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集いし(欠席有り)こと盟(迷)友が如し

モンサから離れるマインが新たな危険を予感した次の瞬間

6つある扉のうち最も魔王の玉座に近い扉から8つの影が、続いて玉座から見て最奥の左右の扉から200は超えるであろう影が一斉に飛び込んできた


「うわぁ!」


驚いたマインはマヴォヴの玉座の近くまで急いで退避するも、マインを襲うことに集中していたモンサは退避が間に合わず大挙してきた集団に吹き飛ばされていった


最初は集団の全員が慌てたように口々に何かを言っていたが、マヴォヴが片手を挙げるとやがて静かになった。

それを見たマヴォヴはうんうんと頷き口を開く


「よし、全員揃ったな?今回集まって貰ったのはこの魔王の忠実な部下であるお前達に新たな仲間を紹介するためだ」


しかし、ここでまた集団から声が上がる


「あの!マヴォヴ様の身に何か危険が及んだのでは!?」


この質問にマヴォヴはまたも頷き


「別に俺は何ともないぞ」


と発言

続いてその答えを聞いた集団の1人が怪訝そうに聞いた


「では何故緊急用の呼び出しをされたので…?」


これにマヴォヴは3度頷き返しながら笑顔で


「だって、お前ら集まるの遅いじゃん?緊急用なら早く集まるかなーって思ったんだが、実際早かったし良かった良かった!」


と答え、集団を見回す


「そりゃ緊急用だし遅かったらマヴォヴ様死んじゃうからね…」


と発言したのは最初に入ってきた8人のうちの1人。何かの作業中だったのか身体には炭のようなものが付いており両手には工具を持っている


「まぁ細かい事は気にするな、では本題に入るぞ?先ずは昨日の勇者の襲撃は知ってるな?えーっとだな、昨日の勇者、実はここまで来た」


このマヴォヴの発言に集団は慌てたようにまた口々に声を上げ始めた


「まぁ落ち着け、昨日のその勇者には結局俺とシトゥージの2人で落とし穴に落としてお帰り願ったんだが、まずお前ら、その様子だと勇者が来たことすら知らない見たいだな」


呆れつつ言葉を紡ぐ


「お前達に危機感を持ってもらうためにもう一度今の状況を確認するぞ」


目付きが鋭くが変わった


「先ず俺たちの敵である勇者、奴らは一言で言うと強すぎる」


噛みしめるように言うと、悔しそうに歯嚙みした


「実際近づいただけで俺達を消し飛ばす力があるらしい、最早相手にすらしてもらえないレベルだ。実際先代の魔王は城の外からよくわからん勇者パワーに消されたらしいからな」


「俺はそれを知り物心ついた時から勇者から隠れてその勇者パワーを防ぐ方法を探し、やがて見つけた対勇者素材を知り得るだけふんだんに使って近場の山奥にこの城、デビルスカルキャッスルの建造を行った」


ひそひそと部下達が話す声が聞こえ始めた

やはりデビルスカルキャッスルという名前が部下達に不評のようだ


「これで外からの攻撃は防ぐことが出来るようになったが、外からがダメなら当然中に入ってくる」


そこで玉座の端から写真を取り出す


「その時の勇者がこいつなんだが、凶暴な性格の奴でな、何せ近づいただけでやられるんだ。大事な部下も何人も失った」


「では、どうやって倒したのでしょうか…」


部下の1人がおずおずと手を挙げる


「自滅したんだよ。俺を倒すことしか頭になかったのか、段差につまづいて階段から転落ってとこだ」


そこで少し苦笑いする


「んでもって命の危険からか、勇者の力が消えていたから村のはずれまで運んで置いておいた。後で治療を受けたみたいで今でも元気でやってるぜ?村の今の副村長いるだろ、アイツな」


部下から驚きの声が上がる

マヴォヴはその反応に満足したのか笑顔になり続ける


「俺は階段から落ちた勇者 ってところからヒントを得て今のこの罠だらけの状況を作り出した。人員不足だったから仕掛けるのにも苦労したが一度作動すると整備以外で人が要らないってのは強みだったな」


「んでその後はこの罠を作動させて勇者を次々と排除するわけだが、特に罠の扱いと整備が得意だった奴を何人か選んでこの城の部屋の主任としたんだが…」


そこでマヴォヴは正面にいる8人の男女を見据えた

全員が人型をしているものの、角がある者、翼がある者、尻尾がある者、またはその複数を所持している者など姿形は様々である


「どうも全員サボり癖があるんだよな…今ですら何人か来てない、そこでだ」


マヴォヴは本題に戻るぞとばかりにマインを指差した


「このガキ、えーっと名前なんだっけか「僕ですか?ではマインで」マインにこの城の全ての罠の統治を任せる事にした!前の8人、もちろんお前達もこいつに従ってもらうぞ」


すると8人のうち

赤い髮に角を持ち、翼と尻尾を持つ如何にも悪魔といった姿の女の子が一歩前にでる


「マヴォヴ様、こいつ何者なんですか?得体の知れない人間に従うのはいくら部下とはいえ抵抗があります」


マヴォヴは御尤もといった顔で頷き

召喚の儀式中にモンサから聞いたニホンという国について話し始めた


【10分後】


「へー、んじゃニホンから来て罠に詳しいこいつが私らの罠を見て悪い点を治す監督役をするってワケね、良いんじゃないの」


マインの方を向いては目を逸らし、またマインの方を向いては目を逸らすを繰り返す悪魔の少女。やがて口を開き


「私はネア、この城では6番の部屋と直接相手に痛みを与える類の罠を取り扱っているわ。例を挙げるならギロチンみたいなのね。あんたの事はまだ信用してないけど今後の手腕次第ってとこかな。まぁよろしく」


と言った

マインはこれに「うん、頑張るからよろしく 」

とだけ返したところで


マヴォヴが


「じゃあ7人は今のネアみたいに1人ずつマインに自己紹介してやってくれ」


とだけ言うといきなり玉座の肘置きで寝始めた。


「・・・では俺が」


マヴォヴが寝始めて静かになった部屋の沈黙を破ったのは8人の中でも最も屈強に見える大男だった。

全身に鉄の装甲を着込んだ大男は物静かに話し始める


「俺は…ガムド…1番の部屋…勇者を俺の前に引きずりだす罠を扱っている…」


その言葉にマインは眉を寄せた


「それって例えばどういった罠なんですか…?」


「罠に掛かった勇者は必ず弱った状態で俺の目の前まで連れてこられる…勇者の力は命の危険が及ぶとその力を失う…その勇者を俺が直接倒す…」


「なるほど、最終的には自ら倒すと…だからもしものために肉体を鍛えてるんですね?」


「ちがう…これは…気づいたらこうなっていた…」


「あれ…まぁつまり勇者を叩いてたらゴツくなったってことで良いかな」


適当にマインが流すと

ガムドは無言のまま列へ戻っていった


(割と体に似合わず口数は少ないのか・・・)


マインが頭の中でガムドのイメージを構築していると次の人影が前に出る


「ボクが3番手かな?ペレミーだよん!ヨロシクね!ウヒヒヒヒヒ!」


3番手はピエロ衣装に仮面を付けて妙な笑い方と明らかに変人といった出で立ちである


マインは少し引きつつも話に耳を傾ける


「ボクはネェ?嫌がらせが好きでサ!7番の部屋を預かってるヨン!部屋はとにかく嫌がらせをするための罠でいっぱいサ!掛かっても痛みってのは殆ど無いけどネ!アハハハハ」


「は、はぁ…」


気味が悪いため早く下がってほしいマインだが、ペレミーはその顔を正面から見据え


「そのカオ!気持ち悪いって顔だネ!まぁまずはボクの部屋に1度来てみたらイイヨ!その時にまた詳しく教えるからサ!」


とだけ言い残しまた列に加わった

マインがホッとしていると続いて4番手が列から出てくる


「私はアンドロ!正々堂々とした罠を仕掛けることに誠意を尽くす5番目の部屋の主だ」


アンドロは一見するとイケメンといった風貌だが、背中に人間の物ではない大きな翼が見える


「いや、罠を仕掛けるのに正々堂々って」


「貴殿、罠はすべからく卑怯な物だと思っておるな?そんなことは無いぞ!例えばだな…お互いに位置を把握できないように部屋の中の罠をシャッフルしてから勝負に臨む!どうだ?」


マインは微妙な顔しかできない


「それって自ら不利になりにいってるだけじゃ…しかも勇者に近づいたら消されるんですよね?逃げ回るしかないのでは」


「不利になろうとも正々堂々を貫く!それが私なのだ!自分が罠に掛かっても痛く無いよう細工はしているがな!」


「それって正々堂々じゃないので「おっと!では次誰か前に出たまえ!」


マインの言葉を遮るように他の人影に催促し、自分は早足で列に戻っていった


アンドロが列に入ると同時に新たな人影

今度は捻れた角に妖美な尻尾を持ち如何にもといった感じの妖しげな格好の女性だった


「うふふ…私はメイザ、4番目の部屋の担当よ」


その耳に響く甘美な声にマインは少しめまいを覚える

するとメイザがマインに近づき


「私は人の精神を操る幻惑術を得意としてるの、今あなたが味わっているのも私の術よ」


マインは尻餅をつきながらも耳を傾けた


「先祖代々伝わってきた私の幻惑術は強力よ、でもそれだけじゃ勇者には届かない。だから罠と併用するのよ」


メイザが指を鳴らすとめまいが治る


「術が強力だってのはわかって頂けたと思うけど貴方は罠のほうのサポートをお願いね」


それだけ言うとメイザは下がり


次に現れたのは 全身を緑に染めた小さな女の子だった


「あたしミイナ!2番目の部屋にいるよ!たくさんお友達飼ってるの!」


「お友達?」


「そ!お友達!勇者が罠に掛かったら出てきてくれるの!説明終わりなの!」


一方的に話を切ると走って列に戻っていった


(体色の話とか聞きたかったのに…って、あんな小さい子相手に体のこととか何を考えているんだ僕は!)


そんな事を考えていると執事服を見事に着こなした老紳士が歩いてくる


「普段はマヴォヴ様の身の回りの管理をさせて頂いております3番目の部屋の担当、シトゥージでございます」


恭しく頭を下げるシトゥージに思わず頭を下げてしまうマイン


「これよりマヴォヴ様の客人であるマイン様のお世話も担当させて頂きますがそう緊張なさらず、自然体で過ごして頂ければ」


シトゥージはマインに顔を向け、ニカッと歯を見せて爽やかに笑った


「私の部屋ですが落とし穴だらけでございます、自分の部屋だけでなくこの城のあちこちに落とし穴を仕掛けております故利用されたい場合は私にお申し付けください」


「そ、それはどうも…」


その返事にまた笑顔を見せてシトゥージは列へと戻っていき、入れ替わりで先程マヴォヴにツッコミ発言をしていたスミのついた女性が出てきた


「アタイはレミィってもんさ、8番目の部屋預かってる」


両手に工具を持ち頭にはハチマキ、見た感じ姉御肌って感じだ


「罠は自律型、つまり勝手に動いて勝手に勇者を倒してくれる機械の改良と整備を日々行ってるよ」


体についたスミで機械を触ってたのはわかるが勝手に勇者を倒すというのは気になる。

マインは思い切って口を開けた


「勝手に勇者を倒すって…例えばどんな感じでですか?」


レミィはマインが興味を示したのが嬉しかったのかニッコリと快活な笑顔を浮かべた


「興味あるかい!?んー…でもここで説明するよりかは実際に見てもらったほうが早いんだよねぇ」


そう言いつつマインの瞳をチラッとみるレミィ

意図を汲んだマインが


「では後ほど部屋に伺いますね」


と発言するとレミィは


「そうこなくっちゃ」とまた明るい笑顔を浮かべて列に戻っていった





「ん・・・終わったか?」


測ってたのかと言いたくなるほどいいタイミングで目を覚ますマヴォヴ


マインがその言葉に頷くと満足気に


「んじゃ!解散!」


と言い放ち、待ってましたとばかりに部下達は部屋からぞろぞろと出て行く


その余りのやる気の無さに、比較的ダウナーな性格のマインですら呆れを覚えてしまったのであった

3話目にございます

仲間達(一部欠席)の紹介も終わり

次回よりマインも本格的に城の改革に動き出すかと思います

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