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会社の上司を悪役にした異世界ファンタジーを書いていたら、読者が社長だった  作者: エール


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激戦、対パワハーラ・ザイゼン! (前編、創作)

 パワハーラの手下や、服従させられている妖魔達を次々と倒した俺達は、着実にレベルアップをしていった。


 それでも、まだパワハーラ・ザイゼンとの力の差は、歴然としている。正面からまともに戦ったのでは、万に一つも勝ち目はない。

 ところが、冒険を続けているうちに思わぬ情報を手に入れた。


 ザイゼンは、邪鬼王の地位を狙っている――。


 この情報が正しかったとして、具体的な証拠を邪鬼王や、その側近達に知らせることができれば、内部抗争を引き起こすことができるかもしれない。


 しかし、どうやってそんなことを実践すればいいのか。

 下手に敵幹部達に接触すれば、話をする前に殺されてしまう。


 そんなときに、一縷の望みを与えてくれたのが、雷撃を操る少女、レイ・マウンタだった。


 彼女はアイザックの一番弟子で、ずっと彼の館でメイドをしていたのだが、その実力を知った俺達がお願いしたところ、今回の冒険に参加してくれることになったのだ。


 彼女は魔力は多いのだが、生命力は100そこそこしかない。

 まだ十代後半の女の子だし、しかも異世界転移してきた俺達とは体の作りが根本的に異なるのだ。


 そんな彼女だが、館を出て、人々が苦しんでいる様子を直に見て、戦いに参加してくれる決意をしてくれた。


 レイの側には、護衛としてシュンとユウが専属で付く。

 また、生命力だけは異常に高いフトシが、盾として守りに入る事になっている。


 これだけの厳重な警備を敷くには、理由がある。

 今回の作戦、彼女なら使える……いや、彼女にしか使えない魔法が、俺達の運命を握っているのだ。


 おどろおどろしい闇の森を抜け、ジュウヤ・クシーツの城にたどり着いた時には、既に日は沈んで、辺りは薄暗くなり始めた。


 一面ツタで覆われ、禍々しい邪気に覆われた古城、それがパワハーラ・ザイゼンの住処だった。


 険しい山腹の中腹にあり、地上六回建てに見えるが、実際はもっとあるかもしれない。

 地下室も確実に存在するだろう。まさに要塞だ。

 門番の姿は見えないが、どんな罠が仕掛けられているかも分からない。


 挑発の意味も込めて、ここはミキが連続で火炎、爆炎魔法を連射する。


延長槍炎(ロング・ソウ)!」


 超高速で伸びる炎の槍。これで窓を破壊する。


跳躍破裂炎兎弾(ヴァースト・ラビット)!」


 今度は跳躍火炎弾。堀や壁を飛び越えて、内部まで入り込んで破裂する。


火炎回流火炎龍(ディープローテーション)!」


 ミキは全力の無限軌道を中空に描き続けた。

 するとそれは絶え間なく続く∞軌道を取り、そのまま連続して巨大な炎が噴出され続け、城の外壁にダメージを与え続けた。


 それらの攻撃が功を奏したようで、城門が開き、ドラゴン形態に変化したパワハーラ・ザイゼンが単独で出てきた。


 その顔には、余裕の笑みが浮かんでいる。


「ようこそ、勇者とその仲間達よ。なかなか力をつけたようだな……城の内部でやりあったら、崩れてしまうかも知れぬ。そこでサービスだ、私が単体で戦ってやろう」


 まったく負けることなど考えてもいないのだろう、あざ笑うかのような声と態度だった。


 俺達も強くなった。

 しかし、だからこそ感じることのできる圧倒的な差。

 俺達の戦闘力が、せいぜい数千なのに対し、奴のそれは十万に迫るのだ。


 けれど、俺達には秘策があった。


 パワハーラをおびき出したのは、城内部の罠を警戒したことだけが理由ではない。

 屋外でないと、レイの大魔法が使用できないのだ。


 シュンやミキが遠距離攻撃を加え始めたが、ザイゼンはまったく余裕の表情だ。


 実際、それらは奴のすぐ手前でかき消され、はじき返された。

 おそろしく強力な防御結界が張られているのだろう。


 そしてレイが唱え始めている魔法には、まったく無警戒だった。


 上空に暗雲が立ちこめ始めている。

 それらは電撃をスパークさせている……つまり、雷雲だった。


 もちろん、その事にザイゼンも気付いているはずだが、無視している。

 どんな強力な雷撃だろうと、自分に当たることすらできないと考えているのだろう。


 だが、俺達の狙いは、奴に攻撃を当てることではなかった。


「……準備できました……いきます! 告発映像大公開(スクープ・ワイドショー)!」 


 レイの掛け声と共に、雷雲がスクリーンとなって、巨大な映像が出力された!


 電撃をエネルギーとして大映像を映し出す、ある意味究極の魔法だ。

 直接ダメージを与える魔法ではないが、雷鳴を音声に変換して出力することもでき、地上の、いや、天空も含めて、敵味方を問わず、あらゆる人々、種族に情報を伝える事ができるのだ。


 そしてそこに映し出されたのは、一見人間のように見えるが、小さな角を二本生やした、美しい容姿の若い娘だった。


 ただし、目の付近には、黒い線が入れられている。


 そして彼女は告発を始めた……ただし、明らかに音声は甲高いものに変換されている。


 事実、


「※プライバシー保護のため、音声は変換されています」


 と但し書きまで表示されていた。


「……えっとぉ、ぶっちゃけ、ザイゼンさんって変態なんですっ!」


 その若い娘は、遠慮なく暴露し始めた。


 パワハーラ・ザイゼンは、明らかに狼狽していた。


「しかもぉ、邪鬼王さんっていう人に収めるはずの税金もちょろまかしていてぇ、私に貢いでくれてたんですぅ。でもぉ、最近あんまり来てくれなくなっててぇ、私も好きじゃなくてぇ、もういいやって思ってたんですぅ。あ、あと、『邪鬼王なんか、俺が本気になったら簡単にやっつけてやるよ。あんなの、ハナクソみたいなもんだ』って言ってましたぁ!」


 それを見ていたザイゼンは、真っ青になって、


「ち、ちがうっ、デタラメだっ! 俺がそんな事を言うわけがないっ!」


 と叫んでいたが……どこからともなく、ゴゴゴゴゴッっと、恐ろしげな地響きが聞こえて来た。

※次回もこの戦いの続きです。


※引き続き、評価やブクマ登録、感想などを頂けますと、ヒロインや同僚社員一同と共に大喜びいたします。

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