方法が見つかった場合すぐに教えろそれが最低条件だ...。」


 ふむ。根っからの善人だな彼は。なんだかんだ言いながらも魔王たちの侵略に怯えて暮らす人たちを想像したのか。

 私はどうしたものか。正直、ここを離れても死ぬことはない、しかし、元の世界へと帰らなければならないのは私も同じだ。人族に協力したほうが情報は集めやすそうだしなどうしたものか。


「皆さん納得されたようなので、ステータス確認をさせていただきます。この玉を手で握っていただきグッとお腹と手に力を入れてください。」


 軽ーく説明するこの女性は身なり的にそこまでの身分ではなさそうだ。


「こ、こうか?」


 玉に力を入れると玉が光りだす。


「では、こちらの石板に順に玉を置いてくださいな」


少し小さめの石板を手にもち、ここ!ここ!と指をさしている。


「んじゃあ、ぼ、僕一番で!」


 そういって、球を石板に置く。

 玉が溶け出し石板にしみこむ。石板が光りだし文字が浮かび上がる。


ステータス


名前 サトウ タクマ


人種 人族


職業 学生 暗殺勇者


LV:18


HP:600


STR:590


DEF:400


AGI:1000


INT:30


MP:20


称号:睡眠王


パッシブスキル:加速の加護、鋭利な一撃、暗殺者の心得、影踏み、絶対必中


スキル:本人のみ可視化


これはいいと思いうがこの世界では高いのか?低いのか?


「んーー、これっていいの?わかんないねw」

「高いですよ!すごい...ここまでとは...!」

「ちなみに、私のはこんな感じですよ」


 そういって、説明していた女性が石板を取り出す。



ステータス


名前 エリー・ルエモット


人種 人族


職業 冒険者受付嬢


LV:13


HP:98


STR:13


DEF:23


AGI:34


INT:78


MP:0


称号:なし


パッシブスキル:饒舌、感情制御


スキル:本人のみ可視化


 これが一般人の強さというならかなり低いレベルだな。


「へえ、じゃあ結構僕強いんだね!」

「はい!勇者様は基本的にステータスが高いですから。」

「これはこれは、暗殺に向いたアサシンのようなステータスですな。といっても通常のアサシンよりはるかに強いですが...これは期待できそうですな。ははは。」

「んっと...じゃあ、次私だね。」


 玉がまた溶け出す、光を放ち文字を浮かび上がらせる。


ステータス


名前:キサキ ミライ


人種:人族


職業:看護師 大神官、賢者


LV:23


HP:580


STR:30


DEF:240


AGI:220


INT:1000


MP:2800


称号:名誉医師


パッシブスキル:精霊の加護、女神の祝福、自動治癒、オーバー治癒、治癒増加Lv10


スキル:本人のみ可視化


 これまた強い。自らを守るすべのあるヒーラーほど厄介なものはない。

MPを見る限り相当な長期戦でも持ちこたえそうだな。


「次は俺が行く」


ステータス


名前:シンダチ リョウガ


人種:人族


職業:学生 勇者


LV:18


HP:1000


STR:1000


DEF:1000


AGI:800


INT:700


MP:1000


称号:真の勇者


パッシブスキル:神の加護、光の加護、カリスマ、身体強化Lv10、忍耐Lv10、異常状態軽減Lv10、即死無効、魔族特攻、全武器練度Lv10、直観、閃き、背水の陣、運向上


スキル:本人のみ可視化


「つ、つえー...もう一人で魔王とか倒せるんじゃない?」

「すごいね!真の勇者だって!すてーたす?もこんなにたかいし!」

「これは期待できそうな勇者様じゃ...!よろしく頼んだぞ」


 周りに驚き、喜びの声が上がる。

 真の勇者か...これまた強そうな人だな。私の世界にきてたら厄介だったかも知れない。これでまだ成長の余地があるとすればかなりの手練れになるぞ。

それにしてもこれの後でするのはどうもやりにくい。まあ、どっちにせよ落胆されるのだが。


「では、あとは私だけだな。」


 そういって自分の玉をおく前に魔法をかける。


ステータス


名前:記入可能


人種:人族


職業:なし


LV:3


HP:70


STR:40


DEF:57


AGI:48


INT:18


MP:0


称号:なし


パッシブスキル:なし


スキル:本人のみ可視化



 名前なしになるよな。そもそも魔王以外に呼ばれたことなかったから名前欄に魔王なんて出せないし、隠すために隠蔽魔法を使ったけれど、どうもいきなりじゃうまくいかないな。名前は、ハムレットでいいや。


「こ、これは...」

「なんか...ドンマイ...」

「一般人と変わらないね...」

「し、仕方あるまいて、召喚者がみな強いわけではない、か、らの」


 みんなかみかみじゃないか。まぁ仕方ないのだが。取り合えずこれで余計な詮索はあまりされないだろう。変なスキルや称号は出さないほうがいい特に人種で魔族なんて出したらこの場で勇者とバトルなんて面倒にもなる。

 この世界でどの程度の強さや魔法が使えるか分からない以上無駄な戦闘はさせたい。


「まぁ、最後のはあれだったが、明日にでも君たちの連れになるものの紹介をしようと思う、今日は宮殿でゆっくり休んでくれ。」

「で、ではまた明日頼む。」


 王様は、ばつが悪そうに奥へと消えていった。


「では、私が皆様のお部屋へと案内いたします。」


 先ほど私を起こしてくれた女性が案内してくれるそうだ。 さてこれからこの世界でどうなることやら。早く帰らないと少し心配だがどれくらいで帰れるだろう。

 頭に不安を残しながら自分の部屋になる場所へと向かう。


記念すべき1話目ですが、イメージどおり文面に起こせないのが悔やまれる今日このころです。趣味半分なので楽しくこれからも執筆していきたいと思います。

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