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初侵入者

それから三ヶ月後、ダンジョンに人が入れる日の前日になった。

≪スグル様、経験値の振り分けはどのように設定いたしますか?≫

「倒したモンスターに五割、僕に三割、それ以外のモンスターに二割でいくよ」

≪わかりました。経験値配分、設定します≫

カマクラに設定を任せて僕はステータスを開いた。



オオトモ スグル

Level 11

種族:魔王

属性:無し


HP:4,200/4,200

MP:1,000/1,000


ATK:250

DEF:290

INT:490

MGR:460

AGL:270


Magic

エナジーボール

ウッドウォール

ウッドロープ(蔓によって相手を拘束する)

ウォーターシールド

サンダーショット

ファイアーボール

ファイアーランス(火で出来た槍を相手に飛ばす)

ロックウォール

ウィンドシールド

ダークハンド

ネガティブロンド(相手の動きを鈍らせる)



第三階層まで作り上げることが出来た。それに不死者属の下位モンスターも産み出せるようになり、敵の動きを封じるトラップも使えるようになった。

「カマクラ、人が入ってる階層に手を加えるって無理?」

≪はい。その場合は中にいる侵入者は一つ下の階層へ移されます。その階層へ入ろうとした侵入者も同様です≫

「ダンジョンに人が入らないようにすることは出来るの?」

≪一日につき五時間可能です。中にいる侵入者を強制的に排出します。ただし最終フロアに侵入者がいた場合は使用できませんのでご注意ください≫

「了解」

とりあえず聞きたいことは全て聞けた。後は侵入者が来るのを待つばかりだ。




新しく出来たダンジョンと言うのは基本的に初心者の練習場になるらしい。しかし中にはモラルを持たない者もいるわけで・・・・

『ハッ、やっぱ楽勝だな』

『そりゃそうだろ。出来たばかりのダンジョンなんかモンスター全員レベル1だぜ?』

嘲笑を浮かべあう三人の男。

剣士と戦士、そして魔術師の三人組だ。

映し出された男達に僕は顔をしかめた。

「カマクラ、コイツらのレベルは?」

≪剣士が36、戦士が29、魔術師が34です≫

明らかにレベル1のダンジョンに入ってくるようなレベルじゃない。

「まぁ、だからこそ参考になるんだけどな」

ダンジョンは必ずゴールまで辿り着ける経路を確保しなければならないという規定がある。

『うおっ』

男達の姿が掻き消えた。どうやら試みその一は上手く出来たらしい。

画面を操作して男達の姿を映した。

「まさかワープトラップがあったとはな」

「急いでさっきの所に戻るぞ」

はい、不正解。

僕はほくそ笑んだ。

≪まさかトラップを順路に組み込むとは≫

そう。僕はワープトラップの移動場所を本来の行き先である入り口以外に固定することで順路に組み込んだのだ。

「迷路には裏技があるからね」

≪裏技ですか?≫

「有名だよ。片手を壁につけたまま壁に沿って歩いたら確実にゴールまで辿り着けるってやつ」

だから壁が繋がらないように順路を組み込むことでその裏技を封じたのだ。しかもワープした場所に戻るためには一方通行の隠し扉を通らなければならないのでまたワープのしなおしになる。

「後はこの層の最後の関門だな」

僕はニヤニヤと笑いながら男達を見下ろした。



『なんだ、ここは?』

一時間後、三人組は一層最後の部屋には赤、青、黄色に塗り分けられた三つの扉と同じく塗り分けられた三つの鬼の石像があった。

『おい、壁に何か書いてあるぞ』


真なる扉は一つのみ。

残る二つは死への扉。

三体の石像のうち、真実のみを告げるは一つ

気を付けよ、虚偽のみを話すものが一つある


『なんだこりゃ』

『おい、石像が何か持ってるぞ』



赤鬼

赤の扉が真なる扉

気を付けよ、青は虚偽しか言わぬ


青鬼

青の扉が真なる扉

気を付けよ、赤の述べることに偽りが一つ


黄鬼

青は死へ続く扉

青の述べることに真実はある



石像の鬼が板のようなものを掲げている。

『どういうことだよ』

『訳がわからねぇ、真実だとか虚偽だとか』

『ようは三つの内のどれかが先へ続く道なんだろ。しらみ潰しに行きゃあいいだけだ。このレベルなら致死トラップもないだろ』

戦士はそう言って左端にある黄色の扉に手をかけ開いた。

『なっ?!』

ガゴンッ!

背後にあった通路が石の扉で塞がれ赤い粉が部屋に充満した。

『しまった、眠り花の花粉・・・・だ』

三人はみるみるうちに崩れ落ちた。


「はい、トラップ成功」

眠り花は地属性のトラップでありその花粉には睡眠作用がある。近くを何かが通ると無差別に花粉を吹き付け眠らせるのだ。

いくら耐性があろうと畳三畳分の床一面に広がった眠り花から長時間噴出された花粉を浴びれば撃沈するだろう。

そして、部屋の奥から今までずっと花粉を浴び続けてきたモンスターが現れた。

安物の剣を持ちカタカタと音を立てながら眠る男たちに歩み寄る。

「まぁ、骸骨は眠らないよな」

骸骨、スケルトンは剣で男達の首を切り落とした。

「やっぱ脳筋っているんだな」

僕は肩を竦めた。

「時間制限だってつけてないしじっくり解けば良かったのに」

レベルが連続で4つ上がったのを確認しながら僕は呟いた。

この問題は初歩的な論理パズルだ。

総当たりで両方正しい事を言っている石像を仮定し、他の石像が条件を満たすかを調べていけば答えを導き出せる。

と、誰ともなく解説し僕はウィンドウから目を離した。

今までで彼等を入れて5組の侵入者が入ってきた。そして残りの4組の内2組は途中で逃げ残る2組はモンスターに殺された。

その結果、レベルは16にまで育ったのだった。しかも先程男達の首を切り落としたスケルトンは大量の経験値を手にし姿が変化してしまった。

「スケルトンナイトか。甲冑の中に骨格が入ってるから防御力とか上がってそうだよな」

僕はスケルトンナイトを迷宮の通路へ回し、新たなスケルトンを眠り花の部屋へ仕込んだ。

「カマクラ」

『はい、何でしょうか?』

「今までで5組侵入者が来たけどこれって少ない?」

『そうですね。この迷宮は辺境に位置しますのでやはり来る人数は多くはありませんね』

「そっか」

じっくり力を蓄えるのには向いているがいざ侵略するとなると手間だな。

「世界征服ってことは世界中の人間が僕に従えば良いってことだよね?」

『はい』

「やり方は決まってるの?」

『いえ、征服法に制限はありません』

ならば必ず暴力じゃなくても良い訳だ。周りに人がいないなら集めれば良い。

「交渉役を作らないといけないな」

僕はパネルを呼び出しキーを弄る。

「あった。言葉を話せるホムンクルス」

“生活用具”のコマンドのなかにあったモンスターを三体産み出した。

「「「お呼びでしょうか、マスター」」」

「お前達にはこの迷宮の周囲を開墾し人が住める形にしてもらう」

僕はレベルアップで得たポイントを消費し農具と大工道具と材料を大量に産み出す。

「新しくその地へ住みたいと望むものがいたら与えてやれ。お前達の名前はアーク、ノア、マリーだ」

「「「わかりました」」」

「連絡は新しく覚えたコネクトマジックで行う」

僕はそう言って三人を外へ送り出した。

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