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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
七月入りたて
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 《夜 家族に報告》


 「やっぱり、由美子ちゃんやわ」

 オカンが笑いながら、アラレ食べてるわ。

 オカン太……手遅れやから言わんとこ。

 「オカン、太る! あっ、手遅れやったわ」

 沙織! バッカァー

 「沙織、今日御飯抜き!」

 アラレ食べなら、オカンの一言やって。

 「オカン、ごめんなさい! 許してや。堪忍してぇ」

 沙織が大声張り上げてっざ。

 ほんと、えかい声やって!

 スピーカーは伊達やないなぁ。

 「祥子、アンタもアラレ止めや。長生き出来んざ」

 ばあちゃんが、呆れた顔して見とるわ。

 私もお茶を飲みながら、笑っているって。

 「まあ、やっぱりやな」

 ばあちゃんは、真顔で言うたわ。

 高塚屋ともう一つの店の仲違いを知っているんやな。

 ばあちゃん、結構情報通やで。

 「去年は西地区は、最下位やったしな。まあ、高塚屋のダンナがやる気見せんかったのが、原因やな。私らの意見を聞かずに、自分勝手に作って私らにはただ売れ! と言った態度やったしな。あれでは、勝てんて」

 オカンかため息混じりに言うたわ。

 ずーずーっ、渋いお茶をすすりながら……

 「とは言え、今回は女将さんの梃入れが激しいわ、今回はやり方変わんのとちゃうん?」

 私は言うたって。

 ここは、私の意見も入れてもらわな。

 「明後日、グループ会議らしいわ。そこに、早苗参加やでな」

 「えー!」

 私が、大声をだすと、みんなが私を睨むんやわ。

 この時点で、決定してもたわ。

 もう! ばあちゃん、オカンは仕方ないとしても、じいちゃん、オトン、沙織までも……ん? 咲裕美?

 今、家族が四角い卓袱台に家族みんなで座っているんやけど、咲裕美の様子が可笑しいんやって。

 咲裕美の横が、うるさい沙織と影の薄いオトンに挟まれてたから、あんまり気付かんかったけど……やけに静かやざ。

 咲裕美は、勝負ごとは大好きな子やで、食いついてくると思っていたんやけど、ここまで発言なし!

 可笑しいなぁ。 

 「咲裕美、咲裕美!」

 私、名前呼んだったわ。

 ……咲裕美、心ここにあらずや。

 「咲裕美ねえちゃん!」

 沙織が激しく揺さぶる。

 「わっ、なっ、何やって!」

 咲裕美が我にかえり、沙織に怒鳴りつけたわ。

 「咲裕美ねえちゃん、どないしたん? 今日、なんかあったんか?」

 「なっ、何もないわ! 会議終わったし、部屋戻るわ。風呂は後でええわ。それと、早苗お姉ちゃん明後日も付いてってええ?」

 はっ?

 咲裕美、どうしたんや?

 咲裕美の目が、私に訴えかけてるって!  

 「ええんか? ムサイ話やで」

 「構わんわ! ……別になんでもないんやざ! 社会勉強やでな」

 咲裕美はそう言うと、二階の部屋に上がっていったって。

 一応、咲裕美は沙織と同部屋、まだ部屋はないんや。

 「……なあ、早苗! アンタ、咲裕美に何かあったか知っとるんか?」

 オカンが聞いてきたわ。

 オカンらも、どこか可笑しいと、気付いてたんやな。

 ……

 ……

 ……

 ……

 ……

 「オカン、わからんわ」

 「はあ?」

 「途中までは、咲裕美やったんやざ。女将さんとも意気投合しとったし……」

 私はしどろもどろしながら、言うたざ。

 「その後は、ねえちゃん」

 沙織まで……もう。

 「……確か、その後に女将さんの息子が呼びに来たわ。丸刈りのええ男で、女将さんに似た雰囲気のある男やったけど、そこからかなぁ」

 うーん、これしか思い当たらんなあ。

 ……ん?

 な、何、みんなが変な顔して、私見とるざ。

 「早苗!」

 オカンが怒鳴る。

 そして、一言!

 「ど天然!」

 呆れた顔で言われたわ。

 ……何でや?

 「ねえちゃん……そうやって、たくさんの男泣かしてたんやなぁ」

 沙織が、バカにするって!  

 なんでぇー?

 「……はあ、とにかくや、明後日は咲裕美といっしょやざ」

 「オカン、なんで?」

 「乙女心がわからんのか!」

 オカンが怒鳴るって。

 と、とにかく明後日は、咲裕美を連れてかなあんなあ。

 場所は高塚屋の支店や。

 因みに、今日は本店やったんやけど……

 「なあ、オカン! 息子さん、来るんか?」

 「さあ、沙織、これは出たとこ勝負やざ」

 ???

 よう、わからんわ。

 とにかく明後日は、行かなアカン。

 ……その前に明日は、デートやざ。

 場所はハーモニーホール、生ピアノの演奏会らしいわ。

 孝典さんに、そこで聞いてみようっと!



                 

 

 

 

 



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