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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
十二月 雪の予感
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 《自宅の帰り道 幸隆とカフェにて》


 「ええんか? 仕事やろ」

 コーヒーを飲んどる幸隆に、私は素っ気なく言うたわ。

 「それはお互い様やろ」

 幸隆が笑とる。

 なんやろ当たり前の時間なんやけど、物足りんなあ。

 「早苗、ニタニタ笑うなや!」

 へ? あっ、そうなんか?

 アハハ……

 「まあ、早苗に会えて嬉しいけどな」

 幸隆もアハハ……やわ 

 ……府が抜けるなあ

 「近頃はお互いに、目尻下がりっぱなしやな」

 幸隆が言うたざ。

 目尻下げながらや!

 締まらんなあ。

 水の入ったグラスを私は見た。

 私の顔が映り、ワイドになった顔が締まりないんやわ。

 ……まあ、ええかぁ

 アハハ……

 「早苗、俺ちょっと、仕事に戻るざ」

 幸隆の顔が、いきなり締まったわ。

 コイツ、ええ顔やあ。

 「がんばれ!」

 私は応援やざ。

 「ありがとうや、照れるわ」

 コイツなあ。

 「さてと、篠原さんと打ち合わせや」

 ハイハイ、お客さんの名前ね。

 篠原……ん?

 「なあ幸隆、教えてくれるか?」

 「なんや」

 「篠原さんて? 大名閣のか?」

 私はストレートに聞いたざ。

 解答は……

 「そや、その篠原さんやざ」

 !!!

 「ん? どうしたんや?」

 「別に、大名閣に営業かあ?」

 「ちゃう、大名閣の羊羹フェアのことでや。今回な大名閣から色々支援を頼まれたんやわ」

 幸隆が言うたざ。

 大名閣が、松浦に支援? 

 大名閣……まさか!

 「早苗、どうしたんや?」

 「ううん、何でもないんや! 仕事大変やなあ」

 私は言うた。

 これでええんや。

 今回のことで、松浦には、幸隆には、迷惑かけられんやろ。

 これはあくまでも、桜井と大名閣なんや。

 「……ほか、わかったわ。なあ早苗、困ったことあったら相談のるざ。俺でよければな」

 幸隆が笑たわ。

 「ない!」

 私は思いっきり否定したわ。

 「そか……じゃあ、仕事行くわ! またな」

 幸隆が店を出てくわ。

 私も、出よ。

 大名閣のことは今は考えんとこ!

 私が考えても、どうにもならんし……

 幸隆がええ男に見える?

 コレは、どうしてやろか?

 

 ……愛 かな!?


 キャ、自分で言うてるって。

 変な人に見られるから、早よ帰ろっと。




 《その夜 松浦家 幸隆と母》


 「母さん、ただいま!」

 「幸隆、早いなあ。師走やぞ」

 「何言うてるんや! こんな時間やざ」

 「一樹はまだ会社やぞ」

 「社長とヒラを、同じに考えるなや」

 「ところで、や。桜井と大名閣が対決するざ」

 「え? 母さん! なんやってか!」

 「篠原が色々な、細工しとるようやざ」

 「母さん実はな……」

 「幸隆! 仕事サボって!」  

 「そっちは後や、早苗は気にするなと言っとる」

 「……正々堂々と、やりたいんやろな」

 「母さん、俺は!」

 「わかっとるわ! 桜井の肩は持たん! けど、大名閣の企みにも目を光らせとかなアカンざ」

 「はい! 正々堂々やろ?」

 「そうや……しかし、早苗さんは、おもっせい娘やざ。さてとどうなるやら」

 

 



 

 

 


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