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ワタクシとジェスチャー

「わ、我の名前はタマネギでは無いぞ!?」


 カイル君に持ち上げれたタマネ‥‥‥リリィさんが助けを求める様にワタクシを見ますわ。


 そんな捨てられた子犬のような目で見られたら、ワタクシとしても母性本能をくすぐられてしまいますのよ。


 ワタクシはカイル君の足元へ歩くと、ズボンをくわえて引っ張りますわ。


「ん? どうしたのサマンサ?」


 ワタクシ、リリィさんを手で指し示しその後両手でバッテンを作りますのよ。


「えっと、何かな?」


 ワタクシは何度も同じ動作を繰り返しますわ。


「‥‥‥もしかして、名前が違うの?」


 ワタクシは両手で丸を作りますのよ。


「そっか! ‥‥‥て、サマンサ、いつの間にそんなジェスチャー覚えたの!?」


 ワタクシは元悪役令嬢ですわ、不可能はありませんことよ?


 さて、ワタクシの優雅な猫ジェスチャーを披露しますわカイル君。


「んー、【り】かな?」


 正解ですわカイル君、花丸ですわよ!


「っと、もう一度【り】?」


 凄いですわ、ワタクシとカイル君の愛の絆を感じますわよ!


「最後が解りにくい‥‥‥何だろ?」


 小さい【い】が表現しにくいですわ、こうなればしかたありませんのよ‥‥‥


「いきなり真っ直ぐに寝そべってどうしたのさサマンサ? ‥‥‥あ、まさか伸ばす棒かい!?」


 ワタクシ急いで起き上がり丸を作りましたの!


「リリー?」


 ワタクシ丸を作りかけていきなりバッテンに切り替えるジェスチャーをしますわ。


「当たりだけど外れ? ‥‥‥リリィ、とか?」


 当たりですわ! ワタクシはカイル君の顔に飛びかかりペロペロしますのよ。


「ははっ、リリィかぁ、宜しくねリリィ」


「カイル殿、サマンサ殿、我は犬信‥‥‥」


 さすがにワタクシでも犬信は伝えにくいですわ、リリィさんで我慢してくださいまし。


「てか、ホントにサマンサどこでそんな技覚えてきたの?」


 貴族のたしなみで世の中の不思議は全部説明がつくのですわよ、カイル君。

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