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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
とうとう二月 雪から雨に
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 《デート中……しかし》


 今日はショッピングモールに、デートなんやけど……

 相手が……

 「早苗さん、私は嫌なんか?」

 お母さんが、腕組みながら睨んどるざ。

 その後ろには、ヤギがコクコクと頷いてるし。

 「幸隆は仕事ですよね」

 「当たり前やろ」

 お母さんに、笑われるって。

 

 実は今日の午前中に、お母さんか家に電話をかけてきたんや。

 「あら、塗り顔やんけ!」

 オカンの大声に、部屋でくつろいどった私は心臓が止まりそうになったって。

 今日は さくらいが定休日やすみやから、家でまったりしとったんや。

 少し前まで、羊羹ばっかしやったでの。

 「早苗さん、店休みとはいえ今は休めんやろ。なんか余裕やなあ」

 お母さんが嫌みたらしいざ。

 「確かにそうです。でも、少し休ませて下さい。なんかいろいろありましたんやざ」

 私は反論したんや。

 お母さんはやれやれと、苦笑しとるざ。

 

 ところで今、私が居るのは福井市の郊外にあるショッピングモールなんやざ。

 福井市は小さな町に周りが田んぼだらけやから、郊外って言っても距離的には近いんやよ。

 時間は午後で、本来は活気がある時間なんやけど、平日やから静かなもんやって。

 でもなんか意外やざ。

 「お母さんなら、中心街の洒落たとこ行くと思ってましたのに」

 「たまには行くけど、あまり好きやないざ。それにや、今はショッピングモールが商品がええんやざ」

 お母さんが言うた。

 へえー

 そうなんや。

 ……ん?

 あこは確か、大名閣の売り場スペースやざ。

 ……んあ!

 こんなところにも、ポスターが貼ってあるざ。  

 なんなんやこのポスターは!

 私は呆れておるんや。

 「早苗さん、少し入るざ」

 「え?」

 「ここは視察を兼ねて、入るざ」

 お母さんがそう言うて、先に入って行くんやわ。

 私はしどろもどろしとると、ヤギが背中を押して店に入れようとしとるざ。

 こら、スケベがあ……てか、居たんやった


 第十三話 羊羹対決 後編


 《ショッピングモール 大名閣 売り場スペース》


 大名閣の売り場は、あまり大きくない。

 隣のパン屋スペースの、約半分くらいやった。

 一体何のために、お母さんはここに来たんや?

 待てよそもそも、なんでお母さんと私は居るんや?

 「久しいな」

 お母さんが、言うとる。

 久しいの先に、一人の女の人がいるって。

 なんやろ?

 若い? ちゃうなあ。

 でもなかなか整った顔立ちやざ。

 「あら、奈緒子やんけ。あら、あっ! 桜井早苗さんやろ」

 女の人が笑顔になったざ。

 「紹介するざ、私の昔からの友達の中村 愛子さんや」

 お母さんが、言うた。

 「はじめまして、桜井早苗です……て、なんで名前知ってますん?」

 「あれ」

 ポスターを指したって。

 アハハハハ……

 「ところで愛子、子供らはどうや?」

 「まあまあやざ、一番下はまだ高校やけど……って、今日の目的はなんや」

 中村さんが笑てるざ。

 「実はや、少し教えてや」

 そう言うと、お母さんが私を見たんや。

 え? まさか!

 「リークかあ? 一応は、大名閣やざ」

 中村さんが笑てるざ。

 「そや、けどええやろ」

 お母さんが、店を見渡しながら言うたざ、

 店には中村さん入れて、三人の働いとる人がいたんやけどみんなニコニコしとるざ。

 なんかギスギスしとる様子はないの。

 ひょっとしたら、呆れてとるんやろな。

 「今から休憩やろ? 少しご飯の相手してくれんか? 少し時間遅いかあ?」

 「別にええざ、今日は遅い時間まいるから、バッチリの時間やって……ところで奈緒子バイトは?」

 「辞めさせられたんやざ、息子死んだからええやろってな感じでや」

 なるほどや。

 でもわかるざ。

 「わかったざ、話はご飯しながらやな。桜井さんもいっしょやろ?」

 まあそうなるざ。

 私は笑顔で、頭を下げたんやって。

 「桜井さん、別嬪やの」

 中村さんが、お世話入れてくれたざ。

 「ええ子や、さて、三人で遅い昼食や。早苗さん奢ったるざ」

 わーい、私貧乏やし嬉しいわあ……ん?

 「お母さん、三人やなくて、四人やろ」

 私は両手で、ヤギを指差しや。

 「八木は居ても、見えても、透明人間や」

 あっさり言われたわ。

 可哀想やなぁ。

 「奥様の言うとおりです」

 ヤギが言うてるざ。

 どこか喜んでる。

 あんた、そんな趣味あるんか?

 「早苗さん、少し大名閣のことを聞いてみや。そのために連れ出したんやで。まあ……」

 「まあ、なんですか」

 私はお母さんに言うた。

 「別にやざ」

 お母さん、笑顔やざ。

 なんなんやろ?

 ……まあ、とにかくや

 お腹空いたざ。

 少しご飯を食べさせて貰おう。

 ここは甘えるざ。


 



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