バカな日常
「先生、魔法とは何でしょうか。食べ物ですか?」
僕は魔法の基本的授業で先生に質問する。
自信満々に大きな声ではっきりと手を挙げながら。
たちまち教室にいた生徒はこちらの方を向いてきたから気になって皆の顔を見たら全員が深刻な表情をしていた。
「僕、何か変なこといったかな〜」と考えてみるがさっぱり分からない。このやり取りが魔法の授業が始まった4月の下旬から続いているが一つも習っていることが頭に入って来ない。
そんな僕を見兼ねてだろうか、先生に「放課後、職員室に来い」と言われた。
その後、先生が教えてくれなかった、正確には教えそびれた魔法について考えながら残りの授業を受け、無事全ての今日のカリキュラムを終えた。
帰りの会で日直が明日の事を長々と話している間僕は「退屈」というのを言い訳に眠る。
やっぱり寝るのが一番。放課後、職員室に来るよう先生に言われたけどこのまま寝ちゃおうかな・・・と思っていたところに急に酷い耳鳴りがした。
慌てて目を開け、目を見る。するとそこには魔法の杖を持った少女と僕に心配してくれる少女がいた。
「起きろ、このバカが!もうとっくに皆かえったぞ!!」
そう言って来たのは魔法の杖を持っている銀髪の少女だった。
ちなみに彼女は「リーフォン・スペル・カルダス」という。
ラファリス王国を支えている「四大貴族」の中の「カルダス」の次期当主。得意魔法は伝達魔法。要するに他人に情報、感覚を伝えるのが上手なお嬢様ということ。
「リースちゃん、そこまで怒らなくてもいいんじゃない。クリアちゃんも分かってるんだから」
僕のことを心配してリーフォンさんに言ってくれている少女は「エナ・マルティン」という。
彼女は平民の生まれだが学園長に実力を認められ、この学園に5月から転入して来た。
学園長が認めた実力とは彼女が得意とする水魔法のことだ。噂によれば本気を出したら災害レベルになると言われている。
その噂が本当かどうか知らないが前、魔法の実技の授業を受けた時、彼女の魔法を見たのだがあれはうちの学園で五本の指に入るほどの威力だった。
とにもかくにも今僕はそういう2人の前にいる訳だが・・・・・・・・・・
まぁ、これはいつもの日常みたいなものなので注意は聞き流しておく。
「いいえ、エナ。このものは何回何十回と言っても全く人のことを言うことをやらないの。だからこうやって強く言わないと。」
毎度毎度、僕の睡眠時間をうばうこのやり取りもそろそろ飽きたなぁ〜と感じ、席を立った。
「僕、この後先生に呼ばれているから暇じゃないんだよ。じゃあね。」
そう言ってその場を去る。
リーフォンさんはなぜか注意を辞めた。
教室のドアを開けた時かすかに2人の声が聞こえた。
「あの子、剣と身体能力は人並み外れているんだけどね。頭の方がね〜。」
「リースちゃん、聞こえちゃうよ。」
「もう聞こえてますよ!!!」
思わずツッコミぼく言ってしまった。これも反射的に出てしまうようになってしまったか。
いいさ、僕は絶対、世界に認められる魔法士になって皆を見返してやる。
僕は小さな決意を胸に秘め職員室に行った。
今回はバカな英雄の秘められた可能性を読んで下さりありがとうございます。
次回からも書くので是非読んで下さい!!!