零・最初の話
この物語は、佳境の部分において人を傷つける暴言や、暴力が描かれます。人によっては非常に不快な思いを想起させてしまう恐れもございますのでR−15とさせていただいております。読み進めていただく際にはお気をつけ頂き、もし不快な感情を抱かれましたならば、すぐにリラックス出来る環境を用意してくださいますようお願い致します。
産まれたときからでかかった。四千グラム越えは当然のことで、中三で百九十近い背丈をしていればそれは当然目立つだろう。
だが運動はしていない。というか軽い喘息持ちで急な運動やスポーツはできやしない。
「そのでかさマジ無駄だわー」
という幼馴染達の言葉はもう聞き飽きた。……いや、問題はそこじゃない。
そんなんだから、今年の春赴任して来たばかりでいきなり俺等の担任になりやがった百合神に目をつけられて、そしてとんでもねぇお荷物を押し付けられる羽目になったのだ。
「…………」
「…………」
「……なぁ」
「…………」
「なぁおいってば!」
「ハ、ハイ! わっ、私……ですか?」
「あんた以外に誰がいるってんだ」
「え、えーっと……。そ、う、ですよね?」
「…………」
思わず漏れるため息。
「あんた一応先輩なんだろ? 何でそんなオドオドしてんだよ」
俺はギターのチューニングもそこそこに、とんでもなく居心地の悪そうな顔をして怯える相手を見る。
公立の中学校だというのに去年ほぼ一年学校に来れなかったからだとか、事情はよー知らんがとにかく留年を食らい、一年後輩である俺等と同級生になっちまって、そしてそれらに囲まれて固まってしまっている彼女を見る――。