春子
元々は小学生時代に書いた作品です。あまりに稚拙な文章で書かれているのですが、スケールが壮大なので、推敲して載せてみたいと思います。時間ががかると思いますので、暖かく見守っていただけたら、嬉しいです。
弥生春子は落胆していた。それは、今日の昼間に遡る。彼女は中学で初めての友達の里衣と一緒に文芸部の見学に行った。教室まで行ってみると、扉が空いている。
「すみません。」
里衣がか細い声で言った。しかし、誰も出てこない。覗いて見ると、誰もいなかった。里衣は春子を見つめた。春子は見つめ返した。
「変だよね?」
「教室間違えたかな?」
などと、言っているうちに、上級生らしき人が声をかけてきた。
「文芸部に用があるのか?」
「あ、あの、私達入部しようと思って。。」
ちょっと怖そうな上級生に彼女たちは震えた。
「ふうん。でも、潰れたんだよな、この部活。」
「え!そうなんですか?」
春子は驚きを隠せなかった。ここにくるのを何より楽しみにしていたのだ。
「残念だったな。それより、演劇見に来いよ。俺が監督やってんだ。入ってくれたら助かるんだけど…見学だけでも、な?」
上級生は念を押した。
「私はいいです。帰らないと親が心配するんで。」
里衣は言うと、春子を残してサッサと帰ってしまった。春子はキョトンとしたが、あれよあれよというまに上級生に体育館のステージまで連れて来られてしまった。
「紹介が遅れたな。俺は3年の横田だ。」
「1年の弥生です。あの、演劇部って、具体的に何をやってるんですか?」
「みてりゃ、分かるよ。体験してっても構わないよ。」
春子は言われたが、この人は何だか好きになれそうになかった。
「そうですか、じゃあ少しだけ。」
ほんの社交辞令のつもりだった。しかし、
「1人やってくってさ!役どうする?」
と、何やら本格的に始まってしまった。春子はそのあと七時くらいまで演劇の指導を受けることになってしまった。
春子は家にある隠し部屋に篭って、メールを打ちながら今日のことを振り返っている。
「聞いてよ、里衣。あの人ってば、かなり熱血に指導してきたよ?それに、変。わたし、このままじゃ、入部させられちゃいそう。」
戸惑いながら、送信ボタンを押した。返信は割とすぐ来た。
「変だなんて、昔から知ってた。本当はあの人、私の兄だから。あんまりそんな話したくないけどね。。だから、今日は先に帰っちゃったの。ごめん。」
春子は里衣の家庭環境はよくわからなかったが、何やら大変だということは伝わってきた。
「そうだったんだ。。でも、何でそうなっちゃったの?」
春子は自他ともに認める馬鹿だから、上の文章をそのまま返してしまった。
「聞くなって言ってんのに、お前はもう!」
里衣からは怒りのメールが返ってきた。春子はよく状況が分からなかった。春子は自分の家庭事情を全て彼女に話したのだ。それで、自分だけ言わないのはずるいと思った。どうしても聞きたかったが彼女は怒っているようなので、何も返せなかった。