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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
十月下旬から十一月
58/120

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 《通夜から四日後 自宅にて》


 

 『前略

 七月のお菓子フェアの西地区の活躍は、お見事でした。

 お菓子フェアは大名閣が、福井のお菓子の発展と向上を基に企画したイベントであり、我が志が西地区にご理解戴き福井市のためにと奮起なさったことを喜ばしく思います。

 そして地区成績では、大名閣を上回り優勝されたことに、心よりおめでとございますと言葉を贈らせて戴きます。

 さて、ここからが本題です。  

 福井のお菓子発展のために、日夜努力していました私達には、西地区の発展がどれくらいあるのか、どれくらい私達の想いが皆様に伝わっているのかを、確認したいと思っております。

 来年二月に初めて行われる、私達が企画した「全国羊羹フェア」に、菓子フェア優勝の西地区と私達の大名閣で、全国からの羊羹にその名前を轟かせようではありませんか。

 福井の羊羹が一番と言うことを、全国に知らしめようと思いませんか。

 

 十一月の中頃に、もう一度お手紙を書かせて戴きます。

 そこで、西地区の方々の参加、不参加を教えてください。西地区の出方如何で、羊羹フェアが盛り上がるか否かが決まります。

 フェアを成功させるために、必ず参加の返事が頂けると確信をして、この筆を置きます。

 西地区、和菓子処 桜井 様 


               大名閣   』


 私は大名閣から送られた、手紙の内容を読んだ。

 篠原が謝ったことはこれか。

 篠原、お前はなんか知っとるんか?

 それにしても……

 私は、口に出して言うたるわ。

 「大名閣は何を企んでるんや? この手紙も変やざ。夏の菓子フェアは大名閣が、西地区の勝ちに貢献しとると言わんばかりやざ。上から目線ぽい文章と、勝手に参加させたがっていること。

 そして大名閣が、企画しているイベントに参加しろ! みたいな感じで、失敗したら西地区が悪いみたいな書き方やざ」

 眉をひそめて言ったんや。

 それをオカンが、見ていたわ。

 「企んでるなぁ、そして、アホや」

 オカンが、いきなり言うたって。

 けど、確かにアホやざ。

 「今回の羊羹フェアって、盛り上がるんけ?」

 私が聞いたって。  

 オカンは笑いながら、そんなことあるかい! そんな表情を、しとるんや。

 「オカン、大名閣の誘いは無視やざ」

 「そうしたいんやけど……」

 オカンが、ため息をついた。

 「高塚屋さんは、参加の意向らしいんや」

 「え! なんでや?」

 私の声が裏がえった。

 「かなり挑発的に書かれてたらしいわ。私らは分子みたいは存在やから、少し押さえて書いたるらしいけどな」

 オカンが、笑てるわ。

 これで、押さえてる?

 高塚屋さんは、凄い挑発やったんやな。

 「……早苗、今は松浦さんが先やざ。時間はまだある。松浦さんが済んだら、大名閣や!」

 オカンが、ハッキリ言うた。

 そやな、先ずは幸隆や。

 そして幸隆のお母さんや。

 この二つに、まだ少しやりたいことがあるわ。

 それからやざ。

 先ずは……お母さんや。

 確か明日、桜井に菓子を買いにくるんやわ。

 少し家に上がってもらお。

 そこで話しや。

 幸隆のお母さんは仕事休みなはずやから、長い時間いてもらおっと。

 さて、店に出て店番やるざ。

 

 


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