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はい、お菓子やざぁ  作者: クレヨン
二月 まだまだ寒い 
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 「おい、アンタら、紹介をやるんじゃなかったんか?」

 大名閣の社長が、呆れてるざ。

 このことに関しては、私と女将さんも同じ気持ちやの。

 女将さんと目が合い、私ら笑たって。

 「あっ、大丈夫です。紹介時間を間違えました」

 「スミマセン」

 アナンサー二人が、委縮してるざ。

 さっきの掛け合いが、ウソみたいやって。

 「……まっ、とにかく、頼むざ。主役は大名閣やでな!」

 おい!

 向こうのオッサンが、訳わからんこと言ってるざ。

 「はい、全ての和菓子屋さんの応援、しますよ」

 アナンサーが、ニコニコしとる。

 「だから……」

 何か言いたがっている大名閣のオッサンやったけど……

 

 「はい、カメラまわりまーす」

 スタッフさんの声が入った瞬間、オッサンが直立不動になる。

 私は吹きそうになったざ。

 まあ、私も直立不……!

 なんやろ? 背中に違和感が?

 「どうしたん」

 女将さんが、小声て言うたんやの。

 「大丈夫やざ」

 私は笑顔で、お返ししたざ。

 思いの外、緊張しとるんやな。

 「はい、再び、福井西口からの放送でーす」

 「外はそろそろ、日の入り時間、夕方家路に急いでバレンタインのチョコレート、貰う、貰えなかったで、葛藤する時間に何故か羊羹対決がありまーす」

 「長い前振りやめやめ」

 「アハハハ、さて羊羹対決でしたね。今日は特設会場に、二つのチームに別れて和菓子屋が自慢の羊羹を持ってきていただきました」

 アナンサーの一人が、こっち来たって。

 なんやろ? 異様に喉が渇くざ。

 心臓もバグバグと、体から聞こえてきとる。

 たかが、地方の冴えない番組にやざ。

 もう一人のアナンサーが、まず大名閣を紹介始めたって。

 「まずは、こちらから、紹介をします。福井の和菓子屋を引っ張っていく、福井和菓子の代名詞! 大名閣さんでーす。大名閣、よろしくお願いします。意気込みの程を」

 「はい、福井と言ったら、大名閣! 大名閣は福井の和菓子をそして洋菓子を引っ張る、パイオニアでありこれからも、福井にお菓子で元気をモットーに県民の皆様とありつづけることを、お約束致しまして、今日の対決は横綱相撲を見せて勝ちたいと思います、つきましては……」

 「大名閣さんありがとうございましたあ」

 アナンサーさんが、途中で切ったざ。

 「ウザイ」そんな表情を、一瞬したのを私は見逃さなかったんや。

 少し笑てもたざ。

 大名閣のオッサン、なんか言いたそうやったけど……カメラが替わる雰囲気がする。

 もう一人のアナンサーが、女将さんと私に目線を送る。

 

 そろそろですざ


 そんな感じや。

 さて、気合入れるざ。



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