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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
一月 新年の始まり
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 《正月 三日 午前》


 さくらい は、明日から新年の営業やから、今日までが休みなんや。

 昨日は女ばっかり、どんちゃん騒ぎして、いきなり私を変な目で見てと色々あったわ。

 今日はじいちゃんと、オトンもいる。

 オトンは朝早くに、帰ってきたわ。

 ご飯は食べとらんらしいざ。

 まあさっき、おせちの残りを食べてたわ。

 ちなみに咲裕美は亮さんと、沙織は連くんと、お出かけらしいわ。

 オカンも行きたがっていたけど……

 普通は却下やな。

 「さて、ねえさん、なんか対決するんやろ?」

 加奈子おばちゃんが言うたわ。

 加奈子おばちゃん、派手なこと好きなタヌキやで。

 まあ大阪の人やなあ。

 福井は北陸やけど、関西圏に近いこともあり、大阪に結構従姉妹がいるんやざ。

 昔は大きな都市は、大阪やった。

 近いからなあ。

 それに大阪の言葉、コテコテ感ないんや。

 おばちゃん曰わく

 「今の大阪は、こんなんやで」

 やって!

 「ほや、加奈子! 大名閣のアホたれが、ケンカ売りよったんや」

 オカンが吐き捨てるように、言うたわ。

 「困ったもんやがな」

 明子おばちゃんも笑とるわ。

 わー、オカンの笑い声にそっくり!

 明子おばちゃんは、金沢の人や。

 まあ金沢の説明は、以前少ししたから、ここはスルーすっざ。

 「とにかく、羊羹対決は勝たないとアカン!」

 明子おばちゃんが、気合いれとる。

 おばちゃん気合いれても、意味ないやんけ! とは言えんけどぉ。

 「なあ、早苗、ええこと教えたるわ」

 言ったのは、じいちゃんや。

 「なんやの?」

 「副議長……つまりウラの従兄弟のことや」

 じいちゃんが、お茶を飲みながら……え?

 副議長?

 ……まさか!

 「じいちゃんの遠い従兄弟で、大名閣の血のつながりのあるあの人のことけ?」

 私は、驚いて言ったわ。

 「ほや、あいつなあ、大名閣の主をひっぱたいたと!」

 「へ?」

 「今回の表向きの主催は、市役所なんやけどな……まあ、裏は大名閣、これは知ってるとは思うけどな。実はあいつがな、謝ってきたんや。理由は、大名閣が圧力をかけたからや。あいつ、勝負事は大好きなんやけど、それ以上に正々堂々が好きなんやわ。つまり大名閣は、使おうとしていた副議長と言う札に、抵抗されたんや」

 じいちゃんがまくし立てるように、言ったんや。

 「当然やざ」

 私も、ため息混じりに言うた。

 「それでな、あいつからお詫びと言う形でな、情報をもろたんや」

 「情報? 嘘つかまされんか?」

 「あいつは、嘘は嫌いや。それにな、大名閣はその情報を知っとるんや。だから……らしいわ」

 じいちゃんが言うた……つまり

 「副議長さんは、私らも知っとるつもりやったけど」

 「大名閣は言わんかった……そう言うたわ。つまり大名閣を信じたら、裏切られた! そう嘆いてたんやって」

 じいちゃんがため息混じりに、言う。

 なんやろ?

 大名閣は焦っているんか?

 そんな感じがするんや。

「お父さん、教えてや。情報」

 オカンが言うたんや。

 しびれを切らしたようにや。

 「わかった、勝負形式は投票数で勝ち負けを決める。勝負の方法やけど、三種類の羊羹を用意しての対決や」

 「三種類? なんか若鮎みたいやなあ」

 「そや、若鮎のアレを大名閣がまねたんやわ」

 へ?

 じいちゃんが言うたんや。

 私とオカン、ばあちゃんは変な顔やざ。

 なんや真似なんか。

 「日時はわからん。あいつは、知っとるらしいけどこれは教えてくれんかったわ。ただ二月半ばくらいらしいぞ」

 二月半ばかあ。 

 なんか嫌な時やなあ。

 下手したらバレンタインと……あっ!

 「大名閣はそれが切り札なんやな」

 私は言うたわ。

 そして笑たわ。

 だって……アホやもん

 下手したら、羊羹自体が負けるざ。

 「早苗、なんやニタニタして」

 オカンが言うたんや。

 私はオカンに、耳打ちをしたわ。

 「……早苗、あんたは頭やらかいわぁ 間違いないわ。おそらくそれからみやな」

 オカンが、関心しとるわ。

 けど、それしか考えられんわ。

 大名閣の手の内は、わかったざ。

 さて……私らどうしよう

 私は顔をキョロキョロさせた。

 アホやな、キョロキョロしても、変わったことはないわ。

 まあ、加奈子おばちゃんと明子おばちゃんがいるくらいやなぁ。

 ……ん?

 そうや!

 「なあおばちゃんら、後で さくらい の水羊羹食べてや。県外の人の意見がほしいんやって!」

 私は言うたわ。

 二人のおばちゃんは、オカンと目を合わせてた。

 オカンが力強く頷くと、おばちゃんらも、覚悟を決めたように頷いたや。

 これは、午後から、味見やざ。

 おばちゃんらにとって、ひさびさの水羊羹やろな。

 おばちゃんらに、福井の美味しい羊羹を食べてもらおうと!

 さて……作り置き、見に行ってこっと




 


 


 

 

 

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