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村の作り方

ホムクルスの見た目は人間と変わらない。ただ、ホムクルスの方が情緒面が外見と釣り合ってないことが多いためそれを目印にして区別をつけることが多いらしい。ここで村を創るのに起こる問題を上げていく。


・この周辺を治める領主に対しての対策。村を作るのは不法占拠だろうし、税を治めるつもりもない。⇒下手に他の勢力に借りを作るのは面倒だ。勢力が弱い内に何らかの形で隠蔽するべきか

・住人が魔物の仲間扱いされて迫害されるのではないか、最悪虐殺が起きてもおかしくないだろう。

・そもそもどうやって人を集めるか

・統治形式はどうするか


とりあえずこんなもんか

、とにかく外との交渉をしなければならないが、今のホムクルスでは交渉事は難しい。

「カマクラ、この世界に奴隷っているの?」

『非合法なものですが存在します』

「非合法か・・・・」

余計な傷はつけたくないな。

「侵入者から奪った中にお金はあったっけ?」

『はい、およそ8ガッドあります』

「ガッドっていうのがお金の単位?」

『はい。ブロド、シード、ガッドの順で大きくなります』

「相場は?」

『10ブロドで1シード、1,000シードで1ガッドになります。辺境の農村では年収1ガッド程です』

「なるほど」

僕は頷くとホムンクルスを一体産み出した。

「お呼びでございましょうか、マスター」

「うん、これから5ガッドを渡すから近隣の村から子供を10人買ってきて」

「わかりました」

やっぱり条件を聞こうとしないらしい。

「いくつか条件をつけるから覚えておいて」


・買う子供は男女5人ずつ

・食うのに困る程貧しい家の健康な子供に限る

・長男長女は避ける事

・一つの村から買うのは一人だけにすること


「この条件を満たすように子供を買ってきて」

「わかりました」

「ちゃんと連れて歩く間は衣食住を確保してやれよ」

ホムンクルスを外へ送り出した。

「開墾しているホムンクルスに井戸を掘るように指示を出さないとな」

コントロールパネルからホムンクルスを呼び出す。

『はい、何のご用でしょうか?』

「開墾し始めたばかりで悪いな。少し頼みがあってな」

『何でしょうか?』

「すこし周りを見せてくれ」

『はい』

パネルに周囲の景色が映った。

「周囲は森か。川は近くにないか?」

『ここから一時間ほど歩いた場所に』

「一時間は遠いな・・・湧水は?」

『森の中に存在することを確認しました』

「だったらそこから水路を作ってくれ。水路の先は先程言ってた川へ繋げてくれ」

『わかりました』

「暫くしたら子供が連れて来られる。侵入者の気配を感じたらすぐに隠れてくれ。何か問題があったらすぐに連絡を」

僕はそう言って通信を切った。

「ふぅ・・・・手探りも良いところだな」

とりあえず食事を何とかしなければならない。

食えなきゃ生きてられないんだから。

「っと、言ってる側から侵入者か」

開墾している場所はダンジョンの入り口である建物から少し離れている。木々の影で隠れているから普通にダンジョンに向かうだけなら見つからない筈・・・・早く隠蔽系の術を覚えなければ。

侵入者の断末魔を聞きながら僕は考え込んだ。

「外に出れたら直接指示を出せたんだけどなぁ」

無いものねだりをしても時間の無駄だ。今は侵入者から金を得なければなならない。



突如やって来た男によって僕の人生は変わった。

重税によって食事にも困る日々、両親や兄も貧しい環境に荒み僕や周りに当たっていた。

「よろこべ! お前に3,000シードの価値がついたぞ!」

兄の言葉に僕はとうとうかと思った。

「名前は?」

「カナン」

「カナンか、まずはこの服を着て」

無表情な男は僕に綺麗な服を押し付けた。

「これ・・・・」

「マスターに買った子供の衣食は保証するよう命令されている」

男に言われ服を着替えると男は宿へ僕を連れてきた。

「君も買われたの?」

部屋に案内すると僕と同じ年頃の子供がいた。

「君は?」

「僕はサーガ、あの男に買われたんだ」

「同じだね・・・・一体何が目的なんだろうね?」

「健康な子供が良いって言ってたし・・・・魔術の実験体か、魔物の餌かな?」

「そっか・・・・」

サーガの言葉に僕は絶望に包まれながら俯いた。

買うのは僕が最後だったらしく男は辺境の端にある森へ連れてこられた。

「ここだ」

森の一角に樹を斬り倒した広場があった。

「マスター、連れてきました」

『ご苦労』

男の前に透明な板が現れた。

『子供の顔が見えるようにしてくれるか?』

男が板の向きを変えると板に黒髪の男の姿が見えた。

『初めまして、僕の名前はスグル、君達の雇い主だ』

「雇い主だって?」

怯える他の子供を庇うように前に立ったサーガが 怪訝な顔をした。

『君達の家族へ払った金は単なる前金だ』

黒い男は肩を竦めた。

『君達には此処で開拓を行っているホムンクルスの手伝いをしながら彼等に感情を教えてやって欲しい』

黒い男に言われ改めて広場を見ると簡素な小屋とその周りに僕を買った男の様に無表情な男女がいた。

「ホムンクルスだって?!」

『詳しい事は話すわけにはいかないが衣食住は保証する。そして出来た作物は売って現金にしても構わないし自分達で消費しても良い。ただ三分の一は現金に変えて税として納めて貰う』

三分の一なんて、税としては破格の割合だ。

『詳しい事はまたその時が来たら話そう。何かあればホムンクルスの誰かに言えば僕に連絡が回る。お前は開墾の手伝いをしろ。ではな』

板が消え、男の姿は消えた。

「何がどうなってるんだ?」

サーガが眉間に皺を寄せた。

「とにかく助かったのよね!」

一緒に来ていた女の子が涙声で言った。

「男は畑の開墾を、女は種蒔きと水やりを」

やって来たホムンクルスに言われ、僕達は道具を持って散らばった。



「はぁ、とりあえず第一村人確保」

僕は胸を撫で下ろした。

村の位置を基点にダンジョン方向へ開墾を進めていくつもりだ。

ダンジョンの近くは町に近い形にしたい。「町のメインは追々考えるとして・・・・とりあえず、カマクラ」

『はい』

「この世界の技術体系とかどうなってるか分かる?」

『一般常識レベルでしたら』

「じゃあ0の0乗っていくらか分かる?」

『すいません、王都の学院にいる者ならば分かるかもしれませんが』

「学院?」

『各国の王都には学者や哲学者が集まる学院というものがあり、それぞれが研究を行っています』

「後進の育成には力を入れてないみたいだね」

『学者は数名ずつ弟子を持っております』

「わかった。この国の識字率は?」

『貴族は習いますが平民は村長位です。街では富裕層や商人の上層部位ですね』

「ホムンクルスは読み書き計算出来る?」

『はい』

「なら週一で読み書きと計算を教えるか」

僕は呟き、食事を外へ送るよう指示を出した。後は、そろそろボスも入れないとならないし・・・・ああ言うのがいいな。

僕は口の端をつり上げるとコマンドを操作した。

「問題は誰も一層を越えないってことだよな」

分かれ道では左を選びやすいと言うが揃いも揃って左を選ぶとは、山勘に頼って死ぬとか間抜けすぎるよ。

「スケルトンナイトはとりあえず一番下の層へ移動させないと」

見つけた侵入者を次々に狩って経験値荒稼ぎしてるし、そろそろ他の奴にもっと回したい。

コマンドを操作しながら僕はレベルの上昇音に口を歪めた。

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