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私は考える。
何故こうなったのか……
答えは、やはりあのブルーベリー農家に行き着くんや。
……気付いとるやろ?
私が孝典さん以外に、気になる人がいること。
今までは、鍵を閉めていたんや。
「桜井さんは、孝典が好きか?」
宮本さんが聞いたわ。
宮本さんの助手席にいた私は、ポーッと外を見ていたんや。
「好きですよ……けど」
「けど?」
「変なこと言ってええ」
私は宮本さんに言うた。
「変なこと? 聞きたいざ」
「孝典さんには恋してます。そして……幸隆さんには……」
「幸隆には」
「……愛してます」
不思議なおっさんやわ。
宮本さん、不思議やわ。
私はなんかの魔法に掛けられたかのように、言い切ってもたんや。
後悔はない。
「恋と愛の違いはなんや」
宮本さんが聞いたわ。
「宮本さん、時間あるかあ?」
「ん?」
「ドライブせんか?」
「……遠回りして、松浦商事に行くか」
決まりやな。
恋と愛……どちらが上かは知らん。
しかし二人に、私は一つ違う接し方をして来たことに気づいてたんや。
封印を解かないアカンな。
ブルーベリー農家での、幸隆さんとの出会いを!
孝典さんの食べられるお菓子とは、程遠い内容かもしれん。
でも、封印を解くわ。
それほど、もったいぶる理由もないから。
さて……




