ワタクシと犬信さん 1
ワタクシの名はサマンサ、スコティッシュフォールドのメスよ。
今ワタクシは、犬信さんとランスを連れて銀龍酒家でティータイムをとっていますわ。
「ふむ、この店の犬用ケーキは絶品だな、サマンサ殿」
犬信さんがイスに腰掛けながら綺麗に犬用ケーキを食していますわ。
「そうでしょう犬信さん、ワタクシも銀龍酒家の猫用ケーキが大好きなのですわ」
反対のイスに腰掛けながら、隣でドライフードをミルクでふやかしたオートミールを一心不乱に食べるランスを見ながら答えましたわ。
「のうルーニア嬢ちゃん、最近の犬や猫はイスに腰掛けながら食事をするのが流行っておるのかの?」
「‥‥‥私もこんなに上品なワンちゃん猫ちゃんの食事風景は他で見たことないので何とも‥‥‥」
周防様とルーニアさんが不思議そうに見ていますわ。
ワタクシや犬信さん程の気品を持つものなら当たり前のたしなみだと言うだけですのに。
「おう、サマンサどうだ? うまいか?」
今ワタクシに味を訪ねてきた女性はメイシン様、この銀龍酒家の女主人なのですわ。
「ニャー(ええ、ととも宜しくてよメイシン様)」
「そうか、そんなに気に入ったならそろそろウチの動物用メニューに加えるとするか」
そう言ってキセルを吹かせながら戻っていきましたわ。
「‥‥‥しかしサマンサ殿、この間のお主の動き素晴らしかったぞ」
犬信さんがもっふもっふ団と爆犬団の戦いを思い出しながら聞いてきましたわ。
「ワタクシは、この世界に生まれて初めて恐怖を覚えましたわよ、犬信さんに」
優雅に猫用ケーキを食しながら言いましたの。
「我を? ははっ、そんなに恐ろしく見えたかサマンサ殿」
そう言ってにこやかに笑う犬信さん、笑ったお顔はとても美しく、あの軍神姿とは正反対の美貌ですわね。




