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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
十月の始まり
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 さて、私はまだ松浦家にいる。

 お母さんとの話し合いが面白いんや。

 そして、幸隆さんへの違和感や。

 違和感……つまり、幸隆さんの出会いについてやわ。

 「なんや、早苗さん、俺なんかしたか」

 どうやら少し怖い顔したんやろか? 幸隆さんがたじろいでるわ。

 「別に」

 私は流す。

 今はそんなことよりも、お母さんや。

 「お母さん、単刀直入に言います」

 「なんやの」

 「私のこと、どう思ってますか?」

 私、言うたわ。

 本当に、単刀直入や。

 幸隆さんが、おいおいって顔や。

 「綺麗なお嬢さんや、私の若い時よりもや、少し嫉妬しとるわ」

 アハハ、笑いながら言うた。

 上品な笑顔や。

 私には出来んざ。

 私には勝てん……ん? 何故争ってるんや。

 私は私やざ。

 どうしてや?

 「桜井さん、聞かせてや! 孝典には何をたべさせてくれるんや」

 お母さんが言うた。

 「はい、ヨモギを使います。ズバリ! ヨモギ羹です」

 「ヨモギ羹?」

 「はい、ヨモギは薬草です。体に良いものです。それを水羊羹状にして、孝典さんに食べていただきます」

 私が力強く言うた。

 そう、これが私の発想や。

 「どう思いますか?」

 私は聞いたざ。

 自信はあったんや。

 けど……

 「桜井さん、家族に相談してみてや。正直なるほどと思うわ。そやけど、何かが足らんとも、思うわ。それが何かはわからんのやけど……それだけではアカンと思うんや」

 お母さんが言うたわ。

 えっ……

 ダメなんか。

 「言っとくけど、その方向はええざ。けど足らんはずやわ。一度持ち帰ってみね」

 お母さんが優しく言うた。

 足らないモノ……何やろか?

 ふと視線を外す。

 幸隆さんを見た。

 幸隆さんは呑気に、私とお母さんのやり取りを見ているわ。

 コイツは! 

 幸隆め!

 「なあ、幸隆! アンタ見せもんちゃうざ!」

 大きな声を出したわ。

 すると、幸隆が目を丸くしていた。

 「は……あは……あははは」

 お母さんが笑った。

 え? え?

 私、何かしたんか?

 「桜井さん……いや、早苗さん、ありがとうや」

 お母さんが言うたわ。

 どうしてや?

 「なあ、早苗……さん、そろそろ帰ろか。そこで報告や」

 幸隆が言うた。

 ……そやな

 「幸隆、帰らせるんか?」

 「距離が近づいたんや。前進や」

 「幸隆、お前は奥手やなあ」

 お母さんが、深いため息をついたざ。

 なんで?

 「とにかくや、送るざ。ノリを頼むわ」

 幸隆の言葉に、私は首を縦にふる。

 幸隆、私は孝典さんの為に頑張るざ!

 そう、頑張る!

 かんば……る

 何やろ、また違和感や。

 さっきの違和感とは違う違和感や。

 私、どうしたんやろ。

 私の心が可笑しい……んか?

 何なんや。

 ……とにかく、帰ろう 

 家族に報告や。

 そして、お母さんの足りないモノを、オカンから聞いてみるざ。

 ひょっとしたら、オカンも同じことを言うかもや。

 それにしても……私の心はどうなってるんや?

 不思議な感覚やざ


                   

 

 

 



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