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会社の上司を悪役にした異世界ファンタジーを書いていたら、読者が社長だった  作者: エール


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クレイジー・クレーマーの最後 (創作、現実)

 降臨してきた三体の聖獣は、召喚したクレイジー・クレーマーを一瞥し、


「またあんたか……」


 と、明らかに嫌そうな表情になった。


「さあ、ヂャロよ、あそこにいるウソで大げさで紛らわしい表現を使う不届き者たちを、倒してくれ!」


 クレーマーは、勝ち誇ったような顔つきだ。


「……我々が出て行くと、大げさになりがちだから嫌なんだけどな……そもそも、なんであんた、我々をこんなに軽々しく呼び出すんだ?」


「何を言っている、『お気軽にご連絡ください』と宣伝していたではないかっ! まさか、それ自体が『ウソで大げさで紛らわしい』表現なのか? お前達の存在自体を否定するような発言だぞ!」


 クレーマーはヂャロに対してまでクレームを付けていた。

 三聖獣は心底うんざりした様子だったが、仕方無い、と顔を上げて、俺達の方を見ながら、


「あの者達は、どのようなことを行ったというのだ?」


 と、クレーマーに聞いた。


「あいつらは、こともあろうに自分達を『勇者一行』と言い放ったのだ。勇者と言えば、世界でただ一人しか存在できない者のはず。軽々しくその名前を口にするとは、言語道断。断罪されてしかるべきだ!」


 よくもまあ、ペラペラとそれだけ苦情が言えるのもだ。

 それにしても、勇者って世界に一人しか存在できないんだな……代替わりするってことかな? って、俺、本当に勇者なのだろうか? なんか自信なくなってきた。


 その言葉を聞いたヂャロ三聖獣は、


「ふむ……たしかにニセ物が勇者を名乗るのは罪深きことだな。勇者とは、その時代の勇者がこの世を去ってからしか、新たに称号を与えられることはない。それほどまでに高貴で希有な存在なのだ」


 と、頷いている。

 それを聞いたクレーマーは得意顔で


「その通りだ。勝手に勇者を名乗った罪、万死に値する!」


 と息巻いている。


「それほどの罪ではないがな……まあ、真偽を確認するのは簡単だ。アウルート・ステフィア!」


 黒いウサギが、以前アイザックも使ったことのある魔法を唱えた。

 その途端、目の前に、RPGでよく見るようなステータスが表示された。

 自分だけでなく、全員分だ。


 それを見て、三聖獣は一様に、


「……ふむ、本物だ……」


 と、感心したような様子になった。

 そして、クレーマーは目を見開いて驚いていた。


「……本物の勇者達が勇者一行と言っているのであれば、それはウソでも大げさでもなく、また、まぎらわしくもない。よって我々の出番は終わりだ」


 でっかいワシがそう言い残して、三体の聖獣は、そのまま天へと帰って行く。


「なっ……まて、待ってくれっ!」


 必死に呼び止めようとするクレーマーだったが、聖獣達の目は、クレーマーのこの後の運命を悟ったかのように、冷酷で、嘲笑を含んだものだった。


 暗雲が晴れ、そこには、ぽつんと立っているクレイジー・クレーマーだけが残った。

 明らかに動揺した顔つきだった。


 この後、どうするつもりなのか、と思っていたが、


「……ふん、今日のところは、このぐらいで勘弁してやる!」


 と、まるでコントのようなセリフを言い残して背を向け、必死に逃げ始めた。

 それを逃がすような甘い俺ではない。


「ハイパーターボ・ホリゾナル・エクセレントスラッシュ!」


 俺は瞬時に追いついて、背後からクレーマーを一閃、その胴体を切り裂いた。


「グギャバラルァァァァーッ!」


「……滅殺完了!」


 セリフを決めて剣を鞘に収めると、クレイジー・クレーマーの体は崩壊し、ついには爆散した。


 そしてこれまでの妖魔達と同様、キラキラと光る粒子に変化、さらには天に向かっての一筋の光となって、登っていった。


「……結局あの人、最後まで味方が一人もいなかったね……」


 ミキが、しんみりとそう言った。


「そうだな……社員でもないのに、クレームを付けに来たところを巻き込まれて……思えば、可哀想な奴だった……」


「そう言うわりには、後ろから襲いかかってトドメ刺してたけどね……」


 ミキの、やや非難するような言葉に、


「奴は強盗妖魔と化していたんだ。逃がすわけにはいかなかった」


 そう返すと、


「うん、分かってるよ……お疲れさま!」


 と、最後はねぎらってくれたのだった。


**********

 (現実世界)


『投稿者:ダンディ 50歳~59歳 男性

 クレーマー、本当に対応が難しいですね。ウチの会社でも、悪質なクレーマーが出没しているようです。ヂャロを呼び出される前に、先にとっておきの秘策をもって『滅殺』したいと思っています(^^。』


 この感想を見た土屋は、


『ダンディさんも、クレーマーに悩まされているのですね。僕の職場でも、凄く悩んでいます。もしクレーマー退治が上手くいきましたら、ぜひともその方法を教えてくださいね!』


 と、感想の返信としてではなく、ダイレクトメッセージとして送ったのだった。


 また、この他にも、


『投稿者:カワウソ 20歳~25歳 女性

 今回の話を見て、やっぱり正義は勝つんだな、と思いました(笑)ウチの会社もクレーマーに悩まされていますが、小説本文と、感想欄を見て勇気づけられました。必ず、上層部が何かしらの対策にて、悪質クレーマーを追い払ってくれるものと期待しています!』


 と、どういうわけか、希望を得たような感想も来ていた。

 さらに、


『投稿者:ゆうみん 20歳~25歳 女性

 今回のお話も、ヒロさん、大活躍でしたね! 悪人を逃がさない姿勢、すごくカッコ良かったです! 私の会社でもクレーマー、出没しています。先輩の女性社員がすごく苦しんでいるので、何とかしてあげたいのですが……私の好きな人が、その先輩に同情してしまっているようで、心を奪われてしまわないか、それも心配だったりしています!』


 という感想も来ていた。

 それを見た土屋は、


(ああ、ゆうみんさん、好きな人がいるんだな……なんかちょっと、嫉妬してしまうな……)

 と、微妙にダメージを受けてしまったのだった。

※土屋は相変わらず超鈍感です。

※次回、現実世界でクレーマー対策がとられることとなりそうです。


※引き続き、評価やブクマ登録、感想などを頂けますと、ヒロインや同僚社員一同と共に大喜びいたします。


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