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祖母

春子は初春に生まれた。名前の通りだが、時々、おばあちゃんみたいだね、と言われてショックを受けている。そんな、彼女の祖母と言えば、霊感の強い人だ。今も元気に生きているが、相談事が多く、精神的に疲れている。霊視をするため、かなり体力を使ってしまうらしいのだ。

今日はそんな祖母の元へ向かう日だ。春子はこの祖母が小さい頃から好きだった。だから、どうにかして解決してあげようと、癒しのクッションを持って行ってあげることにした。

「…おばあちゃん、喜んでくれるかな?」

何度も母親に確認した。母親はその度に

「大丈夫よー、おばあちゃんそういうもの、好きだから。」

と、言ってくれた。だから、今は自信を持って持っていくことができる。

「待っててね、おばあちゃん。」



祖母はロッキングチェアに座って、テレビを見ていた。そこには有名な芸能人が映っていた。春子はそれを見て、霊視しているのだと、悟った。そして、暫く待っていることにした。

しばらく待った後で、春子は

「…おばあちゃん、来たよ。」

と、言った。呼ばれた彼女は

「いらっしゃい。そろそろ来ると思ったよ。」

と、顔をほころばせた。そして、何やら厚い本を持ってきた。

「…おばあちゃん、なあに?それ。」

「これは、霊能力の本だよ。春ちゃんに教える時が来たんだ」

春子は祖母に春ちゃんと呼ばれている。彼女は祖母からその話を聞き、驚いた。

「ちと、早すぎる気もするけど、私も歳だからねえ。いつ霊気が消えるか分からんからね。」

春子は黙ったままだった。

「怖がることないさ。悪用しなければいいことだもの。」

祖母は優しく言うと、彼女の頭を撫でた。彼女は切ない気持ちになった。そして、

「…低級霊に取り憑かれるんじゃないの?」

と、震える声で、不安を露にした。祖母は真剣な面構えで、

「絶対ない、とは言いきれないね。でも、それが誰かを救うきっかけになるかもしれないでしょう?」

と言った。彼女は何度となく祖母が電話やインターネットで悩みを解決してきたのを知っている。しかし、いざ自分がとなると、足がすくんでしまうのだった。

「おばあちゃん、これ、あげるからちょっと待って。」

彼女は自分が何しにここへ来たのか思い出しての祖母にクッションをし出した。

「…ありがとう。じゃあ、寝るかの」

春子は笑って、その場を離れた。

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