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会社の上司を悪役にした異世界ファンタジーを書いていたら、読者が社長だった  作者: エール


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七大英雄 (創作)

「いきなりのことで申し訳ないが、どうしても勇者殿に会って話しておきたいことがあったのだ。公の場で面会しようとすれば、私の立場上、いろいろと面倒な手続きが必要になってしまうのでな……まあ、あまり気負うことなく話をしてもらうことが私の希望だ。まずは掛けてくれたまえ」


 イクアスク王にそう声をかけられて、俺は素直に豪華な作りのその椅子に座った。


「私の名前と、『竜騎士』を知っていたということは……七大英雄と呼ばれている存在について、誰かに話を聞いていたということだな?」


「はい、レイさんから、先代勇者と大賢者アイザック殿、そして竜騎士イクアスク様……その他、大魔導師、聖治癒術師、妖魔ハンター、そして名を知られていないもう一人の英雄の七人を七大英雄と呼んでいる、と聞いています」


「うむ、その通り……先代勇者は邪鬼王と相打ちとなり、そして英霊となった。邪鬼王は肉体を失ったものの、まだその魂は健在だ……私は元々王族の血を引いており、邪鬼王を活動不能に陥れた勇者の仲間、という功績もあって、国王の座を譲られた。しかし、本来は勇者がこの地位に就くべきだと思っていた。それほどの突出した実力の持ち主だったのだが……そしてそんな勇者の称号を引き継いだ者を、かつての戦友であったアイザックが邪鬼王の手から救い出し、味方にしたと聞いて、安堵と、大いなる希望を感じた。さらには、邪鬼王の有力な部下であったパワハーラ・ザイゼンなどの、軍では太刀打ちできなかった強敵を倒したと確認して、胸のすく思いと、そして彼の予言が正しかったのだと痛感した」


 イクアスク王は、遠い目をしてそう語った。

 ここに来る前、アイザックは、


「数十年前、考え方の違いにより袂を分かち、それ以降会ってはおらぬ」


 と語っていたのだが、それが今のイクアスク王の発言に繋がっていたのかもしれない。


「……国王陛下、アイザック殿は、陛下の事を『盟友』とおっしゃっていました。今もずっと、お仲間であったことを誇りに思っているようです」


「……無論、私もそう思っている。そして彼は、レイを通じた私の要請に応え、貴殿をこの場に派遣してくれた。大変感謝している。現勇者の貴殿と、こうやって直接話ができているのだからな……」


「はい、私もとても光栄に思っております」


 現代に生きていた俺が、『国王』と呼ばれるお方と直接話をする機会があるなど考えてもいなかったので、敬語が変になってしまう。


 ここは今までに見て来たファンタジー映画や小説、ゲームの口ぶりを真似して、なんとかごまかしている状況だが、その思いは真剣だ……というのも、アイザックと違って、イクアスク王の口調が真面目だからだ。


「……そんな貴殿に、これまでなんの支援もできていない私が協力を要請するのも気が引けるのだが……パワハーラ・ザイゼンが倒されたのも束の間、邪鬼王は更なる精鋭を、異世界から召喚した。勇者ヒロ殿、どうか、リエージェ国民、いや、今や全世界の人々の脅威となりつつある邪鬼王に対処するため、わが軍との連携を考えて欲しいのだ」


「……軍と連携、ですか? いや、でも……一体、何をすれば……」


 今まで仲間数人と行動を共にしてきたのだ、いきなり『軍と連携』と言われても困惑してしまうだけだ。


「まずは、軍の人間と顔見知りになって欲しい。そこで、『パワハーラ・ザイゼン』の討伐記念としてパーティーを開き、貴殿とその仲間達を、将軍達に紹介したいのだ」


「将軍、ですか?」


 思ってもいない言葉に、つい変な声を上げてしまった。


「そうだ。我が国には、大まかに分けて五つの軍があり、それぞれに将軍が存在する。主に国同士の戦闘(対人戦)を任務とした『第1エスイー騎士団』、主に妖魔との戦闘を任務とした『第2エスイー騎士団』、魔術を用いた戦術や兵器開発を実践する『パケージ魔術団』、船を用いた攻防の他、物資の運搬なども司る『ネットクラウード海軍』、そして上記四兵団のサポートで、傭兵がメインとなる『ハケーン傭兵団』だ。先程も言った通り、それぞれに一人ずつ将軍が存在し、『五虎将』と呼ばれている」


「……すごい、ちゃんと五つの軍で五虎将ってなってる!」


 今まで『四天王』と言いながら三人しかいなかったりしたので、少し感動してしまった。


「……それがどうかしたか?」


「いえ、問題ありません……それで、それぞれに名前が付いている『エスイー』や『パケージ』が、将軍の名前なのですか?」


「いや、それは数百年も前に軍の制度が成り立った時の将軍の名前が、慣用的に引き継がれているだけだ。今は別の名を持つ物がその役に就いているが、それは記念パーティーの時に紹介したいと思っている」


「……分かりました。一つ、お伺いしたいのですが……その記念パーティーには、私の仲間を同行させてもいいでしょうか」


 自分一人だけそんなパーティーに参加したら、ミキやユウは拗ねそうだ……あと、フトシからはネチネチと嫌みを言われるに違いない。まあ、ちょっと心細いっていうのもあるけど。


「もちろん、構わない。行動を共にし、強敵を倒し続けた勇者一行、ということで歓迎したい」


 と、ここまではイクアスク王も比較的温和な笑顔だったのだが、


「……その前に、勇者である貴殿にのみ伝えたい事がある」


 と、人払いをした。


 ほとんどの騎士と、レイがこの会議室から退出する。

 残っているのは、最も体格の良さそうな、四十歳ぐらいの厳つい顔をした騎士一人のみ。おそらく、側近中の側近、という奴だろう。


 さらに、王は何かの魔法を唱えて結界を張った……すごい、魔法まで使えるんだ。


 そうして彼は、俺と側近の騎士にだけ伝わるように、ある重要な秘密を話しはじめた。

※引き続き、評価やブクマ登録、感想などを頂けますと、ヒロインや同僚社員一同と共に大喜びいたします。

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