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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
十月の始まり
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 《家に帰って……》


 私オカンとばあちゃんに、話をしているんや。

 ちなみに、じいちゃんは町内会で、オトンは仕事が終わらんらしいざ。土曜日なのに、お疲れ様やわ。

 時間は夕方頃で、ご飯たべる前あたりやろか?

 少し話し合いをしていたんや。

 「なるほどや、ヨモギは考えたなあ」

 ばあちゃんが言うた。

 「そうやろ! なんで、ヨモギ羹がアカンのや?」

 私がまくし立てるように、言うたって。

 「姉ちゃん、姉ちゃんはヨモギ嫌いやろ」

 沙織が口を挟むわ。

 「なんや! 私はヨモギ食べれんけど」

 「まあ、祥子も苦手やな」

 ばあちゃんが、私とオカンを見たざ。

 私とオカンが、顔を見合わせる。  

 二人して、笑た。

 「沙織、アンタはどう思う?」

 「え? 姉ちゃん! そうやなあ……わからんわ、一度食べてみんとわからんざ」

 沙織は言うたわ。

 確かにやな……

 「オカン、ヨモギ羹作ってくれんか」

 私が言うたって。

 「……わかった、ヨモギの粉を使うわ。ヨモギ粉の挽き具合は、粉状でええやろ?」

 ばあちゃんが答えてくれる。

 肝心のオカンは……少し逃げ腰やって。

 もう!

 「オカン、私が部屋に入るざ! 私もお菓子くらい作れるんやでの」

 オカンに言うたわ。

 「祥子、どうする? 今回は早苗に作ってもらうか?」

 ばあちゃんが私寄りや。

 ひょっとしたら……

 「い、いいえ、私が作りますざ。まだ、早苗は入れさせんざ」

 オカンが、キッパリと言うた。

 ……はあ

 「残念やったな、姉ちゃん」

 沙織が冷やかし半分に言うたわ。

 この小娘は!

 「はあ、せっかく、孝典さんのお母さんに手作りの試作品を、持っていけると思たのに」

 「双子の弟さんもいるやん」

 沙織が冷やかしながら、お茶を啜っとる。

 「沙織、アンタ! 私は孝典さんのために、お菓子作ってんのや! なんで、幸隆のためなんや!」

 私が大声を出した。 

 ……

 ……

 ……?

 みんなが私を見る。

 そして……みんながニタニタしとるわ。

 なんなんや?

 「姉ちゃん、いつから呼び捨てできる仲になったんや?」

 沙織が言ったざ。

 呼び……捨て……

 呼び捨て……

 ……あっ!

 幸隆を私、呼び捨てとる。

 空気みたいに、いつの間にか呼び捨てしとる。

 ……答えはわかるんや

 けど、なんで?

 いつから変化したんやろ。

 そしてなんで、変化したんや?

 だけど、心が……

 孝典さんより、幸隆を想い初めとる。

 「早苗!」

 オカンが、私を呼んだ。

 「幸隆さん、ええ男やざ。不器用な娘にはなったらアカンざ」

 オカンが、言うた。

 五月のあの時、オカンから……

 「不器用な娘!」

 そう言われて抱きしめられたのを、思い出したんや。

 少し私は俯いたわ。

 「さて、男どもは居ないざ。女ばっかりの夕飯や! 沙織、手伝えや! 早苗……まあええわ」

 オカンのかけ声で、夕飯が始まる。

 始まるんやけど……

 私は時間を遡っとる。

 孝典さんとのデートをや、何回かしとるデートで今になり不思議な感覚におちたデートがあることに気づいたんや。

 六月に美術館のデート……

 七月のクラシックコンサート……

 後のデートは書かんかったけど、初めて河川敷であった孝典さんのような感じやったんや。

 この二つは、どこか違っていた……そんな気がする……ざ。

 ……まさか!

 

 

 

 


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