九・手紙。インタビュー
――新しいアルバム、全て聴かせて頂きました。
「ありがとうございます」
――その中でも一番印象に残ったのは、月並みで申し訳ないんですが、やっぱりアルバムの表題にもなっている楽曲ですね。でもどうして天気予報士、なのでしょう。気象予報士、ではいけなかったのですか?
「あの唄は……、一種の手紙、ですかね。あ、タイトルにあるか」
――そうですね(笑)。
「うん。で、そう。瑞穂って変な癖があって、あいつ、嫌な事とか悲しい事とかあったら、五秒くらい下向いて、そしてすぐ顔を上げて笑うんです。最初見た時とか、ほんとこいつ何やってんだろって、そんな風に思ったんですよね。雨が降ってる時なんか、傘をくるくるって回してから顔を上げて笑う。一体何なんだろうって思って聞いてみたら、自分ルールだって、あいつ答えるんです。傘をくるくる回したら、もう全部受け入れられる世界になるって。嫌な事を言った人は、きっとイライラすることがあったんだ、と。もしかしたらもっと良い私にするために、私のために言ってくれたんだ。嫌な事をする人がいても、それもやっぱり同じ。傘をくるくるって回す方が正式で、屋内とか、晴れた日にも最初は一々傘を使ってやっていて、『あの子は変な子だ』と言われたりもしたそうです。そして、そんな生活を物心ついた頃からずぅっと、ずーっと、続けていたんだそうです。当時の俺達は、気象予報士って言葉を知らなかったんです。
この唄は、そういう人に、そういう滑稽な奴に向けた手紙なんです。それも、俺が言いたい事を言うだけ、伝えるだけ、叫ぶだけの、そんな乱暴な手紙なんです」
――乱暴、という感じを私は全く感じられなかったのですが、なるほど、そうだったんですね。
「えぇ。乱暴ですよ。何せ、瑞穂はこの唄の背景を聞いていませんし、あと、このインタビューの仕事を俺が受けた事っていうか、話が来た事自体話してませんし(笑)」
――えー。じゃあうちの雑誌瑞穂さんが見たらビックリしちゃうんじゃないですか?
「えぇ。だからうちには置きませんよ。この号だけは手に入らなかったってことにしてとぼけ続けます(笑)」
――え? じゃあ送りますね?(にっこり)
「いやいや。すみません。処分しときますね」
――酷いなぁ(笑)。うち結構シードルさんの特集組んでるじゃないですかぁ。
「えぇ。感謝しています。でもそれとこれとは話別っス。恥ずかしいじゃないですか。汲んでくださいよ、ね?」




