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《正月二日 午前》
今日は家にたくさんの、従姉妹が来とるんや。
言ってしまえば、オカンの姉妹ばっかりなんやけど、それが二人や。
ばあちゃんは四人子供産んだ。
私らのオカンは、次女にあたるんやざ。
一応、みんな女なんや。
これは呪いみたいな……
追憶やけど、長女やったおばちゃんは、死んだんや。私が確か二十歳やった時にやった。
本当は家を継ぐために、養子とりを貰うつもりやったそうやけど、ホレた男とかけおちしたらしいんや。
だからオカンが家に残ったんやざ。
オカンからしたら、長女様々やったらしいわ。
何故なら、家に残れたからや。
「早苗、その話はそこまでな。私らの姉妹の話は出来れば内緒やざ」
うん、わかった。
確かに話の筋から、離れそうやしな。
もう一つ、ついでにオトンは実家に帰っとるんや。じいちゃんも、実家で酒飲んどるらしい。
つまり……
「女の園でーす」
沙織がほざいとる。
とは言っても、そうなんやなあ。
「早苗ちゃん、金持ち捕まえたやん」
これは三女の、加奈子おばちゃんが言うた。
見かけは……タヌキやわ
「こら、加奈子ねーちゃん! 早苗ちゃんはもてるの知らんの?」
こっちは、一番下の明子おばちゃんや。
ビジュアルは……ちつてと
ポンポコ、ポンポコ、ポンポコ!
似とる。
ばあちゃんは、割と細いのに、なんでやろ?
じいちゃんかって、そんなにポンポコしとらんのにや。
やはり、呪いやろか?
「私ら、美人三姉妹やね」
咲裕美がアホ抜かすわ。
顔が、赤いって……あっ!
この子、酒入れとる!
「咲裕美!」
「早苗姉ちゃん、私、二十歳やざあ」
狐目がつり上がるつり上がる。
「いえーい、沙織、歌いまーす」
コラコラ、どさくさに紛れるな!
「イケイケー」
「さくらい三姉妹の実力見せたれ」
「いえーい」
……収集つかんざ
この状況を私とばあちゃんだけ、離れて見とる感じやって。
ばあちゃんに私は目線を送ったわ。
ばあちゃんも、苦笑いしとる。
「早苗姉ちゃん! お酒飲めー」
咲裕美が絡んで来たわ。
「あんたなあ」
「姉ちゃん、酒のんでぇ」
「私は飲めんのや!」
「……あーん! 姉ちゃんが咲裕美の酒は飲めん言うてる!」
咲裕美がそう言って、オカンに泣きついたざ。
「早苗! 咲裕美うざいわあ。少し飲んだれや」
オカンが迷惑そうに、言うたわ。
えー、何でやあ……もう
「早苗、酔っ払いほど強いもんはないんや」
ばあちゃんも、めんどくさそうに言うわ。
私、お酒飲んだことないんやけど……ええい!
咲裕美の持ってた、お猪口を取ると入ってたお酒を一口飲んだざ。
そやそや……飲んだざ
飲んだ……
《一時間後》
みぃんなぁあ……わたしぃ、見とるわぁぁぁ
おさぁけぇは、からいけどぉ、きもちえー
あれえ、みんなあーと、きよりがぁあるざぁ
「咲裕美! あんた責任取れ!」
「えー、オカン!」
「ほや、ほや!」
「沙織まで」
「祥子姉さん、早苗のお酒癖は?」
「加奈子、知らんかったざ」
「どーするんや? 祥子姉ちゃん、オカン!」
「こら、ワテに振るな! 明子」
みいん、なぁ、なんかぁ……いっとぉおるう
アハハハ……
なんかぁ、ええきもちぃー!
おさけぇ、ええわあ。
「咲裕美、お前、何とかせえ!」
「オカン、イヤヤ! 堪忍してって」
「さゆーちゃあん」
わたしぃ、いうたぁ。
さゆみぃ、あせながいてぇかべにぃ……せなかぁかいとぉーる。
「おさけぇ、おいしー……」
あらぁ、いきなり、まわりがぁまわってぇ……
バタン!
「早苗姉ちゃん?」
「……寝取るわ!」
「……」
《夕方》
何か、目がまわるざ。
お酒、そんな飲んどらんのに……て、みんなが引いとるざ?
私、何かしたんかぁ?
「早苗ちゃん、大丈夫かあ?」
「加奈子おばちゃん、少し目がまわるわあ」
「早苗ちゃん、私ら明後日まで、いるからそこでアドバイスしたるざ」
「え、明子おばちゃん、アドバイス?」
アドバイス……あっ!
そや、羊羹対決のアドバイスやった。
「そんなこと言わんと、今……アイタタタ」
「早苗、今日は寝ようや。こんなんでは頭入らんざ」
ばあちゃんが言うたわ。
オカンも、沙織め、頷くわ。
咲裕美は……なんでそんな距離をとるんや?
……確かに、頭痛いわあ
今日は寝よう。
もったいないなあ。
羊羹対決の時間は、刻々と過ぎるってぇもう。
第十話 羊羹対決! 中編その一
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