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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
二月 まだまだ寒い 
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 コマーシャルになり、放送が途切れた。

 疲れたざ。

 「早苗さん、お疲れ様や」

 女将さんが笑てるざ。

 顔には出せんけとわ、頭がガンガンなっとるって。

 私、もう少し……もう少しやから、もっての!



 《駅前東口 沙織と幸隆 それに……》


 「あっ、彼氏さん」

 「こんにちは、妹さん」

 「……へんな紹介やの」

 「……ほやな、まあ気にせんとこ」

 「そうやの」

 「すごい学生さんばっかり、それも女学生が多いって」

 「はやから、浮気ですか?」

 「俺、早苗しか見えないんやってぇー」

 「……」

 「……そっ、それはそうと、連は?」

 「連クンかあ、連クン後でお父さんと来るんやて」

 「礼二さんとか」

 「ほやって」

 「ふうん……ところで、羊羹食べたかあ?」

 「はい、食べたざ。正直、早苗ねえちゃんのが、お世辞抜きで美味しいです」

 「なるほど……な」

 「ん? どうしました? 彼氏さん」

 「俺な会社の同僚と来たんやけどぉ、早苗んとこの水羊羹が甘過ぎって意見あるんやって」

 「マジなんか!」

 「ああ、大名閣に入れるようなんや。まあ、力押しで早苗にしようかと思ったんやけど、これは本人の意志やでな」

 「私だって、汚いことはやざ!」

 「まあ大名閣の水羊羹も、あまり評判悪いけど」

 「……ところで、同僚って何人や?」

 「……や」

 「少な! 松浦やろ?」

 「……スマン、俺、普通やで」

 「はいはい、全くやの」

 「ちなみに、松浦は動かん……オカン以外は」

 「そうで……えっ!」

 「全く、兄さんに怒られるって! オカン!」

 「……」



 《駅前 カフェ内 奈緒子 愛子 ヤギ付》


 「外、真っ暗になってきたざ」

 「愛子、仕方ないざ。二月なんやで」

 「そやの、あのアホは時期選べや」

 「元ダンナやろ?」

 「はいはい、松浦の奥様!」

 「なんかいちゃもんつけてるざ」

 「いちゃもん……家の元ダンナのことか?」

 「なんか、いちゃもんつけたんか?」

 「『俺のやることに、顔つっこむな!』なんやって。まあ遠慮なく顔突っ込んだけどな」

 「そうなん?」

 「なんやその反応」

 「別に……で、どうやったんや」

 「なんか仕掛けてたみたいや……けど、幸チャンに上手く釘さしてもらったんやざぁ」

 「あんた顔、ニタつくなや! 誰や? 幸チャンって」

 「福井市議会副議長、篠原 幸一郎さんやって」

 「!!!!!」

 「私、健全やざ。第一アホたれの従兄弟やし」

 「……そうしといたる、けど、愛子と言い早苗さんと言い、近親者の流行ってんかあ?」

 「はあ?」


 「失礼します奥様、大名閣の羊羹三種類と、さくらい の羊羹三種類を持ってきました」


 「八木、お疲れ様やあ。ゴメンね、私らカフェでお喋りしとって」

 「ありがとう、さて、奈緒子、味見やの」

 「わかっとる」



 「……」

 「……」

 「愛子、どう思う?」

 「バレンタインにチョコと羊羹のコラボ、わかりきってるざ。ひねりがないざ。味もイマイチやって。貴史が来てないんもわかるって、あの子、完璧主義やから」

 「貴史? 確か三国のかあ」

 「ほや、アホたれ未完成を取り上げたんやろな。ところで、さくらい 高塚屋のは……」

 「早苗さん、なかなか着眼点はええざ。さすがやざ。バナナは案外イケるって、けどこの甘過ぎ羊羹は賛否両論ありそうや」

 「先をみる桜井さんの目は、間違いないんやな。しかしそれは周りがついてきての産物やって」

 「愛子もキツイなあ。けど、勝敗つけるなら、私は早苗さんやって」

 「私は……アホたれや」

 「意外やな」

 「ええやろ」

 「……」



 《駅前西口 特設会場の反対側辺り 礼二 連》


 「父さん、食ったか?」

 「ああ、食った」

 「どちらが、好みや?」

 「父さんは、早苗さんのや」

 「俺もやって、甘いの好きやし」

 「確かに……なあ、連、ここから早苗さん見とるんやけど……顔色悪ないか?」

 「えっ? ほうなんか? 遠くて様わからん。父さん目いいなあ」

 「連、少し早苗さんに近づいてみるか?」

 「アカンざ、俺と父さんは目立つ。少し様子見しようや」

 「ほう……やな」

 「……」


 

 

 



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