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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
四月 桜満開
119/120

119

 《朝 製造室 ばあちゃん》


 朝日は、高いんや。

 春はどんどん、陽が伸びる。

 今私は、ばあちゃんと製造室におるざ。

 理由は、佐藤さんの注文のお菓子を創るからやざ。

 オカンは早々に、上がったざ。

 いろいろと、なんかしとるみたいなんやって。

 「なるほどな、あのオッサンとか」

 ばあちゃんが、笑とるざ。

 顔に、大丈夫!

 そう書いてあるんやな。

 確かに……私もそう思うざ

 「求肥、白玉粉、餅粉……これを合わせんるんやな」

 「そやよ」

 私は、言うた。

 そやよ……そうです

 一応補足な。

 「いくつ創るんや?」

 私は入れ物……つまり箱を見せたんや

 箱は二つ合った。

 一つは小さい箱、これは佐藤さんのお菓子用なんやざ。

 「佐藤さんのお菓子は、こんくらいや。正直、予算ケチられたみたいなんやって」

 「まあ、そんなモンやざ。和田さんは、結構太っ腹やったんやろな」

 なるほどな確かに和田さんは、ようお菓子を買ってくれたざ。

 つまり周りに気を使ってもいたけど、和田さんが太っ腹やったこともあるんやろな。

 あっ、そうそう、話の続きやな。

 後もう一つは、三重の大きな箱なんやざ。

 私が幼い頃から、使っとる家の箱なんや。

 もっと言えば、正月用のおせち料理の重箱やざ。

 「これにいっぱい詰めて……やって」

 「早苗……アンタも悪知恵働くのう」

 ばあちゃんが、笑てるざ。  

 私もやけど……

 「これは夜の……」

 「宮本さんは?」 

 「バッチリ!」

 私とばあちゃん、大笑いやって。

 

 《製造中》


 こんお菓子は、普通は機械でやったら早いんや。

 けど、さくらいはあまりこのお菓子は創らんのやって。

 つまり手作業になるんや。

 「餅は機械あんやけどな」

 「餅と……団子は、似とるようで似とらんからなぁ」

 私は言うたざ。

 そう私は団子を創っとるんや。

 さくらい は、あまり団子を創らん。

 理由は日持ちせん、固くなったら美味しくないから。

 固さを遅くする添加物はあるんや。

 けどさくらいは、添加物はあまり使わんのやざ。

 全く使わん訳ではないんやけど……

 「食紅はよう使うけどな」

 「それはどこもお互い様やろ」

 それに今回も使うんや。

 それと塩漬けしたコレを混ぜるんや。

 「早苗、包丁持ってきたか? よう刻んですりつぶしてシンをなくならせや」

 ばあちゃんが言うたざ。

 わかったますって。

 「餡は? 今回は漉し餡やで。これが日本酒に合うはずやざ」

 「……早苗、アンタは酒はあかんぞ!」

 ばあちゃんが、少し迷惑そうに言うたって。

 正月のアレやな。

 アハハハ……

 咲裕美おらんから、大丈夫やろ。

 ……あっ、そや!

 「咲裕美は今回、帰らんのやろ」

 「そや、アルバイト先に頼まれたらしいざ」

 「確かカフェやったなあ」

 「そや、あの娘のコーヒー、なかなからしいざ」

 咲裕美は大学制や。

 勉強だけしとれ! とは、言えんのやって。

 それだけ家に、お金ないし……

 「バイトも経験や、亮クンともなかなからしいざ。咲裕美は三姉妹の中でも、なかなか肉付きええし」

 は? 関係ないやろ……多分

 それに私かって……やめやめ、この話はなしやざ

 「高塚屋さんは、夜どうなんや?」

 私は話を反らしたざ。

 「来れんと、まあ仕方ないって」

 ばあちゃんが、言うたって。

 これは仕方ないな。

 高塚屋さんも、忙しいんや。

 女将さんも、大変やな。

 

 《数時間後》


 旦那は完成に近づいたざ。

 少し茶色の団子に、漉し餡をたっぷりとまぶす。

 餡は砂糖少なめやざ。

 「団子を積まんのか?」

 「積めんやろ、こんな重箱じゃあ。だから詰めるんやって」

 私は言うた。

 そや、たくさん詰めよう。

 「はいはい」

 …………

 …………できたざ!

 「ばあちゃん! できたざ」

 私は言うた。

 ばあちゃんも、目で笑とるって。

 これで、後は夜を待つだけやざ。


 

 


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