表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/110

激戦、対パワハーラ・ザイゼン! (決着編:現実、創作)

(現実世界)


 会社を辞めた備前元専務は、新会社設立に向けて、大胆に準備を進めていた。


 ――自分がいるからこそ、『シーマウントソフトウエア』に発注をかけてくれる顧客が存在する。自分が独立して会社を設立したならば、こちらに発注を回してもらうよう営業をかけるのは容易い――そんな思い込みがあったようだ。


 しかし、それは甘い幻想であったと思い知ることとなっただろう。


 まず、スタッフが揃わないのだ。

 自分の元部下達を、


「現状よりはるかに高給、好待遇で雇ってやるから」


 と誘っていたようだが、ことごとく断られたという。


 それはそうだろう、いかに備前元専務が現役時代に権力をふるっていたとしても、辞めてしまえばただの一般人だ。まだ顧客の付いていない、そんな不安定な会社などに転職を希望する訳がない……優秀なシステムエンジニアやプログラマーほど、計算高いものだ。


 備前元専務は完全に空回り。


 次第に、誰にも相手にされなくなっていった――。


*********


(創作世界)


 亜空間であるマ○ー空間にて、俺とパワハーラ・ザイゼンの戦いは続いていた。


 治癒魔法などのサポートを受けられるようになった俺は、ようやく再びザイゼンと向き合う勇気を取り戻すことができた。


 そして、多少リスキーではあるが、魔法が使えなくなったザイゼンに対して接近戦を挑もう……そう考えたときだった。


「……ヒロ、待って! 今、レイさんがアイザックさんに連絡を取ってくれて……もう、戦う必要なんかないって!」


『インプレッシブ・ターボブースト』を媒体として、ミキの声が聞こえてきた。


「……どういうことだ?」


「財前さんは亜空間へと追放されてしまったんでしょう? ヒロが巻き込まれたのは、単純に凶暴化した財前さんに、あわよくば倒してもらおうという、邪鬼王の策略なの! もう、財前専務は帰ってこない。相手にして戦えば戦うほど、邪鬼王の思うツボよ!」


「……そうなのか? ……けど、ザイゼンを倒さないと、俺も元の空間に戻れないんじゃあないのか?」


「ううん、そんなことない……っていうか、関係無いわ。ヒロは帰って来られるの!」


「どうして、そう言い切れるんだ?」


「だってヒロ、なんにも悪い事、してないでしょう?」


 ……いまいち良くわからない理由だったが、何も悪い事をしていない俺の事は、いかに邪鬼王といえども、一時的に亜空間へ移動させることはできても、追放したままにはできないらしい。


「……と、いうことは、財前専務は……」


「そう、悪事を働いて亜空間に追放となった彼は、もう、帰って来られない。魂が浄化されることもなく、未来永劫、その亜空間で苦しみ続ける事になる……つまり、パワハーラ・ザイゼンとは、もう二度と、顔を合わせることもなくなる……」


 なにげに恐ろしいセリフだった。


 今、目の前で暴れている妖魔化・凶暴化したしたパワハーラ・ザイゼン、これが邪鬼王に逆らったものの末路なのかもしれない。


 奴は、


「……なぜだぁ……なぜ魔法が使えない! なぜ、誰も俺を助けに来ない! ここから出せぇ、元の空間に連れて行ってくれぇ!」


 と、泣き叫ぶように大声を出し続けているが、ある意味、自業自得なのだろう。


「……それで、俺はどうやったら、ミキ達のところへ帰れるんだ?」


「私達みんなが協力して、『召喚魔法』で呼び寄せる。だから、ヒロは魔力を感じたら、それに抵抗せず、受け入れて欲しいの!」


「……わかった! ちなみに、みんなって誰だ?」


 俺はミキにそう確認した。


「えっと、私と、ユウちゃんと、シュン君と、あと、メイドのレイちゃんよ!」


「……フトシ課長代理は?」


「だって、フトシさんは魔力ゼロだから……」


「……いや、うん、ちょっと確認しただけだよ」


 本音では、フトシが加わっていない方が安心できたが、聞こえてしまいそうなので口にはしなかった。


「ヒロさん、私も一生懸命、お祈りしますから、受け入れてくださいねっ!」


「ヒロさん、帰って来たら、盛大に祝勝会、しましょう!」


「……その祝勝会の料理、私、がんばって作ります……」


 ユウの可愛い声、シュンの頼もしい励ましの言葉、そしてレイの、少し無愛想だが思いやりの込められたセリフに、俺は感動した。


「……わかった、みんな、頼む!」


 俺はそうお願いした。すると、次の瞬間、


「「「「勇者召喚(サモン・ヒロ・ヒーロー)!」」」」


 という呪文が重なって聞こえ、ふっと、自分の体が浮き上がるのを感じた。


 そして、少し前方で何か喚きながら暴れている、誰一人として助けの来ないパワハーラ・ザイゼンに対して、少しだけ哀れみを感じた。

※メイドのレイは、相当若くなっていますが、モデルは虹山秘書です(『レインボー』のレイです。土屋の中で、途中からそういう設定になったようです)。


※まだ倒すべき敵は存在するため、冒険は続いていくことになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ