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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
一月 雪は降る
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 《桜井 いつもの茶の間 女将さん訪問中》

 

 私は沢田のじいちゃんからアイデアを貰って、アレを創ったって。

 アレ……バナナ羊羹や

 これな思った以上に、難しかったざ。

 やっぱりバナナの味が、羊羹のイメージをそこなうんや。

 だからバナナと、白いんげん豆の比率を考えたって。

 これ創るのに、一日かかったざ。

 おかげで、昨日は臨時休業やって。

 ちなみに明後日は、休業日を替えんらしいざ。 

 儲けられんなあ。

 「これ、美味しいざ。まさか、バナナ使うなんてスゴい虚をつくことやざ」

 高塚屋の女将さんもビックリしとるわ。

 ……ううん、これには桜井のみんなも、腰抜かしとったざ

 思いっきりの、産物や……沢田のじいちゃん、ありがとうやって。

 「黒ずんだバナナ持って来たときは、ビックリしたって」

 オカンが笑てるざ。

 「黒ずんだバナナは、腐っとるんやないんやざ。この姿が一番バナナは甘いんやわ。沢田のじいちゃんの、知恵やけどな」

 私は自慢げやざ。

 沢田さんの、沢田のじいちゃんのおかげなんやけど……一人占めしてもたざ 


 あっ、そや、少し順番が逆になったかもや。

 今日はオカンが高塚屋の女将さんを呼んだんやっての。  

 理由は新しい羊羹の、試食やざ。

 忙しいのに、女将さんよう来てくれたわ。

 「ヒマなんかあ? 由美子ちゃん」

 オカンがほざいた……

 「まあ、ヒマや」

 女将さん即答したざ。

 ……ヒマなんかぁ?

 

 そや、少しバナナの入手先について説明するざ。

 ズバリ、バナナは沢田さん……沢田のじいちゃんがある店を教えてくれたんや。

 果物屋なんやけど、県外のバナナ専門店やったんや。

 じいちゃん、そこにインターネットで今回のバナナを注文したらしいや。

 少しビックリしたざ。

 なんて、ハイカラなんや。

 家のばあちゃんと言い、年寄りはスゴいなあ。

 そして私を諭すために、バナナの大福を創ったらしいんや。

 まあ昔、食べられていたのは、本当らしいけどな。

 そして桜井に行く予定が、偶然に私が来たんやって。

 バナナは福井で作物ならん。

 当たり前やの、バナナは南国やで。

 

 「虚ついた羊羹やな。これはこれでありや」

 オカンも納得しとるわ。

 よし!

 二つ目決定や! 

 ヨモギ、バナナ……後一つ

 これは実は決まってんや。

 「オカン、女将さん、三つ目の羊羹やけど」

 私は言うた。

 二人の視線が、私に向いた。

 「私らが普段から、口にする羊羹にすっざ」

 「普段?」

 「そや、私らが食べとる水羊羹や。私の結論は、いつもの私らが口にしている羊羹が主役なんやってことやざ。私は羊羹について考えたんや。私らの羊羹は、外せん! 例え他の地域から、あーしろ、こーしろ、こんな指摘をされても、羊羹は私らの羊羹が一番や」

 私は言うた。

 和田さん達のアドバイスから、改めて私は思ったんやって。

 福井の羊羹は、味が薄い。

 けど、それが福井の羊羹なんやってこと。

 そしてこれは、これでありやと思っことや。

 正直、開き直りやの。

 けど開き直りで、ええと私は思ったんや。

 「体に優しいヨモギ羊羹、虚をついたバナナ羊羹……なるほどや」

 オカンは賛成しとる。

 顔でわかった。

 さて……女将さんは

 「最後は王道か! ええざ!」

 やったあ!

 私は小躍りしたざ。

 これで、なんとかなる。


 ……そう思った

 けど……けどや……この後に……

 

 最大のピンチを迎えることになるんや!


 小躍りしとるこの時の私からは、それは予想することは出来んかった……ざ

 

 

 

 

 


 



 

 

 

 

 

 


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