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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
十月下旬から十一月
52/120

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 第八話 落雁に染みついた……


 雨に打たれた私は風邪をひいた。

 あと一歩で、肺炎寸前やったらしいわ。

 病院に入院を余儀なくされて、そして……

 「早苗さん、大丈夫か?」

 孝典さんが、声をかけてくれたざ。

 私は病院に入院しとるんや。

 そして何故か、孝典さんの特別個室にいるんやざ。

 なんか企んどるとしか、それしかないわ。

 松浦のお母さんか?

 ちゃう、家のオカンやろか?

 「早苗さん、聞いとるか」

 「あっ、ごめんやざ」

 孝典さんの、優しい声に変な考えは吹っ飛んだわ。

 孝典さんには、笑っていたい。

 私は笑顔の、時間が長いんや。 

 「どうしたんや?」

 「別に……」

 企み……まあ、別にええわ。

 孝典さんといれるんやで。

 「肺炎、どうや?」

 孝典さんが、聞いたてきたって。

 「大丈夫、第一肺炎ちゃうし」

 私はただの風邪やし。

 例え肺炎として、孝典さんの病よりはマシや。

 情けないな……孝典さんに心配させてもたって。

 「久々のデートは、病院のベットの上」

 孝典が弱々しく笑た。

 「初めてのお泊まりは、病院の中」

 私も笑たって。

 孝典さん……

 私はバカな女やと思う。

 大変な状態やのに、自分のことそっちのけで心配してくれてる。

 「しばらく、いっしょやな」

 私は言うた。  

 「アホくさいわ。場所がちゃう」

 孝典さんが即答するざ。

 「どこやったら、良かったんや?」

 私は言うた。

 まだ頭が痛い。

 けど孝典さんの痛みよりは、マシなはずや。

 「……俺は男や、幸隆みたいなグズやない。そのまま連れ込むわ」

 孝典さんが言うた。

 連れ込む……幸隆なら、こんな言葉はないやろな。

 孝典さんは、幸隆じゃあない。

 どこかホッとしたんや。

 「幸隆なら、へっぴり腰になっとるざ」

 私が言うた。

 「……」

 孝典さんが無口になる。

 またや、また、無口になったわ。

 私、変な事を言ったんかぁ?

 「孝典さん……」

 「早苗さん、アンタは弟に呼び捨て出来るんか」

 孝典さんが言うた。

 どこか悔しいみたいに映るんや。

 「孝典さん、幸隆はアホやもん」

 私は言うたんや。

 アイツはアホやわ。

 そう、アホや。

 けど……

 「疲れんか?」

 孝典さんが言うたわ。

 「少し、寝るわ。まだ頭痛いわ」

 私はそう答えたざ。

 頭痛は本当や、風邪と……孝典さん……そして幸隆のアホたれ! 

 全てがこんがらがって、目眩もオマケでついてきたんや。 

 「俺も寝るわ」

 孝典さんがそう言うと、近くにいる看護師を呼んだわ。

 何かを手伝ってもらうようや。

 私は目を瞑って、眠り始めるわ。

 眠気がすぐに私を襲うんや。

 さて……ねむ……

 「ご苦労さん、あらら、早苗さん寝たか。俺も寝よう。しばらく、早苗さんとは同じ部屋やし……」


 

 

 

 

 


 


 

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