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ロリコン?いいえ青年期の男子です。

「どうすればいい」


「空腹ということならば、生きるための糧を差し出せばよいだろう」


「…面を付けているが」


「…とればいいだろ」


「……俺が触ったら折れないか」


「……折れるっていうか、潰れそうだな」



 とりあえず俺とデップは少し道から外れ、ある程度スペースのある場所に少女を運んできた。少女を両手で運んでいたデップはそのままゆっくりと地面におろしたのだが、その後の対応に困っているようだ。それは俺も同じである。


 腹が減ったという事実は分かったが、気を失っている人間に対してどう食べさせればいいんだっていう。ていうかこの鬼の面は勝手に取ってもいいのかっていう。ほら、よくあるじゃん?邪悪ななんかとか、聖なるあれとか。触れぬが仏って言うし。



「………とりあえず揺さぶってみるか……」


「お前が…か、デップ」


「そうだな」


「……やはり俺がいこう」



 やっぱりなんだか潰れてしまいそうだったから俺が少女とコンタクトを取ることにした。こういうときは普通に俺に頼めばいいのに、デップはなんでも自分でしようとする。俺もそれに甘えてすべて押し付けようとするんだけど、今回は少女ということで、アニメの世界の少女ということで…可愛くないわけがないと信じて自ら動いている。


 やばい、ちょっとドキドキしてきたな。結構小柄だし幼女かもしれない。ちなみに俺は男子高校生、決して中年のオッサンでもロリ好きの青年でもないぞ。これは空くんで一般的な思春期・青年期などにみられる女子に対する興奮であって、決してロリっ子のみに愛をささげている系男子ではない。


 ちなみにブルータウンで出会ったロリ神様は幼女のうちには入らないことになったから、そこのとこよろしく。



「おい、目を覚ますのだ、愚民よ」



 俺は高鳴る胸の鼓動を抑えて、少女の肩を揺らすと少女は小さく唸り声をあげて、小さく体が動いたような気がした。お面をしているせいで表情も目を覚ましたかも分からないが、動きがあるのだからきっと目を覚ましたのだろう。


 しかし力が入らないのかプルプルと震える手だけが俺のほうへと差し出されていた。



「……デップ、メール魚の日干し、まだあるか?」


「あぁ、ちょっと待て」



 そういうことなのだろうと、いろいろ察した俺はすぐにデップから食料をもらう。そしてそれをゆっくり少女の小さな手の上へと乗せた。


 少女は弱々しくそれを手に取りゆっくりと自分の顔の方へと持っていく。俺はとうとう仮面の下を見ることができるのかと思い少女を凝視した………が、面をとる気力すらなかったのかメール魚を口に持って行ったままカツンカツンとなっている。


 つまりどういうことかというと、面をしたまま口に入れようとしているから面にメール魚が当たって口に行き着いていないということだ。


 俺は少し悩んだ挙句、仮面を取ってやろうと手を伸ばした。その間も少女は力なくカツンカツンやっているもんだから、もうそれ自分で面を取ったほうが労力使わないよねって思いつつ、ゆっくりと仮面を上へスライドさせる。



「………、」



 面をとると少女はやっと食べ始めた。その姿を俺とデップは無言で見つめる。少女の素顔をみた感想はどうしたのだ、と言われても今は声がでないほど驚いているから無理だろう。デップは知らんが、俺は無理だ。



「これは同じ人類なのか?」



 少女をガン見していたデップがポツリと呟いた、もっと違う言い方はなかったのか。確かに可愛さ異常だけど、普通に可愛いって言っていいかも分からないぐらい異常に可愛いっていうか可愛異常(かわいじょう)って感じだけど。そこは女の子らしく可愛い物好きで、ギャップ萌えきたぁ!とか狙うところだろーが、デップ。


 面をとった少女の瞳は鋭い獣の目のようだったが、優しい紺碧色(こんぺきいろ)で、その肌も白く、まるで死んでいるのではないかという程だ。少し短めの前髪は横へ流れており、黒色に見えた長髪も光の反射によって少し青く見える。


 とりあえず説明できないほどきれいな少女だってことはよく分かった。






―――――――――・・・・‥‥……






「あの、本当に助かりました、ありがとうございます」




 数分後、少女の周りには魚の骨すら残っておらず、ただ、魚を包んでいた紙が散乱していた。相当お腹が空いていたのだろうが、骨の髄まで食い尽くすと言うのはなかなかの食欲だと思う。


 俺は骨をしっかり除いて食べる派の人間だ。ちなみにデップも骨は除くらしいが、個人的にはデップこそ丸かじりしている姿のほうがしっくりくるんだよな。



「気にするな。この先に街があるから、そこまで気を付けて行けよ」


「まてまてまてまて」


「なんだ、お前も腹が減ったのか?」


「風が呼んでいる、新たなる風が」


「風一つないが」


「空気読めよってことだよ、このデップ野郎」



 今更ながら気づいたんだけど、これってある意味イベントじゃん?新しい仲間イベント。なのに、まさかの、その辺の村人のように出会って助けてさようならって。


 …‥‥…いやいやいや、こんなに可愛い顔してそれはない。というか、そんなの俺が許さない!このパーティにもとうとう可愛い要素だぞ、この機会を逃がすわけには!男性読者を手に入れる絶好のチャンスだぞ!あと俺のやる気を向上させるチャンス!


 ここはお落ち着いてはなしを持っていこう。



「空気を読むなんてできないぞ、俺は。魔力は使えないからな」


「ふっ、空気も読めないでよくここまで生きてきたな」



 だからお前今まで仲間いなかったんじゃねーのかよ。

空気は読めないやつだとは思っていたが、言葉も知らないとは罪深き阿呆め。


 ―――ん?


 俺はそこで重大なことに気付いてしまった。今まで気が付かなかったことがおかしいぐらい重大なことだ。俺はキョトンとしている少女を横目にデップを凝視する。


―――アニメの中でこいつ(デップ)に仲間はいたか?


 

 チャラチャラチャラチャラチャーラッタタターン(田中プレゼンツ適当BGM)



アニメ内のデップには仲間がいなかった!

▽デップに危機が訪れた!

→アニメ通りボッチになる

→無理やり仲間を見つける



次回!超絶美少女は仲間になるのか!そしてこの少女の素性や如何に!!

デップ、ついに仲間を手に入れる!?



「結局メインの少女まったく喋ってないって…これも時の因果、か」



続く!!!!!

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