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会社の上司を悪役にした異世界ファンタジーを書いていたら、読者が社長だった  作者: エール


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一夫多妻 (現実)

 その夜、コテージの部屋割りを討論した結果、俺と女性が同じ部屋で寝るのはまずいだろう、という、瞳いわく「つまらない」結論となってしまった。


 一部屋にベッドが三つしかなく、それが二部屋。


 たとえば、俺と瞳が二人きりで寝るとなると、さすがにそれは優美と美香に悪いからと、瞳は辞退(辞退という表現がただしいかどうかはわからないが)した。


 かといって、美香は俺と二人きりで寝るのを


「抜け駆けはよくない」


 というよく分からない理由でこれも辞退、そうなってくると、優美も


「美香さんに申し訳ないから」


 という事で辞退、あと、瞳から


「だったら、土屋君と美香ちゃん、優美ちゃんの三人で寝れば?」


 という意見も出たのだが、それだとひとりぼっちになる瞳があまりに気の毒だ、という話で、結局俺一人に、女性三人、という部屋割りになったのだ。


 この後、女性陣は遅くまでおしゃべりでもするのかと思ったのだが、その後も飲み続けて酔いつぶれた瞳が、早々に寝てしまったようだ。


 また、他の二人も……特に優美は、表面上明るいものの、結果的に俺が振ってしまった形になったものだから、結構落ち込んでいるみたいだった。


 ちなみに、虹山さんは一人で宿で寝ているはずだ。


 時刻はまだ十時半なのだが、隣からは、もう声が聞こえてこない。


「寝るの、早いな……」


 とつぶやいて、自分も寝ようと思いベッドに入ったのだが、あまりにいろんな事がありすぎたせいか、目が冴えて眠れなかった。


 温泉旅行に風見が来るはずだったのが、来られなくなってしまった。


 そのため仕方無く、瞳の車で出発し、山道を抜けてようやく辿り着いたところで社長秘書の虹山さんと出会い、行動を共にすることとなった。


 そして悪質な覗き、通称『ワニ』が出没する混浴露天風呂へ。


 ここでは虹山さんの機転? により、俺が悪者になる事で無事絶景の露天風呂を、しかも美人四人を侍らせて堪能することができたのだ。


 今思えば、このときって、乳白色のお湯で見えなかったけど、全員湯浴み着さえ着ていない、全裸だったんだよな……。


 そしてバーベキューを楽しんだ後、なぜか別の貸し切り露天風呂で、今度は湯浴み着を着ているものの、美女四人と一人ずつ混浴するという、今後の人生において空前絶後の体験もしたんだった。


 多分、今が一生の中でMAXのモテ期なのだろうな……。


 それに、虹山さんのエージェントの話、衝撃的だった。今も頭の中が混乱している。

 これは、あとで美香と優美にも話があるらしいから、その後でもう一度整理してみることにしよう。


 それと、やっぱり……優美のことが、一番心に引っかかっている。


 その後も明るく接してくれたし、気にしていないそぶりも見せてくれるのだが、それがかえって気を使っているようで心苦しい。


 俺なんかがあんな美少女に、憧れているとか、好きだとか、言われることは、今後あり得ないだろう。

 もし、美香の存在がなかったならば、間違いなく付き合い始めていたと思う。


 今でも、正直に言えば、惹かれている部分はある。

 アイドル歌手に抱くような、『憧れ』と言う意味で、美少女で子供っぽく、素直な性格の彼女に対して、強烈にそれを感じている。


 ただ、本当に心から支え合いたいと思っている、美香という存在が、大きくウエイトを占めているだけなのだ。


(……どこかの外国だと、一夫多妻制が認められているのにな……)


 そんなとりとめの無いことも考えたが、残念ながらここは日本だ。


(これが異世界だったら……そうか、空想の世界だったら問題無いのか……そうしたら、優美……いや、ユウも、ミキも、俺……ヒロも、最終的にみんな仲良く、幸せに暮らせるのかな……)


 俺は、この旅行中も、少しでも時間があればラノベの続きを書こうと、タブレットにもなるノートPCを持って来ていた。

 幸いにも、このコテージはWi-Fi接続に対応している。


 俺は一心不乱にキーボードを叩き始めたのだった。


※土屋は、美香や優美が自分が書いた小説を読んでいることを知りません。

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