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大会議室 (現実)

 何十人もの社員が、シーマウントソフトの社内に集まっている事態となった。

 これは、自分たちの会社がラノベのモデルになっているかもしれない、との噂を聞きつけ、あるいは実際にそのネット小説を読んだ者達だ。


 誰か一人がそう思うと、社内に噂は広まる。ただ幸運なことに、その物語は好意的に捉えられていた。

 パワハーラ・ザイゼン=備前専務。

 復活を果たした、というのは、勢力を取り戻したということだ。


 そしてラノベを読み、その上で月齢ソフトシステムのホームページ、その役員一覧に、備前専務の名前が載っていたるという、驚愕の事態を目にした社員達が集まっていたのだ。

 皆、備前専務こそが会社を裏切り、月齢ソフトシステムへ『ラ・ミカエル』のソースコードを渡したに違いない、と憤慨していた。


 土屋は、彼らが自分が書いているラノベへのレビューや感想を投稿し、それが一気にランキング上昇に繋がったのだと悟った。

 しかし、彼らの興奮具合は少々過激なものだった。


「備前専務の不正をネットで暴く」といったようなことを口走っていたのだ。

 それはまずい。

 何も証拠がないのに、誹謗、中傷とも取られかねない内容をネットに挙げると、自分たちが返り討ちになる恐れがある。


 虹山秘書は、とりあえず彼らを社屋に招き入れ、大会議室へと案内した。

 不安を覚える土屋と美香だったが、虹山秘書は「心配無用です」と笑顔で話す。

ざわつく会議室。ところどころでラノベの話、黄金騎士団は何者なのか、と言った話が出るが、誰が作者かは分かっていない。


 また、一時、コードの漏洩犯と疑われていた土屋も、備前専務が別会社の役員となっていたことで、その容疑はほとんど晴れたも同然だった。

……と、会議室内に、放送が流れる。


『私は、黄金騎士だ』と、いきなり切り出された。その内容に、ざわつきが大きくなる。

 音声はボイスチェンジャーで変えられているので誰か分からないが、ダイレクトメールを送ってきた人と思って間違いなさそうだ……土屋はそう直感した。


 何も書かれていないホワイトボードの横に立っている虹山秘書は、微笑みを浮かべている……全てを知っていると、皆を安心させるためだろう。


 放送からの声は続く。


「皆が困惑や怒りを感じていることは分かっている。既に発売されている我が社のネット・クラウド・ソリューションシステム『ラ・ミカエル』と、月齢ソフトシステム社の『ハーデス』の類似性……いや、そのまま『パクリ』と表現しても良いだろう。これはこのまま放っておけば、数億、数十億という金銭的な被害の他に、我が社の方がパクったという言われなき中傷を受ける可能性がある」


 スピーカーからの声は、なぜか演説めいている。


「しかし、少しだけ待って欲しい。『ラ・ミカエル』には、本物である『仕掛け』が施されているのだ」


 その一言に、会議室内がざわつく。


「あと数日で結果が出る。それまで、ネットへの不確実な情報の書き込みなど、過激な行動は控えて欲しい。もちろん、この会議室で明かされた内容も極秘でお願いしたい」


 全員、困惑顔だったが、


「最後に一言言わせて欲しい……我々は勇者と共にある。そして、正義は必ず勝つ!」


 その言葉に、一瞬の静寂の後、一斉に拍手が沸き起こった。

 土屋と美香は、訳が分からなかったが、とりあえず黄金騎士が動き、この事態の沈静化を図ってくれたことだけは理解した。そして、彼らが何らかの、そしてとっておきの秘策を持っているであろうことも。


 ――三日後。

 IT業界を、いや、世間を揺るがす大事件が勃発した。


 月齢ソフトシステムの『ハーデス』起動画面に、以下のようなメッセージが表示され、継続使用不可能となったのだ。


「『ラ・ミカエル』検証版の使用期限は終了しました。今後は正式版『ラ・ミカエル』をご購入の上、ご使用ください」

※長期間、続きが書けておらず申し訳ありませんm(_ _)m。近日中の完結に向けて、執筆を再開します。

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